優しく撫でて、強く求めて。
今日はディナーデート。梨奈は待ち合わせより早く着いてしまった。
ドキドキしながら身だしなみをチェックし、何度も鏡を見る。
付き合い始めたばかりの晃司とは、今日で2回目の食事。
そろそろキスくらいしたいなぁ…と梨奈は密かに思っていた。
「ヌレヌレも塗ったし、ナデテもつけてきたしバッチリ!」
もうちょっと目元も直しておこうかな…というところで晃司から連絡が入った。
「えー!アイシャドーとかもうちょっとちゃんと直したかったのにー。」
待たせるのも悪いので待ち合わせ場所へ向かう梨奈。
お店は落ち着いた和風のお店で、ちょっとした個室のようになっている。空間が狭いので、時折、二人の膝が触れ合う。
「なんだか今日はセクシーだね。」と晃司が言うものだから、嬉しい反面ドキドキしっぱなしの梨奈だった。
お酒が弱い梨奈はカクテル1杯でやめておいたけど、心の中では
「どう見られているかとか、ヌレヌレいつ塗り直そうかとか、頭がいっぱいでお酒飲むどころじゃないよぉ。おまけに晃司の言葉にドキドキしちゃうし。」と困惑していた。
お店入ってもう2時間くらいかー。そろそろ化粧直しに…
「あ、ちょっとお手洗い行ってくるね。」
レストルームに着くと、
「よし、ここでもう1回塗り直しとこ!」
入念にヌレヌレを塗り直す。
席に戻ると、彼がお会計を済ませてくれていた。
「そろそろ行こうか。」
「うん。」
お店を出ると、酔い覚ましもかねて少し散歩することになった。
賑やかだった街並みも少しずつ離れていき、人も少なくなってきた。
時折吹く風とともに、いつもと違う香りが漂う。
晃司は胸がドキッとした。胸の高鳴りが自分でもよくわかる。
ふと道端に目をやると、花が咲いている。
梨奈は、「わー見て見て、こんなところに花が咲いてるよ。」と、しばし花に気をとられていた。
その後ろ姿を今にも抱き締めたい思いで見つめる晃司。
梨奈がかがんだ腰を上げようとしたその時…
晃司が後ろからいきなり梨奈を抱きしめた。
優しく、でも力強く。
「すまない。どうしてもこうしたかったんだ。今日は梨奈の香りにドキドキするんだ。」香りはなおも晃司の鼻をつく。
梨奈は胸がキュンとしすぎて、言葉が出なかった。
どうしよう、何て言っていいかわからない…
梨奈はクロス状になった彼の手をそっとほどき、晃司のほうへ振り向いた。
晃司も梨奈を見つめている。
少しの間無言で見つめ合っていた。ほんの数秒だったはずなのに、とても長く感じられた。
晃司が梨奈の耳へ手をかけ、髪を一束すくった。
その手は、キレイな髪だね、と言わんばかりに愛おしく、でも欲情をたぎらせて梨奈の髪をなぞる。
「梨奈がいけないんだよ。俺のこと誘ったんだからな。」
いつもより強引な口ぶりに少し驚きつつも、目の前の展開に晃司の男の部分を感じ胸がキュンとする梨奈。
晃司の手が肩のあたりまで下りてきたとき、背中からぐいと突然引き寄せられ、晃司の唇が梨奈の唇をふさいだ。
「んんっ?!」
梨奈は言葉にならない声を漏らした。
鼻孔からは仄かなローズの香りが。それがまた、晃司の欲情をさらに熱くさせた。
唇は、触れ合うだけのキスから、唇と唇をはさみ合うキスへ。
「ピチャ…ピチャ…んふぅ…」
気付けば、激しく音を立て、吐息が漏れていた。ここまでくればもう、舌を入れ合うまでそう時間はかからなかった。
強引な晃司のキスに腰から背中から感じすぎて、ゾクゾクが止まらない梨奈。
「んんん…ヌチャ…ピチャ…」
濃厚な舌の絡み合いは段々激しくなり、お互いを吸い尽くすほどに求め合って
いた。
ひとしきりキスを堪能すると、二人は再び見つめあった。
「どうしよう、感じすぎて…腰がおかしくなっちゃう…」
「じゃあ倒れても平気な所に行くか。今夜はもっと梨奈を感じたい。」
こうして肩を寄せ合い、二人の姿は再び雑踏の街中へと戻っていった。
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