第8話 今日も釣りをします
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第8話 今日も釣りをします
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「換金をお願いします」
昨日の受付オッサンに査定表を差し出す。他にも空いている受付もあるけど、何かの縁だからね。
「ギルド証を出せ」
ギルド証を渡すと、受付オッサンは機械に入れて何かをした。
「常時依頼を達成した記録をつけたんだよ」
「あー、なるほどー」
「21万Gだ。あまり派手に使うなよ」
「はい。俺は堅実がモットーですから!」
「それならいい」
21万Gって、重いんだな。
スズキさんほどじゃないけど、重い。
グランベルさんたち【雷神の鉄槌】は、収納系便利アイテムのアイテムボックスを持っていたんだけど、俺もいつかアイテムボックスを手に入れたいな。
冒険者ギルドを出て市場へと向かう。
もうすぐ昼だから何か買おうと思っていたら、いい匂いが漂ってきた。
ケバブのような肉と野菜を薄い皮で巻いたものを購入した。ダッケスというらしい。600Gで買えるのが、お手軽でいい。
ダッケスを食べながら、歩いていると服の露店があった。古着ばかりだけど、俺が着ているものよりはいいものだ。
「お姉さん、俺に似合うのを見繕ってもらえますか。下着も靴下も全部3着ずつでお願いします」
「随分と礼儀正しい子だね。しかもお姉さんときたもんだ。いいものを見繕ってあげるよ! 少し待っておくれ」
恰幅のいい《《熟お姉さん》》が気分よさそうに鼻歌を歌いながら俺の服を見繕ってくれた。
さすがに下着と靴下は新品だけど、他は古着だ。
「全部で52,500Gだけど、50,000でいいよ」
「ありがとう。これで」
代金を支払い、服を背負い袋に押し込む。
次は靴がほしいので、お姉さんに聞いてみた。
「靴は露店じゃ売ってないよ。あの赤い建物の横の道を奥にいくと、革職人の店があるから、そこにおいき」
「ありがとうございました」
革物店があったので、入ってみる。鞄や靴、ベルトなどの革製品が陳列されている。
アイテムボックスも売っているようだが、現物はなく立札だけある。高額商品だからオーダーメイドのようだ。
「いらっしゃい」
店員または店主はエルフの男性だった。とても綺麗な顔の男性で、年齢は分からない。エルフもドワーフも年齢が分からない種族なんだよなー。
「靴がほしいのですが、水に濡れてもよいもので丈夫なものはありますか?」
「置いてあるのなら、あれだな」
エルフは面倒くさそうに指を差した。
その靴を履かせてもらう。やや大きい。
「もう少し小さいものはないですか」
「オーダーメイドになる」
オーダーメイドは当然ながらお高い。
恐る恐るいくらか聞いてみた。
「そのヒポパッカス革の靴は10万Gだ」
「それをお願いします」
「前金で半額をもらう」
「はい」
半金の5万Gを渡すと、足の採寸などをしてくれ、最後に引換券をもらった。
「5日後にできる」
「分かりました」
口調はぶっきらぼうだけど、仕事は丁寧だったので職人気質の人なんだろう。期待して待とうと思う。
他にもタオルなどの雑貨を1万Gで購入し、宿にチェックインした。
スズキさんのおかげで、色々買えたよ。感謝感謝。
シャワーを浴びて服を着替える。
「ふー、さっぱりしたー」
今まで着ていた服は、ボロボロだから短剣や剣を磨く用にしよう。
その短剣をゴシゴシ磨きながら、魔力フィールドを展開する。
今日の釣りで分かったことだが、魔力フィールドと魔力触手は同時展開が難しい。何かをしながらどちらか一方の発動も難しいので、今後はこういったことを鍛えていこうと思う。
短剣を磨くが、あまり綺麗にならない。宿の井戸で洗わせてもらったが、それでも曇りがある。
「そういえば、剣用の油とかあったよな?」
前世の知識のうろ覚えだ。
今度グランベルさんたちに会ったら聞いてみよう。
短剣を磨きながら魔力フィールドを展開していたけど、なんとなくコツが分かったような気がする。今朝よりは格段に上手くできていると思う。
そこで魔力フィールドと魔力触手を同時に使えるようにするが、こちらはさらに難しい。
夕食を挟んで寝るまで同時展開しているが、全然駄目だ。でも魔法を発動させるよりは簡単な気がするので、がんばってみる。
いつの間にか寝てしまったようだ。
今日も海に出かけるが、市場で餌になる肉を購入。
今日は風が強い。寒いというほどではないが、おかげで波が高い。
先ずは魔力フィールドで魚のいる場所のめぼしをつけて……。
この海は20mほど先で一気に深くなっていて、そこから先に魚モンスターがいる。
よく考えたら魔力フィールドって優秀だな。海の中でも地面の下でも、展開範囲内なら3Dマップのような感じで認識できる。
「これだけでもそこそこチートな気がする……」
家を出て生活をどうしたものかと思ったが、冒険者としてやっていけそうでよかったよ。
いくつかの魚影を確認していると、リフィナンテスと思われる鯛っぽい魚がいた。
そのポイントに肉をつけた針を魔力触手で送り込む。
今度は魔力フィールドで肉とリフィナンテスの位置関係を確認して調整する。
同時展開できないと、いちいち切り替えないといけないので面倒だ。
しばらくすると、リフィナンテスが肉に食いついた。スルスルッとロープが持っていかれるので、必死で引っ張る。
「うんしょ、どっこらしょ」
昨日も思ったが、なんで俺はもう少し小さめの魚にしないのかと……。
「ヒーヒーフー」
「ッヒッヒフー」




