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十二振り目


「まさか、ここまで大変だったとは・・・・・・」


 あれから数回、「牙ウリ坊」と戦う機会に恵まれたが、成果は芳しくなかった。

 いや、欲しかったドロップ「獣の牙」については上々だ。これだけそろえば色々と練習もはかどるだろう。


 問題は、戦闘の方だ。


 何度か戦闘をする機会もあったが、結果として、1人で戦うには鍛冶以上の時間と集中力が必要になることが分かった。


 攻撃力も高くないため、剣で斬ってもあまり大きなダメージにはならず、HPもそれほど高くないため、良いのを数発もらっただけで死に戻りを経験することになってしまう。


 つまりは、鍛冶用のドロップ素材を集めるのには、大変な労力のわりには、手に入るものは微々たるものである、ということだ。


「そ、そんなに疲れちゃった?やっぱり<生産>だけだつらいのかな?」


 近くの切り株に座り込んでいる俺を、ソルティは心配そうに見つめてくる。


「いや、慣れていないだけだよ。まぁ、今後も好んで戦闘はしないだろうけど」


 乾いた笑みをこぼしながら、そう伝えると、ソルティも苦笑いで返した。


 さて、どうしたものか。

 ここは、一番最初に来ることのできるフィールドのひとつだ。つまり、敵もそれほど強いわけもなく、<闘争>や<魔導>のタレント持ちであれば、十分に対応ができるレベルなのだろう。


 そんな場所でここまで苦戦するということは、戦闘、というよりも、今後の素材集めにはかなり苦労することが容易に想像ができてしまう。


 また、<生産>タレントのみの厳しさを知ってしまった。まぁ、鍛冶ができればよいのだから、その辺は人に採取をお願いすれば良いのだろう。後でガブリエルに色々聞いてみよう。


 それに、ずっと落ち込んでばかりいるのは、一緒に戦ってくれたソルティに申し訳がない。


「でも、欲しいものは十分に集まった。ありがとな」

「いえ。もとはと言えば、私が迷惑をかけちゃったのが原因なわけだし」


 今回の効果として、予想外のモノと言えば、ソルティとの距離が幾分か縮まったことであろうか。


 最初は、お礼をする側とされる側、という関係が強く、どうにも微妙な距離感で居心地が悪かったが、こうして数時間も一緒に戦っていれば、そんな罪悪感なども薄れていく。というよりも、そんなことを考える余裕もなくなる。


 だってあいつら、基本的に数体セットでいるんだもの。一度、俺の方に2体来た時は死に戻りを覚悟した。必死で逃げきったが、あれは二度と体験したくない。背後から襲撃者の荒い鼻息が聞こえるなんざもうこりごりだ。


 それでも、今回の急造パーティはこれで終了だ。すでに夜も遅い。今日はこの辺で解散して、明日改めてこのドロップを使った武器の作成を始めようかな。


「と、そろそろ良い時間だな。後は戻ってログアウトしたいだが、もう少し狩っていくのか?」

「いえ、じゃあ私もここで、これ以上遊んでいると、明日起きるのが辛いからね」


 そう言いつつも、ソルティは何かを言いたそうに、こちらを見て、そしてすぐに視線を外す。


 何か俺の体に変なモノでもついているのだろうか。

 切り株から腰を上げ、体を払って立ち上がるが、特に何かが落ちてくるようなことも、変なモノがついている様子もない。


 疑問に思っていると、「あー、うー」などと呻きながら、彼女は少し頬を赤らめながら言葉を紡ぐ。


「も、もしよければ、フレンド登録させてもらっても・・・?い、いやほら!<生産>タレント持ちなんて初めて見るし、どんな感じなのかなぁと思って!」


 身振り手振りを駆使しながらも、必死に話しかけてくるソルティ。

 そして、その言葉で、フレンド登録をすっかり忘れていたことに気づいた。


 いけない、こういうのは最初に言い出すべきだった、かな?


 可愛らしくも、申し訳なくなるその慌てぶりから、そんなことを思ってしまう。


「いや、俺も言いだすのをすっかり忘れていたよ。折角だし、予定があるときにでも見に来てくれ。良い一振りを作ろう」


「は、はい!よろしくお願いします」


 ソルティは、そう返答しながら、華のような笑みをこぼす。


 なんというか、当初の予定では、もっとストイックに鍛冶に打ち込む予定だったのに、随分と変わってしまったようだ。

 だけど、その変化も好きだと思ってしまう自分もいる。


 そんな予定外の賑やかな一日に思わず、笑みがこぼれた。



申し訳ございません。

ここで一旦、プロットの整理と合わせ、今まで書いたものの再校正をするため、

しばらく続きの執筆をお休みさせていただきます。


流石に1年放置等々はする予定はないので、続きの準備及び修正の準備ができ次第、

活動報告で連絡させていただきますので、少々お待ちください。

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