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魔王からの求婚回避作戦  作者: 水槽の苔
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聖女の犬は魔王妃になりえるのか


アテもなくどこかにいる理想の魔王妃を探すのは馬鹿馬鹿しい。


争いがたくさん起きている所とその周辺部、あとは有名な魔術師の弟子辺りが狙い目ではないかとアスカは予想した。


今争いが多いのは魔の国からは非常に遠い人の国らしい。とりあえず、めぼしい人物に会いながら人間の国まで行くのが目標になっている。


人の国は他の国とは違って、沢山の国があって、あまりまとまりがない。


その中でもっとも有名なのが聖公国ルテチウム。ルテチウム教という非常に敬虔な宗教でもって国が治められているらしい。


教皇が君臨し、聖女がいるその国はもっとも穢れなき国と呼ばれている。その聖女の犬と呼ばれている非常に魔力に優れた人間の少女が今回のターゲットになった。


なんでも、各地でルテチウム教では禁止されている子供の奴隷を解放してまわっているらしい。それが魔の国の近くのエルフの国まで来ているのを聞いて、彼女をたずねてみることになった。


ちなみに、奴隷には借金奴隷や犯罪奴隷がいるが、大人のそれは黙認されている。聖ルテチウム公国もこれに関しては何も言っていないもよう。なんか、別に俗物的な普通の国じゃないの?


「ぶっちゃけ、多分魔王様の好みじゃないかもね。だって、聖女様敬愛し過ぎて聖女教徒みたいになってるとか噂で聞いたよ」


前の街の宿で聞いた話をアスカがげんなりしながら言う。


現在、一行は今電車に乗っている。


ファンタジーなこの世界に電車があるのかという疑問は、15分ほど前、仕組みを聞いて納得した。


動力が魔力である。しかもエルフの信仰する聖樹の。


あとは聖樹が国中に枝を伸ばしているのでそれを利用して、動力を手に入れているらしい。そして、車体は巨大な木の実っぽいものである。聖樹にぶら下がった蔓植物でスイスイ進む。6人乗りの完全個室で予約制。なんか電車というより路線の決まったタクシーみたいな感じの乗り物である。


つーか電気でもないのに、電車かよ!と思った諸君!そもそもここの世界と日本では言語が違っているから、翻訳された結果電車になっているだけなのだ。


初めてこの世界に降り立ったとき、アスカは周りの人との意思疎通は出来なかった。しかし、現れ方が特殊だったアスカがどうやら異世界からの旅人だと判断した人達がアスカに魔法をかけた。


その名も翻訳魔法。


これ、海外に行ったことある人はみんな習得する簡単な魔法なのである。最初の数回は周りの人にかけてもらったが、その程度の魔法素養は普通だれにでもある。アスカも大した苦労もなく習得している。


この翻訳魔法で通訳されてしまうので、電車なのであって、本来はなんていうのか謎。意思の疎通さえとれてしまえば別に平気なので、翻訳魔法様様なのである。


話は戻って、聖女の犬についてである。聖女の犬とその名がついているとおり、聖女様の為に動く教会のなかでも指折りの実力者である。武闘派らしい。


「まぁ、それはそれ、これはこれですよ。あの人は相当魔力あるという話ですし、魔王様の権力に目が眩むタイプの人間ではなさそうですよね」


アルスが上手いこと言い換えたが、要するに権力どころか魔王様の自身すら眼中にない、聖女至上主義の少女である。見込みがひっじょうに薄いということだ。


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