雨女ではない
数日が経過すると、昔のように放水出来るようになった。
その頃には雨漏りもしなくなり、普通の生活が出来そうな感じである。
「そろそろ卒業試験のようだな……」
「なに雰囲気出してんのよ。いらないからそんなの必要最低限!」
「まー、実際そんなのいらんけどね。もう体に染み付いているから後は体が勝手に動くだろう」
「トラブルに巻き込まれないとは言えないから、役に立つとは思うけれど……」
「今なら、一騎当千を張れるぞ」
「いやいや、一介の店員にそんなのいらないから」
「夜な夜な睡眠学習させた中二病とかいう怪しい呪文も万全!」
「最近、変な言葉が浮かんでくると思ったらお前か。って一人しかいないけれど」
ぐぬぬ、と私。
「まーもともと野生児のお前が格好つけて都会になぞ行くからこうなる。たまには顔を見せるんだな」
ごほんと咳払いする父。ちょっと頬が赤い気がするのは気のせいだろうか。
「気が向いたらね」
長期休暇には顔出すようにするわ、と言った私の声は聞こえたのだろうか。
ま、いーか。体を鍛えるのも楽しいしね。
脳筋化は完了していたのだった。
「じゃ、帰るねー」
「達者でな。そうそう一言だけアドバイスをしよう」
玄関から家を出る私に父は真面目な顔でこう言った。
「お前は雨女じゃない」
「うん。今日からまた「普通」になった」
恥じらうように笑う私の腹筋は一応割れていない。
ギリギリまで調整した結果らしい。
服が着られることを確認して、私は帰路についた。