第65話 遺跡だと!?
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第65話 遺跡だと!?
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「で、人手がいるんだって?」
「あ、はい。そうなんです。ちょっとジュブレール大森林の奥で探索をしますので、どうしても1人では時間がかかりすぎてしまうのです」
「奥ってどのくらい奥なんだ?」
「歩きで20日から30日ってところです」
「は? お前、そんなところで何をするんだ?」
「秘密にしてもらえます?」
「おう、俺たちは口がかてーことで有名だ」
まあ、洩れても問題ないけどね。あんな場所にあるだけでも簡単に発見されないし、さらに地下へと続く穴はちゃんと塞いでおいたから、抜けがけされても簡単には発見されないだろう。
「実は遺跡を発見したのです」
「「「はぁ?」」」
「お、お前、遺跡って、3日くらいでいけるあの遺跡じゃないんだろ?」
「以前から知られている遺跡ではないです。おそらく俺が初めて発見したと思います」
「マジか……」
「その遺跡を探索するのに、人手が要るってことなのね、クライド君」
「はい、そうです。ミルキーさん」
その瞬間、俺の背筋に寒いものが走った。嫌な予感がする。そう思った刹那、グワンッと視界が反転した。
「え?」
「フフフフフフ。グフフフフフフフフフフフ。アーッハハハハハハハハハハ! 聞いたぞ、クライド!」
「げっ、プリママ!?」
俺は椅子から落ち、プリママにマウントを取られていた。この人、魔力フィールドに映らないのは、なんでだよっ!? まさか視認できる以上のスピードで、俺の魔力フィールドを突っ切ってきたのか!?
ば、化け物め!
「遺跡と言ったよな!? 言ったよね? グフフフ」
俺は目を逸らしたのだが、両手で顔をホールドされグイッとされた。ゴキッと鳴ったよ!? いたいって!?
「言ったよね?」
「……そんなこと……言いましたっけ?」
「あたしの耳は蚊のおならも聞き分けるんだよ」
どんな耳だよ!?
「へ、へー、すごいですねー」
グランベルさん、見てないで助けてください。
「ん、グランベルじゃないか。生きていたのか?」
「殺さないでくれよ……」
「今は母と子の語らいの最中なんだ、邪魔しないよな?」
「……もちろんですよ、ギルマス」
あ、見捨てられた……。
グランベルさんは席に座ったまま、俺たちを見ることなくエールを飲んだ。
「クライド」
「……はい」
「イセキ、イッタ、マチガイナイ」
なんで片言?
ふー、ここはしっかり言っておかないとな。ビシッと言ってやるぜ!
「はい、言いました」
ビシッと言ってやったぜ!
「よし、遺跡にいくぞ!」
「それよりもどいてほしいのですけど」
いい加減、その薄っぺらなお尻をどけ―――痛いっ!?
「なんで殴るんですか!?」
「殴りたかったから」
「……暴力反対」
この横暴暴虐暴君め。
「それより遺跡にいくぞ」
「それよりって……はぁー、いいですけどね。ちょっと規模が大きな遺跡なので、詳細に調べるためにそれなりの人数が要ります」
「ほうほう、そんなに大きな遺跡なのかな?」
「かなり大きいですね」
このホルトンの町がすっぽり2つ3つ入るくらいには。
「人手がいるなら、あたしが集めるわ! グランベル、あんたたちは参加ね!」
「「「えっ!?」」」
強権はつどー!
さすがは横暴暴虐暴君だ!
「なんか文句あるの?」
「「「いえいえいえ!」」」
グランベルさんたちが激しく首を左右に振った。
「ギルマス!」
「げっ、トルテンッ!?」
「またこんなところで油を売っているのですか」
「違うんだ、トルテン! これはだな、大事な話なんだ!」
必死で言いわけをするプリママの襟首を掴むトルテンさん。
「待ってくれ! 遺跡なんだ! 新しい遺跡が発見されたんだよ!」
ピタリッ。そんな擬音が聞こえてきそうなほどの止まりかただ。
「その話を、詳しく」
あれれ?
トルテンさん、どうした?
グランベルさんの横の席にちゃっかり座り込んだトルテンさん。え、マジ? 仕事人間の鏡じゃないのかよ、あんた?
「フフフ。 トルテンは遺跡学者なんだよ。だからホルトンで働きながら、遺跡の研究を続けていたわけだ」
ま、マジかー……。
そんな人もいるんだねー。
そんなわけで、俺はトルテンさんに事情聴取されることになった。
「分かりました。すぐに調査隊を組織します。今回は最低でも片道20日もかかることから、体力のない学者は除外、Sランク以上の冒険者に強制依頼を出します」
トルテンさんがてきぱき動き出した。
「こうなったらサブマスなんかしている場合じゃないですね。私はサブマスを辞任します」
えー、トルテンさんがいなくなったら、このギルドは立ちゆかなくなるんじゃないですか?
「あたしもギルマスを辞任するわ!」
「プリママは駄目でしょ」
「いいのよ。あたしはギルマスって柄じゃなかったんだから」
「それは知ってます」
「あんだって?」
「あ、いえ、何でもないです!」
それからはスケジュールも決まる。トルテンさんはすぐにでもいきたかったようだが、片道20日以上だから準備に時間がかかるし、王都に報告やらなんやらあり、学者がくるこないという話もあるので、調査隊は30日後に出発ということになった。
「俺は知り合いに確認してきます。手伝ってもらえるというなら、連れてきますので」
「分かったわ。こっちはこっちで準備を進めておくからー」
プリママは機嫌がいい。
そんなに遺跡調査したいのかね?
それともギルマス辞任が嬉しいのか? どっちでもいいけど、プリママの機嫌がいいと俺への被害がないので嬉しいよ。




