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六振り目

 あの後、およそ30分程度をかけて「製錬」を行って出来上がった「銅インゴット」は5つ。おおよそ6分に1個の計算だ。

 当然というべきか、モンスターを1匹狩るのに比べ、かなり時間がかかる。

 このゲームは熟練度、つまり、数をこなさなければスキルが上達することはない。

 つまりはまぁ、「鍛冶」を含めた<生産>タレントのスキルは、育てるのに時間とお金が<戦闘><魔導>のタレントよりもかかってしまうという、覆しようもないハンデを背負っていることを証明しているのだ。


 まぁ、熟練度ばかり上がっても仕方がないから、別にいいんだけどな。


 そんな事情を考えながらも、鍛冶場の入り口にいるNPC、マックスに出来上がった「銅インゴット」を納品する。


「おぉ!初めてにしては上出来じゃないか。後は才能に振り回されるだけじゃなく、火の扱いにもう少し精通すれば、もっと良いものができるんじゃないか」


 その指摘は、俺も十分身に染みてわかっている。


 今回の作成は、なんだろう、システムに手取り足取り教えられながら作った、というのが感想だ。


 そもそもシステムからの助言というのは、ある一定の手順、方法を教えるための補助的なものである。だからこそ、助言ありで作られるアイテムというのは、それこそ店売りのものと変わらない性能、効果しか得られない。


 それに、手取り足取り教えられながら作ったものを褒められても、あまりうれしくはない。

 だってそうだろう。それは、確実に成功することが約束されているのだから。


 どうせなら、自分で一から作ったもので、成功するかどうかも分からないものを重ねて作り上げる、自分だけの技術で褒められたい。


 まぁ、ゲームとはいえ、今日初めて「製錬」を行ったプレイヤーがこんな思いを持っていること自体、大口をたたいていると言われても仕方がないのかもしれないが。


「どうにも、ふいごのタイミングっていうものがつかめなくて、難しいものですね」

「そう簡単に出来りゃあ苦労はしねぇさ。あれは火じゃなくて、入れる鉱石の反応を見るんだ。兄ちゃんなら、少し慣れればすぐに上達するさ」


 なるほど。確かに、一定時間空気を送り込まないと、鉱石からの赤い輝きが鈍くなっていた……ような気がする。タイミングというと、その輝きが薄れ始める瞬間か?


「それに、ふいごを押す力も重要だ。あれは急いで押しても効果が薄いからな。ゆっくりと、長く押さねぇと空気が十分にいきわたらねぇ」


 そんなことも気をつけなければいけなかったのか。というか、このNPC詳しいな。

 もしかして、この人から色々聞けば、コツ何かを教えてくれるんじゃないだろうか。


「えっと、もっと具体的に何秒くらいとかは」

「おいおい、そこまで教えたらこっちの商売あがったりだ。後は経験で覚えな。教えられたとおりにやっても、上達はしねぇだろう」


 ぬ、それは確かに。自分なりの答えを探さないと、こういうのは楽しくないだろうからな。


 溜息と共にそんなことを考えながら、クエスト画面から「完了」のボタンをクリックする。

 それにより、先ほどのクエストの報酬として、幾ばくかの経験値とゲーム内マネーであるG、そして「銅インゴット」をはじめとしたいくつかのレシピと素材がアイテムボックスに収納された。


「さて、続けて『鍛冶』も体験してみるかい?」

「はい、お願いします」


 まだ時間はあるし、一通りのことをしておこう。

 俺の了承に豪快な笑みで答えるマックス。現れた新たなクエスト画面にタッチし、次のクエスト「銅剣作成」を受注した。

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