次を探して
月日は経ち誰もが俺達を繋ぐサイトを忘れていた
そんな中友人からバスケットボール観戦のお誘いを受けた。
プロの試合では無い。中学生の試合だった
この中学生って言うのが俺達の同級生って言うのが月日の流れの恐ろしさを感じる
『孝弘こっち』
でかい声だ。体育館全体に聞こえたかもしれない
声の主は正幸だ
スポーツ万能、見た目も背が高く、孝弘とは比べると失礼と言われるくらいの容姿
その隣りには正幸より背が高く明らかに元バスケ部ですかと問いたくなる人物がいた。
『私の旦那です』そう言って話しかけてくる女性は孝弘の同級生の遥だった
遥もバスケをやっていてプロを目指すくらいの実力者だった。そして背が高い
『壁の向こう側にいてもらっていいか?』
孝弘のわけのわからない言葉に正幸は
『俺らは何とかの巨人か』と笑ってかえす
今日はこの遥の子供の試合を観にきた
子供もでかいなー
孝弘はそう思った
そして夫婦の自慢話しを聞かされる
学業の成績は普通だが、中学生なのに日本選抜の練習に招かれ参加している
将来明るいそんな自慢から、子育ての大変さまで試合が始まる永遠とだ
孝弘は『へぇー。そうなんだ』といつも通り深入りせず、無視せずの対応をしていた
試合序盤明らかに遥の子供は他を圧倒するくらい動きがいい
だが相手の学校との点差が開く事は無かった
『まるで機械だな』孝弘そう呟き相手の学校を比喩する
そして後半になるとその点差は徐々に離れて行く
『あの子の3ポイントはもう外れる事は無いかもな』
孝弘は相手の学校を称賛した
『最後まで頑張ってー。今出来る事やろう』
何やら聞き覚えのある声が檄を飛ばす
『ん!?』
孝弘は声のする方に視線を移す
『あんた達も最後まで応援しなさいボケナス!』
ボケナスとはずいぶん久しぶりに聞いた言葉が孝弘達に向けられる
奈緒だ。間違いは無いだろう
ずっと会いたかった人だ
孝弘の嬉しい気持ちとは別に遥の子供は試合に負けてしまった
孝弘は巨人の友達から離れ奈緒の近くに席を移した
『もう無理って思う時こそだよね。頑張る子はここが違う』
奈緒はそう言い孝弘に同意を求める
奈緒は興奮冷め止まず、思ってる事を吐き出す
その姿は応援者が悔しさを吐き出すようにも感じた
その全てを孝弘は否定することなく聞いていた
その言葉全てが会えなかった時間を埋めて行く
『おっとー。ご両人久しぶりに顔を合わせたはずなのに久しぶりの言葉は無しか?』
そうやって正幸は2人の間に入ってきた
孝弘と奈緒はお互いが事件に関わっている可能性を警察に疑われ、普通には会えない仲だった
『安心しろ。あのサイトは俺が閉鎖したし、事件を掘り起こそうとするやつはもういない』そう正幸は誰に話したからわからないくらい2人の顔を見ずに呟いた
2人は言葉を失う。そしてお互いの顔を見合うことがまだ出来なかった
そして俺達3人は遥夫妻に食事に招待され、食卓を囲んでいた
食卓では反省会とまでは行かなかったが今日の試合を振り返った
遥の惜しかったねの言葉から始まり
子供の愚痴や相手のプレースタイル、そして辛い練習環境。
過去を振り返るとように話しは深まって行った
だが味方への不満は奈緒が釘を指す
『1人出来るスポーツじゃないからね』
そう言い個人としてはとても良い動きだった
でも、チームとして考えると相手の方がはるかに上だったと
だが、遥の子供は同じレベルの仲間と一緒にバスケをしたいとの答えだった
これには誰も反論は出来ないし、確かに環境が違えば負ける事は無かったかもしれない
でも、今の環境で何が出来るかを問うには幼過ぎかと胸にしまった
『まぁ、悔しがっても仕方ないないし、明日からまた、頑張ってね』最後はそんな言葉で締められた
その後、孝弘と正幸、奈緒3人は場所を移し居酒屋で飲んでいた
『どう思った?』
『そうだよなー。こんな時お前の考えを聞きたい』
奈緒と正幸はそう言い俺の考えを引き出す
俺は机の上に肘を付き右手で顎を支えながら、話しだした
『親の期待を背負って頑張った結果じゃない』
それに口を挟んでも教育方針曲げるだけで気まずくなるだけだと
『ふぅ〜ん。やっぱり引っ掛かる所あるんだ』
奈緒はからかうように俺をみる
『天才と努力』
元々の素質があって成功をおさめるのが天才なら、小さな事をコツコツ積み上げて成功する者を努力と考える
俺の言葉に奈緒は
『天才の息子君対努力のチームが今日の試合』
でも、違う。遥の子供は親と厳しい練習をしていた
もしその考え方なら、周囲の仲間にもっと努力しろって言うことかと?
『天才が努力するって事は天才って言葉じゃ無くなるんじゃない?』
『相変わらず何が言いたいんだよ』苦笑いをし正幸が俺を見る
天才なんていないんじゃないかな
天才と呼ばれる人ほど本当は努力家と言われたいのかもしれない
『要するにはだ』
勝ったやつは負けたやつの気づかない所まで考えて努力して、何度も同じことを繰り返して来たから結果が出た
それで良いんじゃないか
孝弘の言葉を聞いた二人は話しの内容的には着地点と妥協することになる
だが、孝弘が両手で顔を塞ぎながら言った言葉が二人の空気を変えた
『俺はそんな努力を利用したり、奪いとるやつは許すことが出来ない。奪われて人生変わっちまうやつだっているんだ。そんな辛い思いしたやつの声が今でも耳から離れない。人生を取り返してほしいって。あの時に帰りたいって。人は過去には戻れないしお金を取り返してもあの時には戻れないんだ。なのに、また同じ事を言って来るやつがどんどん増えるんだよ
わかってほしい過去には戻れないけど、これから楽しめる人生を俺は考えてあげたいだけなんだって』
そう話しながら意識を失う孝弘を二人は見守る事にした
その中携帯にニュースが流れた
緊急速報だ。某投資家が詐欺にあい財産を失ったニュースだった
居酒屋ではテレビが付けられお客はテレビの方へ耳を傾ける
国家レベルの資産家だっただけに一大事のニュースだ
セキュリティーだって一流だったはずなのに。誰にでも起こりうる話しだったからか
『これでいいだ。そのお金はみんなのお金だからな』そう呟く年老いたお客に正幸は
『休暇中ですが警察です。詳しく聞かせてください』
そう言って席を移した
そして居酒屋をでる孝弘と奈緒に正幸は
『悪党の中に正義はない。法を破ったら全て悪党だ』
そして法の外には出ないでくれと話し二人と離れて行った
翌朝どうやら孝弘はビジネスホテルに泊まったようだ
朝頼みもしないのにモーニングコールで起こされた
二日酔いのせいかまだふらふらと気持ちが悪い
そして部屋がノックされる
『起きた?』
その声に驚き慌てて部屋を開けると奈緒がいた
どうやら俺はここには奈緒に連れて来られたようだ
『本当は一部屋でも良かったんだけど、フロントで名前が違うからって別々の部屋にされちゃったよ』
笑いながら奈緒はそう言う
俺は笑いながら次は2人でと誘いをかけた
2人は帰り道
これからどうするのと奈緒は尋ねた
2人の連絡先はあのサイトだっただけに話す機会が無くなっていた
また同じ事をやるわけには行かない。警察に迷惑をかけることになるからだ
孝弘はどうして良いか答えが出なかった
でも、奈緒が昨日正幸が話した言葉を口にする
法の外には出るなの言葉を
『180°切り替えて探偵でもやろうかなー』
そんな急な発想に奈緒は
『ホームズって感じだね。私ワトソンやりたい』
しかし孝弘は即答で
『助手はAIが今一番優れているからAIかなー』
冗談で言ったとかは奈緒には関係なかった
ムスッとしながら『とりあえずホテル代ね』
孝弘は苦笑いしながら一緒に何か出来たらやってみたいなーと呟いた
そして奈緒は嬉しそうに
『今日の空色は?』
孝弘は快晴にも関わらず
『曇り空なんだけど所々青い空が見える。俺の天気だ。好きなんだよねこの天気』
そう答え次の道を2人で探し始めた




