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ちょっと仕返しでも

 んっ、いてて……。

 早朝に目が覚めた。窓の外からはわずかに鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 どうやら気を失い、そのまま寝てしまったみたいだ。

 ――ズキッっとおでこより少し上の部分が傷む。

「なにも力いっぱい本で――それも角で殴ることはないのに」

 漫画本で助かったというべきか。辞書だったら目覚めることはなかっただろうな……危なっ! 一歩間違えば死んでた!?

 寒くはないけど、ブルッと体を震わす。

 一応毛布をかけてくれたおかげか、体調を崩さずに済んでいる。しかし……。


 なんて言えばいいんだろうか? ――うーん一言で表すなら『雑』?

 

 毛布が顔全体にかぶせられているせいか、足が半分以上出たままだ。それに――よいしょっと。

 毛布を引き剥がす。やっぱり斜めになっていた。俺は寝つきがいい方だから、自分でこんな風にしたとは考えられない。

「まったく……もっと相手のことを思えば毛布の掛け方くらい……いや、待てよ?」


 ……布団なんて寝るときになったら誰だって掛けるんだから、ルナもそのくらい知ってるはずだよな? 実際、昨日も普通に頭出して寝てるのを見てるし。

 ……ってことは雑に扱われたのは『毛布』じゃなくて『俺』か。そうだよなー、毛布より俺の方が価値薄いよなー、納得、納得……っておい。

 さすがにそれはひどいだろ。

 ん? ちょっと待てよ、それならもしかして顔にかぶせていたのは、「お前の顔なんか見たくない」という意思表示!?

 いったいどれだけ怒ってたんだよ! ってか、何に対して怒ってたんだよ! ――そりゃ俺にか。でも理由が全くわからん。


 ちなみにルナはというと、昨日と同様に布団をクッションにベッドから落ち、そこですーすーと寝息を立てている。

 腕には大きな垂れ目パンダのぬいぐるみを抱えたまま。幸せそうな寝顔だ。


 ちょっとばかり悪戯心が湧いてしまう。

 やられっぱなしというのはね、ダメでしょ。

 

 ――というわけで考えてみる。

 まず思いつくのが大事そうに抱えているぬいぐるみのすり替えだな。なにか怖い人形とかに……といっても何もないからなー。それじゃあ仕方ない、俺がその代わりに――ぐはっ……。

 わき腹に強烈な蹴りが……起きてる!? 心読んだ!?

 いやぐっすり寝ているか……そりゃ、そんだけ動けばベッドから落ちるわ。

 ぬいぐるみのすり替えは諦めよう。寝ながら動き回る相手とか無理、無理。それによく見たら抱いているというより、完全に人形の首絞めてるし。俺だったら窒息してるな。


 じゃあ、他に方法は……思いつかん。……そうだ、ネットで調べれば何か出てくるかも。


 …………。

 ……これでいいか? あとはこのボタンを押せば……よしっ。


 いやー探せばあるもんだな。

 悪戯のセット完了。せっかくベッドも空いていることだし、もう一度寝るか。

 ベッドに横たわる。

 床とは違い、すごく寝やすい。さすが寝るための家具。部屋の六分の一ほど場所を占めていても必要不可欠だ。

 どうせ落ちるんだから、もうルナが最初から床に寝ればいいんじゃないかな?

 ――なんて思いながら、眠気に身を任せた。


 ちょっと音が気になるから耳を塞ぎながら眠りにつく。

 悪戯うまく決まるだろうか?


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