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空色  作者: レアンティーク
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デスゲーム(後編)

正直外の状況がわからない場所にいる

空の色がわからないほど不安に感じた日だ


孝弘は森の中にある建物の中にいる

窓は閉め切られ空気の流れすれ感じないほどの空間にいる


しかしこの建物は1つの部屋から凍り付くほどの空気が建物全体に広がろうとしている

周囲が暗くわからないが孝弘目掛けて温かい空気がリズムよく孝弘を包み込む。もしなければ体は凍り付いているだろう


『本当にアドラーさんはこの建物の中にいるのか?』

孝弘は連絡の途絶えた友人を探している

情報が正しければこの建物の中にいるはずだから


壁を伝い二階に上がり壁沿いに歩くと部屋が確認できる

一階の部屋から推測すると、この部屋も何かを発動する為のスイッチと考えるのが良いだろう

それが罠でも、友人がこの部屋にいないと確実にわからなければ孝弘は扉を開けなくてはならない


『さあ、アドラー見ろよ!次の扉が開く。その時教授は姿を消す事になる。正確には花火のように綺麗に散ることになる。最後の挨拶をどうぞ』

バッカスはゲームをやるかのように笑みをうかべはなすが


『やめて!ダメ開けちゃダメ』


『ガチャ』

扉を開けると周囲が光りだす


その瞬間『ドカーン!』大声でバッカスは叫んだ

その叫びと共にアドラーは目を自然と目を背けた


『どうやらこの部屋は明かりの点灯か』

孝弘は周囲の電気が付いたことを確認する

階下には、扉に凍り付いた大蛇がぶら下がるのが確認できた


この階も3部屋ある事が確認できる


上を見上げるとシャンデリアまでの距離は遠いが3階が最上階だ


『とりあえず近くにある部屋を順番に開けるか』

孝弘は恐怖と疲れを感じてはいたが思った以上に冷静だ。例えるなら研ぎ始めた刃物が斬れ味を取り戻すような感覚を感じていた


次の扉の前に来るが扉を開けない

扉に触れ温度差を確認する

『温度差無し、扉の向こうに火は広がってない。バックドラフトの可能性無し』

続いて耳を当て

『トントン、トントン』ノックをする

『中に生き物の動きは感じない』


そして今回はこの部屋の扉のノブを回すことなく中に入って見せた

持っていた多機能ツールのマイナスドライバーを使ってラッチボルトを引っ込めた


『やはりか』

罠の発動する気配は無い

ドアノブが回転することにより取り付けられたワイヤーが外れスイッチとなる仕組みだ

先ほどの電気点灯が一瞬速く感じた事から扉は開かなくても罠は作動する。スイッチがあるとしたら疑わしくはノブをと考えた


もしスイッチが無い罠なら音や手で扉を触ればだいたいわかるはず

静かなクラッシックじゃなく、爆音でも流していたなら物音は聞きにくかったかもしれない


中に入って罠を確認するとワイヤーの行き着くさきにはバーナーが置かれていた

近くに大きなボンベがある事からスイッチ作動で火炎放射器になる仕組みだ

距離的に考えて火だるまになると言うより、威嚇程度の火傷を負わせようといった感じに思える

よって孝弘を殺そうと言う感じより、孝弘が傷付くのを楽しみたいと思っているのではと読み取れる

もしかしたら誰かにその姿を見せたいとか


孝弘はこの部屋の中に入って何か使える物は無いか探し始めた

木の杖を見つけた。高級かどうかはわからないが先端に付いていた金具をドライバーで外し、木の部分が露出したらナイフで削り武器に変える


バーナーはペンチを使ってボンベから取り外し持って行く事にした

もちろん繋がれていた細いワイヤーも持って行く


そして次の部屋だ耳を寄せた瞬間ブンブンと物凄い蜂の音がする

扉は暖かくこの部屋は居心地が良さそうだが開けない方が良いだろう

人が居ても蜂にやられてしまう

人を隠すには不適切な部屋だ


そして孝弘は最後の階へ足を運んだ

この階も3部屋のようだ

孝弘は部屋を開ける前に全ての扉に手を当て、耳を寄せる


2部屋には暖房が入っているのだろう扉が暖かい

しかし

『トン、トン、トン、トン、トン』

1つの部屋だけ何かリズム良く音が聞こえてきた

孝弘はこれを爆弾に仕掛けられたタイマーと考える

爆弾の前にアドラーさんが座っていることも考えたが、スイッチを発動させてしまえば孝弘達は吹き飛ばされてしまう


まずは反応が感じられない部屋でおそらくスイッチを仕掛けられてる部屋に入ることにした

ドアノブは回さず入るとやはり罠は作動しない

中に入ってワイヤーをたどるとレバーに取り付けられている。レバーが降りて作動の二段階スイッチだ

レバーの下げは電源オフを意味する

つまり今作動中だ

レバーのカバーを外す為ドライバーでネジを外して中を確認する


『太い配線だな!って事はそれだけ大きな容量を必要とする機械仕掛け』


孝弘はこれを冷凍する為の機械を止める設備と考えた

止めてしまえば大蛇が再び動き出すかもしれない蜂が自由に飛び回る環境になってしまうかもしれない。なんらかの動物が動ける環境が整ってしまうと考えた


孝弘はこれを作動させ無い為ワイヤーを木で包みこむように加工した渡り線を作り直結状態を作り出す


これでレバーが降りても電気が流れている状態だ


そして次の部屋を選択する

なんらかのリズムを刻む部屋を最後に次の部屋の扉を開ける。もちろんドアノブを回すこと無くだ


その部屋は暖かくまるで天国を感じているのではと錯覚するぐらいだ

中へ進むとガラス越しに外国人の後ろ姿が見える

しかし孝弘にはその後ろ姿より数台のモニターが目に入ってきた

各部屋のモニターだ

蜂の部屋も映ってる。もちろん孝弘の姿の映るモニターもある

だがそのうちの1台のモニターが映し出される女性に目が行く事になった

テレビを覗き込み何かを探しているようだが光るボタンを押している


『やはりここに居たのか!そして隣の部屋から聞こえたリズムは彼女がリズム良く光るボタンを押す音。そしてあんたがこの建物の主人だな!』


『いらっしゃい!教授。ご機嫌はいかがかな?』

その声はまさに悪党が何かを楽しむかのように声を発しているとしか思えない声に聞こえる

貫禄があると言うか小太りでスーツ姿。

堀の深い顔にしっかりとした鼻の形に白髪と言うよりは金に近い髪色

歳は孝弘より上だと考えられる


『ご機嫌は最悪です。なぜ彼女を監禁したのかわかりませんが、一緒に帰らせてもらいます』


『教授!あの女は俺の弟を殺害してさらに遺産を奪った女だ!教授の知恵で』


『知らない話しです。私は知らない女性ですが監禁されたと聞き助けに来ただけです』


『そうか』

そうバッカスが言うと目の前にあったリモコンのボタンをモニターに向け押すと、モニターに映る女性が驚き軽く飛び上がるのが確認できた


『あのボタンの光る方を押すと温かい空気が出るようになっててな、あの女はずっと押し続けていたんだよ!今も目標を見失ってもなおやめずに。ほら!感電するとわかってても押してる』


バッカスは楽しそうだが孝弘にとっては全く別の反応だ

ガラスを割りバッカスに近づこうと杖で叩いたり色々な物を投げるが、防弾ガラスだ。割れる気配はない

それどころかバッカスはリモコンを操作するたびにモニター越しの彼女は苦しんで行く


『チィ!向こうが先か!』

孝弘はこの部屋を飛び出し次の部屋の扉を開けた

通路になって中へ進める。急がないとと考えたが


『バターン!!』

扉は閉まり閉じ込められてしまった

焦りのあまり罠の解除を忘れていた

しかし前にと思って通路を進むと再び扉が現れた


しかしその扉は開かない


『ガシャ、ガシャ、ガシャ』

ノブを回すが扉は開かない


『バン、バン、バン』

扉が反対側から叩かれる


『馬鹿なんで来た!』

その声に聞き覚えはある


『そっちから開かないのか?』

『開けばもう逃げてる』


『ご対面とはいかねーよ』

バッカスの楽しそうな声が孝弘達に語りかける


『アドラーさん、教授、選択肢をあげよう』

その言葉の後に孝弘達の前に1つのボタンが現れた

『これからアドラーの部屋は崩れて行く。アドラーはそれを止める為のボタン。しかしボタンを押せば教授のもとにはさらに大量の冷たい空気が流れ、教授の氷の彫刻が出来上がる。教授のボタンは今流れている冷たい風を遮断できるがアドラーの部屋の崩壊が完成する。2人共押さなければ2人共死ぬ。では、スタート!』


その言葉とともに何かが崩れて行く音がした

『大丈夫か?ボタン押して!こっちはなんとかするから』

孝弘はそう言い彼女に助かるよう促す。しかし彼女は

『馬鹿、二人で考えよう。まだ時間あるから。最後まで諦めないで』


『大丈夫!二人共助かる方法を考えるのは俺の役目!お前は自分のことだけ考えるのが二人が助かる一番の近道だよ』


『そうだね』


『.......。』

しばらく孝弘達に会話は無かった

いつの間にか二人は動くことをやめて扉を背に座り込んでる

アドラーの背中の扉は次第に温もりを失い目の前はどんどん崩れて行く。


『なぁ!今何を考えてる』

そんなことを孝弘は聞いてみた。

『ねぇえ、覚えていますか空の色』

疲れた声が返ってきた

『ふっ』

孝弘は1つ鼻で笑い

『曇り空だったけど所々覗く青い空が綺麗だったな』


『ありがとう』

そう言うアドラーは寂しそうな声だ


『もう諦めたか?』


『もうダメかな?最後に気の利いた言葉もらっていい?』


『もし地獄で会えたら、今度俺のお嫁さんになってもらっていいか?』


『バッバッバッバ』急に爆音が聞こえてきた

『女性を発見!救助だ!』

そしてその声がかすかに聞こえる

森の中からたくさんの警察が寄ってくる

その後爆音が風をまといアドラーの前に梯子が空から降ってきた


『奈緒?奈緒なのか捕まれ!』

梯子からは芸能人かと思われるほどの容姿の男が降りて来て手を差し伸べる


しかし

『ダメ一人じゃダメ!』


その言葉はその男には通じない。崩れ行く部屋を危険と察しタイミング良く女性を抱きかかえて空に舞い上がって行った


『いやー』

その叫び声ともに


『行ったか!正幸ありがとうな来てくれて』


『どう言う事だ?』

その声は孝弘のいる場所まで聞こえる声を荒げて叫ぶ。そのバッカスの見るカメラに孝弘は携帯を見せた。その画面を拡大すると

『ありがとうな!ちょっと魂が旅に出るかもしれない』

そのメッセージと画像が誰かに送られていた

『現在位置!それと送信した相手は知り合いの警察だ!』

孝弘がこの建物に入る前友人に送ったメールだ


『くそぉ』

バッカスはその声と共に近付きつつある警察に焦りを覚える


『どうした?警察が来ると困ることでもあったか?まるで...遺産を独り占めしようと企んで失敗した男だな』


『貴様!やはり!殺してやる』


『やれよ!』


『サッ』

バッカスがリモコンを握りボタンが押された


『ドーン』

その音と爆風は孝弘のいた通路まで届くかの勢いだった


『空気の流れは何もこの通路だけとは限らない。埃や散りが舞う環境さえ整えば小さな火種でも爆破できる。ガスバーナーをバッカスの部屋に忘れてね着火したかな粉塵爆発だ』


例え防弾ガラスに囲まれていても助からない孝弘はそう考えた

そして閉ざされた扉が開くようになったのを確認すると警察が爆発した部屋に向かうのを見ながら、何事も無かったように気を配りその地から離れていった


警察に気づかれる事なく


『あそこにはまだ』


警官はその言葉を遮るように口に手を当て喋らなくて大丈夫だよ

落ちついて息を吸って吐いてと言ってくる


『馬鹿にしないで!』


『今はあいつと離れろ!』

ヘリコプターの音の中そう言われた

そして彼女は嗅がされた麻酔により意識を失い気がつくと病院で寝ていた


そして

『起きたか?建物に監禁されてた女』


『ここは?』


病院である事を伝えると同時に監禁してた身元不明の人間が爆死したことが伝えられた


『どうして離れなきゃいけないの?』


『奴はある事件に関わった可能性がある。その事件の重要参考人として警察に来るようにとなっている。知らないと思うが俺達警察の中ではアドラー事件と言って未解決の事件だ』


『……。』奈緒は沈黙を保った


『その事件が例え親の無念を晴らす為の事件だとしても法律では許さない』


『……。』


『まぁ、証拠不十分で闇サイトの利用をひかえるようにが妥当な線だ。アドラーと一緒にいる所を目撃しない限りな』


『生きてる?』


その言葉を聞き正幸はノートパソコンを広げサイトにアクセスを開始した


『このサイトは今警察の中で調べが必要になっているサイトで犯罪者あるあるってサイトだ。主にもし犯罪者ならなどが語られているが、実際は犯罪に利用されている可能性がある』


そして正幸は注目すべき人物としてモリアーティと言う人物の発言を見せてくれた


『今日の空は曇り空。でも所々から覗く青い空が綺麗なんだよな。また会おう』


その言葉を見て奈緒は涙をこぼすが


『その涙は営業妨害だろ!やめてもらっていいか?』って笑顔で言う警察の姿があった


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