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魔王からの求婚回避作戦  作者: 水槽の苔
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魔人とは何なのか


そして間もなくネオジムに着くという頃になって、ルーカスは満足し、講座を終わらせた。詰め込まれ過ぎて、頭から尊い何かが流れ出てしまった気がする。


普段、一般常識を教えてもらうときはこうはならないから、ルーカスの興味のあるもの、研究の話題は提供しないようにしよう。二度と同じ轍は踏まないと固く心に誓ったアスカであった。


「で、ライラさんとはどうなったの?」


アスカの興味は断然そちらである。というか魔法遺物には興味が無い。


「ライラさんはルーカスの奥さんですよ。異種間の婚姻ってあまり無いのですが、ルーカスがライラさんにベタ惚れで口説きまくった結果結婚したらしいです。


有名な話ですよ。ルーカスの奥さんは美人すぎるエルフで人見知りだって。


私は今から向かうネオジムでライラさんと交代して、魔の国に帰ることになってます。


この執事の首根っこを抑えられないので、アスカ様!どうか、頑張って下さいませ」


ラムちゃんの発言にえ!と戸惑った。ライラさんがルーカスの奥さんだったことについてはまぁ、だろうねといったかんじである。


「そんなの知らなかったんだけど。ていうかなんで?私ラムちゃんとの方が気が楽でいいんだけど……」


実はですねと、ラムちゃんが語り出したことによると、ラムちゃんは魔族の中でも魔力の弱い一族の出なので、長期間魔の国から離れられないようだ。


魔力タンクが小さいので魔力補給が出来なくなった時、生命の危機になる。しかも、空気中からの魔力補給も苦手らしい。


食べ物で得られる魔力は野菜や果物ならその食べ物を育てた土地にある魔力に依存する。つまり、魔力の少ない土地で育てられた食べ物からの補給は効率が悪い。かといっていっぱい食べられるものでもないので、無理だと悲しそうに語る。


「ラムは強いのですが、それが玉に瑕なのですよ。あと、口煩いところもでしたね」


憮然とした顔でアルスが本に目を向けたまま呟く。


「こんな失礼な執事いらないですよね?私がちょっと捨ててきますか?」


ラムちゃんの握りこぶしがやばい。血管がはち切れそう。あと、身体が電気を帯びてバチバチしてる。


「バチバチしてるよ、怖い怖い。ラムちゃん落ち着いて。電車が魔力干渉で止まっちゃうからっ!」


「わぁ!ごめんなさいっ!」


ラムちゃんは異常な帯電体質というか、感情の高まりで魔力放出して、それが帯電してしまう体質である。しゅーんとして、バチバチが収まった。つーか、まぁこれが原因で魔力が身体に貯まらないのだろう。


魔人の身体は魔力で動いている。血液とかそういう概念ではなく、燃料が魔力というか。多分、あれだ、生物で習ったやつ、なんだっけAPT?の代わりに魔力が燃焼してるっぽい。


ちなみに、魔力の上限は老化で減っていくものらしい。一定の魔力以下にならないと、子どもが為せないようになっているというのが、一般的な理論。


魔力がなきゃ死んじゃうのに、その魔力を大量に使って力を示す。でも魔力があり過ぎると子供ができない。魔人っていうのは因果な生き物だなと思う。


私が魔人か否かということも考えてみた。分からないのだ。魔人の定義は魔力にて生きる高い知能を持った生き物らしい。人型かどうかは不問。私はデカイ蝙蝠が城の廊下を歩いてるのを見たことがある。あれも多分魔人だ。


魔人はある程度近づけば相手の魔力の量や質が分かる。他人から見た私の魔力は分からない。もしくはすごく分かりにくい。私も他人の感知はだいたい出来るし、魔王の威圧とアルスの魔力量の多さくらいはわかる。


でも実は自分でも自分の魔力はわかる時とわからない時がある。自分の魔力が分からなければ、安定して魔法が使えない。そもそも魔法も習ってはいるものの全く才能がないのが丸わかり。


私は魔人というしか説明出来ないくらい魔力の多い人間だと思うけど。多分魔王様に次いで魔力量があるアルスと同じくらいはある。


でも、多分魔力は根源的には私の生命維持には役に立っていなくて、多分魔力はただの追加要素で、魔人ではないんじゃないかなと思う。


魔人じゃないのに記憶の魔女をしていてもいいのか。魔法がほとんど使えないのに、3大権力者の1人でいてもいいのか。これはずっと私が思い悩んでいること。


代わりになれる人がいなければこの役職を辞められないなら、代わりになる人を探そうと思っている。これはアルスにもだれにも言ってないけど、私が旅に出た大きな理由のうちのもう一つ。


アスカよ、ATP(アデノシン三リン酸)だと思うよ

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