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第18話-1 仲間を頼るということ①

 ルートヴィヒとの通話を終えたグレイシアは頭を悩ませながら遊撃部隊の部屋へ向かっていた。


 ルートヴィヒの孫娘つまりは現国王の娘―王女を護衛するという任務。


 個人的には受けたいし、受けるべきだと思っている。


 ルートヴィヒには個人的に恩があると感じているし、フランソワ王国に戸籍を持てたのも彼の助力があってのおかげだった。


 それにしばらく向こうには帰っていない。そろそろ帰らないと彼女も悲しむ。


 脳裏に1人の少女の顔を思い浮かべるとグレイシアは笑った。


 しかし、入ったばかりの革命軍(リベリオン)に迷惑をかけるわけにもいかない。


 グレイシアは現在、3つの部隊隊長を務めている。


 つまり、自分がフランソワ王国に行ってしまうだけで3つの部隊の隊長がいなくなってしまうということだ。


 一応部下には自分なしでも動けるように指導しているものの任務は長期に渡るということで不安は拭えない。


 長期間自分が革命軍(リベリオン)を空けているせいで損害が起きてしまう可能性だってある。


 依頼を受けるとすれば万全の状態で引き継ぎを行わなければならない。


 それが出来なければこの依頼は受けない方がいいだろう。


 いやしかし、これを機に財務部隊のシオン王国に依存する経済基盤をフランソワ王国基盤の物に変えるための任務という名目で行くのも悪くない気が……


 「―さん。グレイシアさん」


 そこで自分の名前を呼ぶ声を認識するとグレイシアは思考を中断する。


 目を上げるとそこにはテーブルと食事を囲む7人がグレイシアを見ていた。


 「……ああ、どうした?」


 「どうしたも何もずっと俯いてブツブツ言っているものですから……」


 「それはこっちの科白だってことだよ」


 シドの科白に付け足すようにライオネルが言った。


 「ただの考え事だ気にするな」


 身内と言えどルートヴィヒとの関係を明らかにするのはあまり良いとは言えないだろう。


 それにこれは俺自身の問題。こいつらを巻き込む理由ははない。


 との考えの下、この件は流そうとしたのだが一同はグレイシアを見ることを止めない。


 「そんな言い方されたら逆に気になるもんですよ……」


 グレンが呆れるように言った。


 そのような顔をされるとは心外である。


 「何か悩みでもあるんすか?」


 アーロンがそう訊いてくる。


 「いや、そんなことは……あるかもしれないな」


 グレイシアは言葉を詰まらせながら言った。


 「だが、お前達には無関係のことだ。気にするな」


 話したくないという雰囲気を出すとナイフとフォークを手に摂る。


 「そんなこと言わないで下さい」


 しかし、アリスの声でその手を止め、顔を上げると悲しげな表情をしていた。


 そんな顔をされるとは思っていなかったグレイシアは少々驚いた。


 「私達じゃ頼りないですか?」


 その言葉にグレイシアは溜息を吐き、目を閉じた。


 「そういうことじゃねえよ。俺は俺だけの問題に他人を巻き込んだりはしない主義なだけだ」


 「なら、アンタの国を滅ぼすという目的に付き合わされているオレたちは何だ?」


 ライオネルは矛盾を突いてくるよグレイシアは表情を変えずに目をゆっくりと開ける。


 「お前たちの所属する革命軍(リベリオン)の目的はシオン王国の打倒で俺と一緒だ。そして、組織の人間が組織の方針に従うのは当然のこと。俺はお前たちに俺の目的として王国の滅亡への協力は強いてはいない」


 「男がグダグダ屁理屈こねんな」


 ライオネルはグレイシアの主張を一蹴し、その目を見つめた。


 「何だと?」


 グレイシアの目が僅かに鋭さを増すが、ライオネルは怯まずに言い放つ。


 「アンタは今まで何でも独りでやってきたのかもしれねえ。でも、限界があるって気付き始めたんだろ?だから、革命軍(リベリオン)を頼ることにした。なら、その一員であるオレたちのことだって少しくらい頼ってくれてもいいんじゃねえのか?」


 ライオネルの科白にグレイシアは黙って目を伏せる。


 その通りだった。


 当初グレイシアは独りでのシオン王国打倒を考えていた。


 しかし、シオン王国の牙城は固く、次第に独りでやることの限界を感じ始めたのだ。


 そんな折に劉陽からセタンタを通して遊撃部隊隊長の打診を受けた。


 でもそれがなくともグレイシアは近い内に自ら革命軍(リベリオン)へ協力を要請していたと思う。


 違いはきっかけがあるかどうか。それだけであった。


 「アンタのことは詳しく知らねえが外見見る限りオレら実は歳変わらねえだろ?若いうちから何でも1人でやろうするのロクなことにならないって劉陽様も言ってたぞ」


 「そして『私は頼りすぎたがな』とも言っていたな」


 付け足されたグレイシアの言葉に一同はくすくすと笑う。


 「あんな凄え人だったあんだけ独りに頼りまくってるんだ。アンタが頼っちゃいけねえ理由なんてねえよ。それとも劉陽は尊敬出来ねえか?」


 「そんなことはない。あの人は1人ではなにも出来ないかもしれないが、人を集め、それらを上手く使う才能には俺も凄いと思っているよ」


 グレイシアがそう言うとライオネルはニッと笑った。


 「なら、オレたちにアンタの悩みを聞かせろ。アンタみたいに頭は良くないかもしれねえがこんだけ集まったら多少の力にはなれると思うぜ?」


 ライオネルの言葉に一同はそうだとばかりに笑った。


 グレイシアはその様子に微笑を浮かべると「そうだな」と呟いた。


 「いいだろう。お前たちを頼ってやろう」


 「うわ……凄い上から目線……」


 呻くように漏らすシルヴァーナにグレイシアは悪びれる様子もない。


 「言うなればこれは俺からお前たちへの依頼だ。解決策を精々模索してゆけ」


 「分かりました!」


 ジョナサンが素直に返事をした。


 「俺の依頼は……」

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