第67話 襲撃
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第67話 襲撃
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食堂を出ると、すっかり暗くなっていた。
街灯はあるけど、大通りにしかない。一本道を入ると、真っ暗だ。
そんな真っ暗で人の気配がないところで、俺たちは前後を挟まれた。
6人は10人に増えており、その中の1人には見覚えがあった。
「おい、お前ら稼いでいるんだってな」
「お前、ボーマンか」
見覚えがある1人は以前ツキオス君らと一緒にいたボーマンという少年だった。随分と薄汚れていることから、ロクに稼いでいないんだろうな。
「金を置いていけ。そしたら命だけは助けてやる」
「あと、その女も置いていけ。しっかり調教してやるからよ。ギャハハハ!」
なんともテンプレな悪役たちだな。
「ボーマン! なんでこんなことをするんだ!?」
「は? なんで? お前らが稼いでいるってのが、気に入らないんだよ。お前らだけいい思いしやがってよ!」
「お兄ちゃん、ボーマンはこういう人なのよ。少しだけだけど、一緒に行動したけど、こういった人なのはすぐに分かったじゃない」
「ツキオス。僕は覚悟を決めているよ」
「……レットン。分かった僕も覚悟を決まるよ」
「おいおい、何をごちゃごちゃ言っているんだ? さっさと金とアリスを置いてケツまくって逃げな」
素晴らしい! 俺は今、猛烈に感動している! こんなに清々しいクズは滅多にいない! そんなクズを、愛弟子たちがどう処するのか、ワクワクしながら見守っている。
「おい、てめぇーもだ!」
「え、俺?」
なんと俺も対象だったらしい。ま、そうだよね。
「俺に金を置いていけと?」
「死にたいのか、てめぇ」
3人が剣を抜いて俺に向ける。
仕方がない。見物料として1,000,000Gの入った革袋をボトリッと地面に落とす。
「情けねぇヤツだな。って、こりゃー大金だぜ!」
「どれどれ、本当だぜ、数十万はあるんじゃないか!?」
「丁度1,000,000G入っているよ」
「ギャハハハ! 1,000,000だってよ!」
こいつら、分かっていないのかな。
普通、そんな大金を持ち歩いている一般人はいない。金持ちか貴族か、もしくは高ランクの冒険者だ。
金持ちか貴族なら護衛がいるだろうし、高ランクの冒険者なら彼らのような冒険者崩れが束になっても敵わない。
そういったことが分からないから、こういったことをしているんだろうなー。
俺のお金を拾ったヤツが、カバンに革袋をしまった。あれはマジックバッグか。
「ツキオス君の覚悟、しっかり見せてもらいますよ」
「はい、師匠」
「あと、あいつはマジックバッグを持ってますから、殺さないように」
ぼそっと耳打ちする。
「え、あ、はい」
「何をゴチャゴチャ言ってんだよ、てめぇグゲッ」
ツキオス君の拳が顔面にめり込んだ。これは最低でも鼻が折れたな。
冒険者は吹っ飛び、建物の壁に叩きつけられた。
ツキオス君とほぼ同時にレットン君も動き、槍を冒険者の喉に突き刺した。躊躇のない突きだ。
一泊遅れ、アリス君のウオーターアローが発動し、冒険者の腹を突き破った。
「ぶ、ぶっ殺せ!」
ボーマンが叫ぶが、その間にも冒険者たちは無力化されていく。
「こいつら強いぞ! 逃げろ!」
冒険者が逃げようと走り出すが、見えない壁にぶち当たって倒れた。
「な、なんだ!?」
それは俺の魔力結界です。こんな大事になったのだから、逃げていいわけがない。自分たちのやったことへの責任を果たしてもらうよ。
「アースニードル!」
地面から突き出したアースニードルによって、腹部を貫かれる冒険者。
3人とも躊躇せずに冒険者たちを殺していく。そして、最後に残ったボーマンを3人が囲む。
「あああ……」
「ボーマン。武器を捨てろ。さもなければ、殺す」
「お兄ちゃん、こんなヤツ問答無用で殺してしまえばいいのよ」
アリス君、なかなか過激ですね。それだけボーマンのことが嫌いだったのかな。
「な、なあ、俺たち仲間だったじゃないか。た、助けてくれよ」
「はぁ。よく仲間なんて口にできるわね。仲間はこんなことしないのよ」
「うっ」
アリス君、許さない姿勢ですねー。
「それじゃあ、さようなら」
「ひぃぃぃっ」
アリス君はウオーターでボーマンの喉を塞いだ。
「ゴブビグ」
ボーマンは喉を掻きむしり、苦しんだ。
それを見たツキオス君が、アリス君の肩に手を置く。
「もういいだろう」
アリス君が頷き魔法を解除するち、ボーマンは大きく息を吸いこんだ。そこにツキオス君のボディブローが決まり、全ての空気が吐き出されもんどりうった。
ツキオス君も怒っていたんだね。
その後、レットン君の槍の柄で殴られたボーマンは白目を剥いて気絶した。
「この騒ぎは何事か!?」
警備兵がタイミングを見計らったように現れる。
俺は前に出て、冒険者証を見せる。
「俺はSランク冒険者のクライドです。こいつらに襲われたので、撃退しました」
「え、S、ランク……しかし、君はかなり若いようだが―――」
「それならこれならどうですか?」
宰相府が男爵相当と認める金のメダルを出して見せる。
「これは失礼いたしました」
警備兵はびしっと敬礼したので、いえいえと返しておく。
「この者らを捕縛しろ」
「「「はっ!」」」
「お手数をおかけいたしますが、同道いただき事情聴取にご協力いただけないでしょうか」
「ツキオス君たちは、大丈夫?」
3人の了承を得て、警備兵に同道する。
しかし、俺のような子供では、Sランク冒険者という肩書はあまり役に立たないな。それに対して宰相府からもらったメダルは役に立ったよ。こんなもの要らないと思っていたけど、もらっておいてよかったー。




