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プロローグ「魔界と人間界が混ざりあった世界」

私たちの住む世界は、

まるで1本の道筋のような形をしていると思うか?


世界は1つのみ存在し、時間と共に、

全ての生物が同じ時間軸の中で時を過ごすのだろうか?


それを疑いもしないし、それが当たり前だと思っていた。


結論を話そう。「世界は2つあったのだ。」

君たちにとっては、「人間界」と呼んだ方が認知しやすいだろうか?


そちらから見た我々の世界は「魔界」と呼ばれている。

この2つの世界は、互いに交じり合うことなく、同じ時間軸を

同じ形、同じ速度、同じ角度で進んでいた。途方もない時間をかけて。


しかし、ほんの僅かに、植物が育つように、じっくりとゆったりと

この2本の線は、近づいていたんだ。



人間たちは「幽霊」や「悪魔」という表現を用い、私たちを表現した。

魔界の学校では人間たちを「魔力を食らう獣」として表現された。


私たちは、知らぬ間に交じりあっていたんだ。


空間のねじれが大きくなるにつれて、私たちは互いの存在を

認知できるようになってきた。


人間界では、謎の電気信号が探知されるようになり、

魔界では、謎の動物の白骨が発見されるようになった。


人間たちは「科学」を使い、私たちは「魔力」を使い

この混沌に渦巻いたねじれを1つに結び直した。


お互いの異質な姿を見せあい、言葉を交わしてからもう数百年になる。


申し遅れた、

私の名前は「スケルトン閣下」。

この地球という大きな惑星にある巨大地下都市「魔王城」の人事部長だ。


世界が1つになってから数百年、長いようで短いこの数年で

人間と魔族は大きな変化が起きた。


最近では異種族結婚なんてものは珍しく無い。

公園に行けば人間の子供と、

悪魔の子供が一緒にサッカーをしているなんてよく見る光景だ。


各故この私自身も、元をたどれば人間の白骨に魔力を注入した存在。

となると、私の産みの親は一体誰なのだろうか?

世界が混ざった直後、よくそんなことで悩んだりもした。


人間の発明は、我々の文化を大きく変化させた。

魔界の子供たちの間では「ビス殺し」という、小動物を殺す遊びが流行っていた。


今では異種族揃ってTV画面でパーティーゲーム。

小学生のなりたい職業ランキングも

不動の1位だった「魔王」は見る影もなく。


やれ「勇者」だの「〇〇マスター」だの。

世界を救うヒーローに皆なりたがっているというわけだ。


私は別に人間のことが嫌いなわけじゃない。

家に帰れば、人間たちが作った映画を視聴し、酒を食らい、就寝する。

魔界にいる頃は大変だった。


破壊することばかり考えていた私たちは、物を創作する技術など全然なかった。

飯が欲しければ奪い、子を産みたければ襲い、まさに地獄絵図のような毎日が繰り返されていた。


力あるものが勝ち、頂点に君臨する。それが「魔王」だ。

至ってシンプルな、分かりやすい世界さ。


人間は、我々の「魔力」を使い、より世界を豊かにした。

「列車」は魔力の力を使い、より速く、より遠くに。

「ネット」はデータに加えて、物質が転送できるようになった。


私の夕ご飯も、ポチッと押したら直ぐに目の前に現れる。

骨がごはんを食べれるのかって?


魔力で出来た「人口胃袋」に「人口舌」。

人間はスケルトンに、「美味しくご飯を食べること」も実現可能にしてしまったのだ。



現在の地球は、大きく二分割されており

地上を人間の王様が、地下を魔族の魔王が、管理している。

その魔王の拠点こそが、私の職場「魔王城」なのである。


生活は豊かだが、「魔王城」は決して豊かではない。

なんせ世間は「憧れのヒーロー」になりたがる者が多い。


私たちの仕事と言ったら、ビルの解体、スタントマン、

暴れる魔物や人間の鎮圧や犯罪者の管理。暴力的で危険な仕事ばかり。


そんな状態で人が来るわけもなく、今日も元気に残業というわけだ。


はぁ…。


コンコンッ

???「失礼します。部長。」


派手な金髪姿に、新調したばかりのキラキラした眼鏡をかけながら

鋭い目つきでこちらを睨むサキュバスが部屋に入ってきた。


顔の表情から見るに、グッドニュースというわけにはいかないようだ。

やれ重たい腰を上げて、サキュバスの話に耳を傾ける。



プロローグ終了



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