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四振り目

 あの後、ガブリエルから鍛冶場の場所と<生産>関連のクエストを教えてもらった俺は、早速行動を開始した。


 やることはもちろん、クエストの受注だ。

 ガブリエルの言った通り、「レシピ」を手に入れなければ何も製作ができないのであるならば、まずはクエストをこなして「レシピ」を手に入れなければ始まらない。


 そんなわけで、<生産>タレント用クエスト内でも、鍛冶に関連するクエストを求め、「始まりの街」の南東側の「産業区」に位置する鍛冶場に向かった。


 このゲームでは、何かを作成する場合、それ専用の施設を利用する必要がある。ポーションや解毒剤など薬品関連は「薬師院」、弓矢や杖など木材関連は「木工所」、そして、剣や鎧など金属関連は「鍛冶場」と決まっている。もちろん。使用にはいくばくかのゲーム内通貨、通称「マニー」が必要となる。公共の施設くらい、無料で使わせても良いと思うんだけどな。


 そして、<生産>タレント用クエストは、その施設の入り口で待機しているNPCに話しかけると受注できるらしい。いわゆるタレントごとのチュートリアル、というところだろう。


 このチュートリアルをこなせば、晴れて好きに鍛冶が出来るわけだ。いやぁ、何作ろうか迷うなぁ。どちらかといえば鎧よりも刀剣の方が好きだし、どうしようかなぁ。

 難しいとは言われたが、難しいほうが、燃えるじゃん?

 簡単に出来るのも良いが、試行錯誤の上で最高の一振りが出来た時の興奮は、いかほどのものなんだろうか。早く打ってみたい。早く作ってみたい。

 まぁ、素材を集めるという面倒な作業は定期的にしなければならないだろうが、東側の城門を少し歩くと、鉱石の取れる洞窟があるらしいから、そこまで手間がかかるというわけでもないだろう。

 そんなことより、今はチュートリアルだ。何事も基本は大事だ。職場でも先輩にそう教えられた。後輩にもそう教えている。


 そんなことを考えながら走り続けて数分、ようやく鍛冶場の前まで到着した。

 外観は他の建物同様、石造りでできており、開け放たれた複数の窓から中が覗けるようになっている。

 中を見れば、熱せられた空気と共に、ずらりと並べられた椅子と小型の炉が目に入った。

 NPCであろう男たちは、その炉で溶かした鉄を木製の長い筒状の容器に移していく。

 その一方、隣の男は鈍い輝きを放つ剣を一心不乱に打ちながら、刃を鍛えている。

 ああ、いいなぁここ。この近くでログアウトするようにすれば、ずっとここで武器を打ち続けられるんだろうなぁ。むしろ、この鍛冶場に宿泊施設ないのかなぁ。

 ただ、空いている椅子が思いのほか多いのは、やはり、先ほどガブリエルが言った通り、難しいことで避けているプレイヤーが多いということなのだろう。


 このまま見ているのも良いが、実際に体験するために来たのだ。まずはクエストだな。

 そう思い立つと、俺は食い入るように見ていた景色から視線を外し、扉の傍でほほえましそうに見つけている筋骨隆々の男性NPCに近づく。いやぁ。ガブリエルに話を聞いておいてよかった。NPCの場合は、頭上に表示される名前が青く表示されるということを知らなかったら、多分プレイヤーに話しかけていた可能性がある。

 ちなみに、プレイヤーは白、敵MOBは赤で表示されるらしい。確か、話しかけるだけで良かったはずだ。


「えっと、『鍛冶』について知りたいんだが」

「おぉ!『鍛冶』の才能を持つものだな!歓迎しよう、若人よ!」


 そう言うとNPC、もとい「マックス」は『鍛冶』関連のクエストの説明を始めた。それと同時に、俺の目の前にはシステムメニューが展開され、クエストを受けるかどうかの確認が求められる。

 クエストの内容としては、素材である「銅鉱石」から金属を製錬し、「銅インゴット」を作成することらしい。

 ここで、製錬という手順を踏むということは、そこでの成果が鍛錬の結果にも影響する、ということなんだろうか・・・?


 まぁ、今はやっていかないと分からない。

 システムメニューの選択肢から「Yes」を選ぶと、アイテムボックスに「銅鉱石」が入り、生産項目に「銅製錬」のレシピが追加されたことを確認すると、鍛冶場の中に入っていった。

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