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二振り目

「まずは挨拶と行こうか。僕の名はガブリエル。本当は僕のことを色々紹介したいのだけど、今は君のことだ」

「俺はイチモンジ。一応鍛冶屋をやるつもりだ」


 大通りから一本抜けたところにあるカフェのような建物。ガブリエルと名乗った銀髪の男と共に、まだプレイヤーが誰もいない店内の奥まった場所に座り、話を始める。

 というか、名前もまた……。いや、良いんだ。お前さんがそれでやっていくというのなら、俺は何も言わない。名前呼ぶのがすごく恥ずかしいが。

 まぁ、こんな場所を知っているあたり、βテストに参加していたというのは本当のことらしい。店内を色々見てみたいが、まずは相手の話を聞いてからだろう。


「では、まずはイチモンジ君がこのゲームのことをどの程度知っているのかを知りたい。尋問するようで申し訳ないが、いくつかの質問に答えてくれないか?」

「俺は構わないが、おま……ガブリエルは良いのか?こんな面倒な後輩の世話をしないでも良いんだぜ」

「フッ。構わないさ。初心者を導くのはベテランの義務だからね。それに、僕の友はリアルの方が忙しくて、今日はインできないらしい。だからまぁ、時間は余っているのだよ。」


 ひとつわかったことだが、ガブリエルはかなりのお人よしらしい。しゃべりは演技がかっているし、見た目は色々と痛々しく見えるが、初心者の俺を心配し、ここまでしてくれるのだ。

 すまない。見た目だけで引いてしまって。辛くてもちゃんと正面から見ることにするよ。


「ではまず、このゲームのコンセプトについてだ。これは公式HPにも乗っているから…流石に見ているよね」


 なんでそんなに不安な顔なんだよ。大丈夫だって。


「『幻想を現実に』だろ?誰もが持つ夢や想像を実現するRPGって触れこみだったな」


 PVでもしきりに言っていた。俺たちプレイヤーはこの「エルベルト大陸」に生きるひとりである。時には戦場で巨大な魔物と戦い、時には遺跡に潜り、秘められた宝を見つけ出す。自分の隠された願いを叶える場所。そのために――


「俺たちには『タレント』と呼ばれる可能性が授けられている」


 タレント。このゲームシステムの根幹を司っているシステムである。


 このゲームを始める際、俺たちは<闘争><魔導><生産>という3つのタレント、才能の組み合わせを選ぶことで、今度の成長傾向を決めることができる。


 <闘争>はその名のとおり、戦闘全般ことに関するタレントだ。強靭な肉体を持ち、特定の武器を使いこなし、戦闘に有利になる必殺技を多数有している。肉体を扱う行動に特化した才能である。

 <魔導>は魔法に関するタレント。特定の魔法属性に特化し、強力な魔法を使うことができる。その他にも、精霊との会話ができ、「幻想種」と呼ばれる使い魔をも操る、ファンタジー要素を満喫するための才能だ。

 最後の<生産>は、戦闘には秀でてはいないが、敵MOBが落とすドロップアイテムやフィールド上に点在している素材から様々なモノを作成することができる。現状では「趣味職」とも呼ばれている才能だ


 このそれぞれ特徴ある3つのうちからどれかひとつ、もしくは2つを選ぶことで、そのキャラクターの個性が産まれ、それを成長させることでよりオリジナルなキャラクターとなっていく、というところである。


「基本はしっかり覚えているようだね。では、ひとつだけを選択した時と2つ選択した時、そのメリットデメリットは知っているかい」

「確か……取得できるスキルに制限がつくんだったか?」


 タレントを選んだあとには、更にどのようなことができるのかを示す「スキル」を選ぶ必要がある。初期に選べるスキルは5つ。それ以降も各スキルの熟練度に応じてスキルを得るチャンスが訪れるが、キャラクターを作成したばかりの俺にとっては、まだまだ先の話である。


「そう。例えば、<闘争>のタレントの中に『二刀流』というスキルがあるけど、これは複数のタレントを持っていると取得できない。他にも、ステータスはスキルの熟練度に応じて上昇していくから、タレントがひとつのキャラクターの方が、より高いステータスになっていくよ」


 なるほど。つまり、タレントがひとつだけの場合は、その分能力が特化していくから、2つのタレント持ちに比べて、高い能力を発揮するということか。ならば――


「タレントを2つ持っているキャラクターは、その分汎用性が高い、ということか?」

「そうだね。まぁどちらも一長一短はあるし、どちらがより優れている、と言うわけではないね。ただ、<生産>だけっていうのは……ちょっとまずいかな?」

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