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"しあわせ”をください  作者: ゆう
7/8

しあわせをください。

奏がどうしても來に会いに行きたいっていうから行かせたけれどもう遅いと思う。來にも波留にも

付けていた位置情報があるものに通知が来たときは本当に焦った。『位置情報ガ更新サレズニ2時間ガ経過シテイマス。』それが意味するのはそこから2時間は動いていないということ。こんな高いところに秘密基地を作るのは青い狸達だけだと思う。ましてや小学5年生が作るものなんて公園にあるに違いない。きっと來に待っているのは“死”だと思う。あの裏山はイノシシとかも出るみたいだしね。私が奏を止めたのはこれ以上誰も失いたくなかった。それに、単独行動をしてほしくなかった。だからと言ってこの人気が少ないところに荷物を放置するのはさすがに気が引けた。

「あ、位置情報見れるやつ、奏に渡すの忘れてた。どうしよ、」そんな独り言は空気に混ざってシャボン玉みたいに一瞬ではじけてしまった。何をしてるんだ優愛。孤児院の人と話してしまったのだからタイムリミットはもう遠くない。分かっているはずなのに。

せめて行くのなら元の場所じゃなくて児童相談所がいいななんて考えてしまう私はどれだけひねくれているのだろうか、あんな環境に戻るぐらいだったらいっそのこと今、海に身を投げ出してしまおうかな。

いや、奏が戻ってくるまでは待って居よう。

なのに夜になっても奏は帰ってこなかった。それどころかなんの連絡もない。連絡先は一応渡してあるのに、なぜか一つも連絡が来ないし私がかけても全て着信拒否される。嫌な予感が、來が居なくなってしまった時と同じ体中に変な電気が駆け巡るような感覚がある。私は何があってもここからは動きたくない。この場所は離れられないから。

來を探しに行っている途中に知らない中年おじさんから駅までの道を教えてほしいと言われて教えていたら急に路地裏に連れ込まれて危うく刺されそうになってしまった。知らない警察官が助けてくれたんだけどね。今、私はその警察官の家で紅茶をいただいております。知らない人についていかないとか優愛について行った時点で終わってるしね。

「刺されかけてたのに理由はあると思うけど変な人について行かないようにね。俺の名前は佐野康太。」康太さんというらしい。

「あの人に駅までの道を教えていたんですけど急に路地裏に連れ込まれちゃって、」

「そうなんだ。悪いけど明日にはここ、出て行ってね。今日はもう暗いし泊って行っていいから。」明日には帰らないといけないんだ、でも優愛の元には戻りたくない、。そんなことをおもっていたら急に眠くなってしまった。目を瞑る直前に「久しぶりのJCだ」なんて聞こえて私は意識を失った。次意識が取り戻すことがないなんて知らずに。

もう嫌な予感しかしない。もうみんないない気がする。なんで奏に連絡付かないの?焦りと少しの怒りを混ぜながら私はテントのあたりをぐるぐると回っていた。やっぱり、場所を教えなければよかった?

いや、違う。私が荷物を片付けてでも一緒に行けばよかったんだ。それさえすれば今、こんな状況ではなかったはず。來もちゃんと行動を把握してしっかり見てあげればよかった。

「全部、私の責任だ。」私さえ、いなければ3人は幸せだったのかもしれない。思えば両親も喧嘩の理由にたびたび私を出してたっけ。私が3人と出会わなければ、3人がこんな消え方する必要もなかったのに。波留を誘わなければ、波留の健康状態を気にかけてあげれば、來をしっかり見て何があっても一人にさせなければ、奏に來の居場所を教えなければ今頃こんなことは起こっていなかったかもしれないのに、そう思えば4人で過ごした1週間の重み、最年長の責任、それに4人での思い出が蘇ってくる。4人で一緒に水浴びをしたり、4人で二つのサラダチキンを分けたり、今までで一番幸せだったのに、なぜか涙は止まってくれない。

「なんで、なんで、みんなどこかに行っちゃうの?」涙は止まることを知らない。それに足は自然に海へと進んでゆく。膝まで海水が来たとき私は迷わず携帯を海に沈めた。全ての記憶を消すために海水で携帯を故障させた。浜辺に携帯を投げ捨てて、私はもっと深い場所へと足を進めていく。すぐ、足がつかないところまで来てしまった。低身長というのはこういう時にとてもいい。私は海に身を委ねてそのまま目を瞑った。

「しあわせが欲しい人生でした。さようなら。私。」


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