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空色  作者: レアンティーク
3/8

姿を消して

いよいよ梅雨入りって感じかな。青空はどこに行ってしまったのかなと考えてみたり、分厚い雲を掻き分けて行ったら青空と出会えるのか?そんな事を考えさせられる空が広がっていた。


今日も一日仕事では精彩を欠き、一人で右往左往しては勝手に疲れて帰ってくる一日だった


いつものようにパソコンの前に座って何か変わったことは無いか目を通してみた


政治も真実か嘘か分からない今日この頃孝弘は誰を何を信じて良いのか、自分に問いかけてみるが、やはり実際目で見たものを真実だと考えれば良いのだろうと考えにまとまった

だからこのニュースの記事達も最後に残った結果が真実だと今は読み流すことにした


『ん!?』

そんな時に一通のメッセージが届いたと通知が来る

犯罪者あるあるサイトの通知だった。

孝弘は犯罪のお誘いかといつものように丁重に断るかと考えながら犯罪者あるあるサイトを開いた


『今日も来てるなー』

孝弘のもとには沢山の犯罪のお誘いがくる

一通一通返信することは可能だがそのほとんどが定型文だ


『今回の件は時間も無く気が進みません。申し訳ないがお断りさせていただきます』

こんな感じの文章をコピーしては貼り付けを繰り返して終了


その中に一通だけ興味を引くものがあった

『逃げ出したいです。良い知恵はありませんか?』

そんな書き出しのメッセージだ

犯罪界のナポレオンと呼ばれたモリアーティ教授の名前を拝借してサイト登録しているが、犯罪よりこちらの方が孝弘にとっては手をつけやすい


どうやら送り主は親戚に監視されているような生活をしている。

嘘か真か夜は自分の部屋に入ると中から開けられない部屋だという


どう言った理由にせよ。そんな部屋は嫌だよな。孝弘はそう考えた


とりあえず孝弘はなぜそのような部屋に入らなければならないのか問うことにした


『私は両親を事故で亡くしてからこの親戚にお世話になってます。しかし成人して両親のお墓参りを一人で行こうとした日からこの親戚の見る目が変わってしまいました。部屋は説明した通りで、それ以外外出も私の行き先は親戚に知られているようです』


今は夜。

送り主の返信スピードが速い事を考えると送り主の部屋にはパソコンがあり自由に使えると判断できる


孝弘は直ぐに確かめたいことがあり返信をした

『あなたのことはなんと呼べば良いですか?』

『雪です。雪とお願いします』

再び直ぐに返信された

季節外れの雪か。それだけに覚えやすい名前だ。もちろん本名とは限らないけど

『部屋の中の環境を出来るだけ詳しく教えてもらって良いですか』

『洋室6間で南側に窓があります。ベッドは東側にテレビは北側って感じです』

『洋室ならフローリングですか?』

『はい』


雪さんからの返信はどれも速くやり取りしてて気持ちいい

もしこれが好意を寄せるものであれば孝弘の心はどれだけ充実感を得られるのだろうか。

それを考えると誰からも邪魔は入らず雪さんは自由な環境で孝弘とやり取りしていると考えるべきだろう


それとパソコンには細工されてなさそうだ

もし、細工されているならこんなやり取りは直ぐに潰されてしまう

親戚の方々はパソコンに詳しくないのかそんな感じさえ思えた


『まてよ!』

孝弘は一つ勝手に思い込みをしていた

『スマホかい?』

『いえ!違います!スマホは親戚にメールや居場所もなぜかバレています。パソコンはディスクトップで持ち運び出来ないし、それにこのサイトはメッセージでやりとり出来るから利用しました』


『雪さん賢いね!私が居ない方が上手く行くのでは?』

『部屋から出られないから何も出来ないのです。窓も開かないし、壊しても飛び降りるには高すぎます。誰かの手助けないと無理です』

『わかりました。良い手が見つかりましたらご連絡します』

『ありがとうございます。よろしくお願いします。くれぐれも他の人への協力要請は避けてください。警察などが駆けつけてしまったら私の命があるかが心配です』


さて、どうしたものか?居場所を聞いて近付けば雪さんの命の危険性があると言うことは孝弘も近付けないという事だ


今日は朝から天気が良く久しぶりの青空が広がっていた


『おや?変だなお父さん壁にゴミが付いてるよ』

そう言われ男は壁に近付き確かめて見ると白い壁に黒の十字印が書かれていた

男は妻に雪の悪戯だよと言い消そうとしたがなかなか消えない

それを妻ははやく消しなさいとずっと壁をにらめ付けている

男はいい加減なので適当な処置をする可能性があったからだ


『ガタガタガタガタ!?』

その音は突然鳴り響く

夫婦は異音の方へ顔を傾けあわて始めた


『雪の部屋だ!』

雪の部屋に近かった妻は慌てて雪の部屋の前に行き鍵を開け扉を開けた


しかし


『雪がいない!どこに行ったの?』

男もその声に焦ったしかし?

『窓は?』

『開いてない』

『まだ家にいる探せ!』


2人はあわてて家中を探し回るが雪の姿は発見できなかった


そして数週間が過ぎた後この夫婦の元に逮捕状を持った警察が訪れることになった

『あなた達夫婦は親族殺人容疑の疑いがあります。署でお話しを聞かせてもらいます』

この夫婦はどうやら雪の両親を奪ったようだ

雪はお墓に行き調べてみるとお墓には両親の名前の横に自分の名前が書かれていた

雪はそれを警察に説明したところ警察は調べを進め結果はその夫婦が交通事故に見せかけて殺害したと結論付けたようだ


その後『ありがとうございます』

孝弘の元に犯罪協力依頼のメッセージ以外が届いた

雪からのメッセージだ。それに孝弘は返信をする

『色々あって疲れたでしょ?』

『そうですね!でも見た目カッコよくて、芸能人かと思える刑事さんが事件を簡単に解いてくれました』

『そっか!それならよくテレビで見かける正幸って刑事だね!私も以前彼とつながりありましてね。腕利きの刑事ですよ』


もちろん彼に情報提供したのは孝弘だ

親戚の家に行くことになっていたがその親戚はその日何をしてたのかまず調べてみようかと

しかし調べると雪の両親が事故を起こした時に雪の親から事故の連絡を受けたようだ

事故の状況は正面衝突ブレーキ痕無し

そんな事故を起こした人間が事細かく位置まで把握して通報出来るだろうか?

それに、連絡を受けた親戚夫婦が駆けつけた時間が速すぎる、正幸は取り扱った警察は何を調べたのかとそっちの方に疑問を感じた


その後、逮捕された親戚夫婦は前日に人を車ではねてしまい幼い子の命を奪っていたことがわかった。雪の身代わりである

そしてこの事を隠すために雪の家族の命を奪ったと言う訳だった


『一つ聞いて良いですか?』

『なにか?』

雪はそう言って不思議な体験を聞いてきた


『どうして私は立っていただけなのに見つからなかったのですか?』


『光の死角とでも言おうかな。それと目の錯覚』

孝弘は事前に犯人夫婦の特徴を雪から聞いていた。

妻は旦那の行動を見てることが多い事を利用して、雪に消えにくい黒マジックで十字の印を白い壁に書いてもらった


妻の位置関係的には黒点に見えたかもしれない。しかしこれを長い時間眺めたことで視覚に異変が起きた。異変とは黒点をしばらく見たあと周囲に目を傾けると消えてしまう部分がある。

それで消えやすくする脳を作り、脳に混乱してもらう状態を作り出した

目の錯覚を利用したと言うことだ

そしてその状態は続き、この後雪の部屋に入ったときちょうど良い感じに陽の光はさしこみ雪を覆った

季節外れの雪を照らすように

『白い服とかで全身覆って立ってて!たぶん見えないから』

上手く行ったようだ脳の混乱は型すら把握するのに時間がかかってしまう

光の柱が雪を消してくれた瞬間だ


その後は雪は部屋を出て夫婦達の隙をつき脱出に成功した


ありがとうと言われるとどんなことでも気分が良いですね

そう考えながら孝弘は今日も空を見上げた


『今日は梅雨の時期なのに久しぶりに青空が広がってるな。同じ空見てるんだろうなあいつ』


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