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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第58話 闇ギルド依頼

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 第58話 闇ギルド依頼

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 はい、ホルトンの町に帰ってきました。

 1カ月もジュブレール大森林で彷徨っていたよ……。

 ま、それはいい。野営は嫌いじゃないからね。

 問題は……。


「ギルマス!」


 ギルドに入るなり、職員たちが俺たちを取り囲んだ。

 3日で帰ると言っておいて、1カ月も帰らなかったのだ。誰でも心配するし、仕事は溜まりに溜まっていることだろう。


「それじゃあ、俺はこれで」


 ガシッと肩を掴まれた。誰かと思ったら、プリママが涙目で俺を掴んでいた。


「なんですか?」

「手伝って」

「俺、職員ではないので」

「今から職員! 重役! あたしの代理!」

「無理」

「そんな!?」


 今度はサブマスがガシッとプリママの肩を掴んだ。目が血走っている。苦労しているんだね……。

 プリママはサブマスにズルズル引きずられていく。まさかプリママより強者がいたとは……。俺、サブマスには従順でいよう。





 俺がホルトンの町に帰った頃、王都では……。


「ゴッガイル様。クライドフェールンの行方が判明しました」

「なんだと!? どこだ!? どこにいるんだ!? あの野郎、ぶっ殺してやる!」

「ホルトンの町に在住しているようです」

「ホルトン? どこだ、それは?」

「クロディア回廊にある町です」

「クロディア回廊? なんだそれは?」


 まさかクロディア回廊やホルトンの町を知らないとは思わなかった執事アッポンは、説明に窮した。


「王都から自動車で5日の場所です」

「どこでもいい! クライドフェールンを連れてこい!」

「それが……」

「なんだ? さっさと連れてこい」

「クライドフェールンはクライドと名乗り、冒険者をしております」

「だからなんだ?」

「そのクライドはSランク冒険者になっております」

「だからなんだと言うのだ!?」

「Sランク冒険者は貴族待遇として、国が身分を保証しております」

「はぁ? クライドフェールンが貴族待遇だと言うのか!?」

「はい。下手に手出ししたら、国と冒険者ギルドが敵になります」

「……あの野郎、上手いところに逃げ込みやがって!?」


 逃げ込んだわけではないが、世間のことを何も知ろうとはしないゴッガイルには理解が追いつかない。


「提案なのですが、闇ギルドを使いクライドフェールンを確保されてはいかがでしょうか」

「そんな面倒なことを―――」

「直接手を出せば、当家はかなりマズい事態になります」

「……ちっ」

「ですから闇ギルドを使い、クライドフェールンを確保するのです。それなりの金額が必要ですが、闇ギルドを通せば当家の関与は疑われないでしょう」

「……それでいい! さっさとクライドフェールンを俺の前に連れてこい!」

「闇ギルドを動かすには、前金で10,000,000Gは必要になります。後金も同額が」

「構わん! さっさといけ!」

「はい」


 アッポンはすぐに闇ギルドに接触した。


「Sランク冒険者のクライドを攫い、引き渡す。その依頼なら、15,000,000Gだ。前金で7,500,000Gもらう」


 アッポンはお金の詰まった革袋をドサリッとテーブルの上に置く。


「……確かに」

「しっかり頼む」

「任せてくれ。請け負った仕事は必ずやり遂げる」


 闇ギルドとの繋ぎを終えたアッポンは、懐に入れた差額を思い浮かべほくそ笑む。


「これくらいの役得がないと、あんなバカの相手なんてやってられませんよ。フフフ」




 同じ頃、ロイメス男爵領では……。


「なんだと、アッパスを殺したヤツがホルトンにいるだと!?」

「はい。クライドはSランク冒険者に昇格し、ホルトンに落ちついたようです」

「すぐに儂の前に連れてこい!」

「相手はSランク冒険者です。簡単には手が出せません」

「儂の息子を殺したヤツだぞ!」

「Sランク冒険者は貴族待遇ですから……」

「くっ、忌々しいヤツめ! ゴルガス、なんとせい!」

「……闇ギルドを使ってはどうでしょうか?」

「闇ギルドだと? ふむ、それでいい。儂の前にそのクライドを連れてこい」

「闇ギルドにSランク冒険者の拉致を依頼するには、最低でも20,000,000Gはかかりますが」

「構わん!」


 ゴルガスはすぐに闇ギルドに繋ぎを取った。闇ギルドの繋ぎ役はある程度大きな町ならどこにでもいるから、簡単に連絡は取れた。


「へへへ。Sランク冒険者を攫えと言うのですね。それなりに金額が張りますよ」

「もちろん心得ている。15,000,000G、前金で7,500,000Gだな」


 ゴルガスは前金の入った革袋を置いた。

 繋ぎ役は中身を確かめ、ニヤリとする。


「確かに」

「速やかに実行してくれ」

「へい。お任せください」


 すぐにロイメス男爵邸に戻ったゴルガスは、ロイメス男爵に首尾を報告する。しかも、ロイメス男爵には闇ギルドに支払う金額は25,000,000Gだったと告げる。当然ながら10,000,000Gはゴルガスの懐に入るのだ。


「これくらいの役得がないとな。ククク」



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