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第48話 新劇

 「暗殺の天使……リーダー?……ジュリエット様が?」


 告げられた事実にマリアンヌは信じられないといった様子で目を見開き、それを見たジュリエットは愉快げに片頬を上げた。


 「そう言ったのが聞こえませんでしたか?マリアンヌ王女殿下」


 ジュリエットは逆手持ちだった短剣をくるりと持ち替えると遠くのマリアンヌに向かって突き付けた。


 「どうやら俺達は上手く誘導されたようだ。だが、マリアンヌ様を渡すわけにはいかんな」


 そう言うとグレイシアは雪月花を抜刀し、襲いかかってきた暗殺者3人を一刀のもと一瞬で斬り捨てた。


 「お前達もいつまでボサッとしている?取り敢えずこの連中を殲滅するぞ」


 グレイシアの呼びかけにシド、ライオネル、アーロンは頷くと各々の武器を取り出し、迫り来る

暗殺者達を次々と撃破してゆく。


 久しぶりの実戦ではあったが、3人とも腕は鈍っておらずむしろこの任務中も稽古は欠かさなかったため、初任務の時より格段に強くなっていた。


 しかもこの3人は魔法を主体として戦わないため御伽噺崩しロスト・フェアリーテイルの影響を受けないという点も戦況を有利に運ばせる要因となっていた。


 「ハッ!雑魚が何人いても同じだ!テメェらごときの攻撃が通じるわけねえんだよ!」


 久しぶりの戦闘で敵を倒し続け気分の良くなったライオネルが暗殺者達を殴り飛ばして笑った。


 「そうか」


 「なら、これならどうだ?」


 そこへ2つの影がライオネルに襲いかかる。


 ライオネルはそれらの攻撃を打撃で防ごうとすも影は直前で攻撃の軌道を変え、腹部をクロス状に斬り裂いた。


 「チッ……」


 「ライオネル!」


 「大丈夫だアーロン。傷は浅い。浅いが……」


 ライオネルは切り傷に手を置き、血を拭うとその拳を握り締め、2つの影を睨み付けた。


 「テメェらやってくれたな」


 ライオネルの視線の先には髪型が違うことを除けばそれ以外の髪や瞳の色、顔立ちや体つきまでもが一緒の男女がそれぞれ反対の他にマン・ゴーシュと呼ばれる両刃の短剣を持ち、立っていた。


 「ライオネル熱くなるな。落ち着けばすぐに倒せる」


 グレイシアはライオネルに顔を向けながら敵を斬り倒した。


 その時、グレイシアは自分の見た光景に何か違和感を覚えた。胸騒ぎを覚えるような違和感を。


 グレイシアは常人では出来ない情報処理速度によって一瞬で視界に映る範囲全てを判別するとその違和感に気が付いた。


 違和感の正体は月光に照らされたマリアンヌの足元だった。


 マリアンヌの足元の影が不気味に揺らめいてる。影の主であるマリアンヌが動いていないのにも関わらずだ。


 それに気づいた次の瞬間にはグレイシアは駆け出していた。


 そして、それと同時に影から手が這い出でマリアンヌの足首を掴み、影の中に引きずり込む。


 「!?キャーーーーーーー!」


 絶叫したマリアンヌの体はまるで底無し沼のように影の中に沈んでゆく。


 ――この距離では間に合わない。


 そう思った時、虚空へ伸ばしたマリアンヌの手を誰かが掴んだ。


 それはディオンだった。


 こちらへ一直線に駆け寄ってくるグレイシアのただならぬ様子に何かを察した故の行動であった。


 しかし、それでもマリアンヌの沈下は止まらずそれどこらか一緒にディオンも引きずり込まれてゆく。


 「マリアンヌ様!ディオン!」


 「私は大丈夫だ!マリアンヌ様は必ず私が守る!だからお前も……」


 ディオンの言葉は最後まで続かず主人と共に影の中へ消えていった。


 「ダミアンは上手くやってくれたな。オギュースト、オギュースティーヌ私は戻る。後始末は任せた」


 「「了解です」」


 ジュリエットは双子の返事を聞くとくるりとグレイシア達に背を向けて走ってゆく。


 目的が達成されたために他の暗殺者達を足止めにし、自分は結界が張られている場に戻る気だろう。


 本来ならここでゲームオーバーだがマリアンヌにはディオンがいるため、逃げ出されるにはまだ時間がある。きっとディオンはマリアンヌを守るために時間を稼いでくれるだろう。


 しかし、ディオンは得意の嵐風魔術が使えず弱体化している。あまり無理をさせることは出来ない。


 「待て!」


 シドが慌てて追いかけようとするもその前にオギュースト、オギュースティーヌ足妹が立ちはだかる。


 「くっ……!」


 「シド、ライオネル、アーロン。ここはお前達に任せた。ジュリエットは俺が追いかける」


 そう言うとグレイシアは突き刺さった短剣を抜き取ると3人の返事を聞く間も無くダッシュした。


 「行かせるかあ!」


 そこへオギュースト、オギュースティーヌ以外の暗殺者達がグレイシアを止めるべく襲いかかる。


 「来い!デスサイズ!」


 グレイシアは雪月花を鞘に仕舞うとその手に自分本来の武器であるデスサイズを握り締め、自分へ襲いかかろうとする暗殺者達全員へ九つの同時斬撃を繰り出した。


 「九頭斬(クズギリ)太刀(タチ)


 次の瞬間、暗殺者達は1人残らず両断され、その場に赤い雨を降らした。


 「何!?」


 「あの数を一瞬で!?」


 兄妹暗殺者はその光景に驚きつつもすぐにグレイシアを追いかけようと駆け出す。


 しかし、そんな彼らの前にシド、ライオネル、アーロンの3人が躍り出た。


 「残念だけど行かせるわけにはいかないな!」


 「さっきのお返しする前に行けると思うなよ?」


 「グレイシアさんの邪魔はさせねえ!」


 「……ッ!……いいだろう。お前達から片付けてやる。行くぞ!オギュースティーヌ!」


 「はい!兄さん!」


 同じ目的を有した最強の暗殺者の教え子3人と双子の暗殺者は火花を散らし、対峙した。

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