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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第57話 修羅がいた

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 第57話 修羅がいた

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 なんとかプリママを宥めすかし、俺はギルドを出た。

 市場を回り食材の仕入れをした俺は、革物店へ入った。


「いらっしゃい……」

「お久しぶりです」

「……久しぶりですね。で、今日は何を?」

「夏物のサンダルを購入したいのですが、お薦めはありますか?」

「それならこれを。アイスフドッグの革で作ったもので、足元を冷やしてくれる」

「それいいですね。買います」

「毎度あり」


 値段を聞かずに購入したが、意外と高く100,000Gもした。最近は値段を聞かずに購入することが多くなったなー。


 帰宅すると……。


「あのクソババーッ!」


 家の中はしっちゃかめっちゃかだった。

 たった5日だ。どうやったら5日でここまで酷いことになるんだ? 嫌がらせだろ、あの人。


「はぁー。やるか」


 こんな汚部屋で過ごすなんて嫌だ。

 ダイニングキッチン、リビング、廊下、プリママの部屋、それらの荷物を全部アイテムボックスに回収し、風魔法で埃を家の外に飛ばす。あとは地道にモップがけ。それが終わったら家具を戻し、プリママの服は洗濯だ。

 自動車はあるのに、なんで洗濯機はないのだろうか? そんなことを思いつつ、盥の中に服と洗剤、そしてウオーターの水を入れて5本の魔力触手を駆使して洗う。

 洗濯を干すのも魔力触手でやる。本当に便利だな、魔力触手。

 干した洗濯物をウインドとヒートを同時発動で温かい風を当て、乾かす。

 洗濯の次は風呂の掃除だ。浴槽の残り湯をアイテムボックスに回収し、ウオーターを高圧で放出して汚れをこそぎ落とす。

 風呂場全体を綺麗に洗ったら、掃除で出た汚れた水もアイテムボックスに収納し、最後にヒートで浴槽を高熱殺菌する。


「ふー。これで終わりじゃないのが悲しいところだな……」


 最後にトイレだ。


「くそ、出したらちゃんと流せよな!」


 せっかくの水洗便所なのに、なんで流さないんだ。

 洗濯機はないのに、水洗便所はあるんだよなー。

 こびりついた汚れをウオーターで落とす。


 やっと終わった。

 俺はやり切ったぞ!


「俺、なんでこんなことしているんだろうか……」


 むなしい。


「よし、風呂に入ろう!」


 しっかり掃除した風呂にウオーターで水を入れ、ヒートで熱する。

 体を洗い、湯舟に浸かる。


「あ~いい~」


 仕事を終えたあとの1杯は美味い。


「あー、なんでクライドだけ入っているのー。あたしも入る!」


 帰ってきたプリママが風呂場に入ってくるなり、服を脱いで湯舟に飛び込んだ。


「かけ湯くらいしなよ」

「細かいことはいいのー」


 子供かよ。まったく……。


「クライド、あたしにもお酒をちょうだい」

「はいはい」


 酒を用意してお盆の上に載せ、お湯に浮かべて送る。


「これよねー。……かー、美味い!」


 心底美味しそうに飲むよな、この人。

 俺も酒は好きだから、酒好きの気持ちは分かる。

 しかし、これほど美味しそうに酒を飲む人は、滅多にいないだろう。




 あれから3日。

 俺は毎日ランニングをし、家政婦をし、読書と魔力訓練をする毎日を送っている。

 昼間はプリママが仕事でいないので、古代文明の遺跡から持ち帰った本をいくつか並べて解読を試してみる。

 同じ文字を発見し、それの前後の文字をと、その積み重ねで解読をする。

 まあ、「あ」から徐々に文字を当てはめていき、ぴたりとはまるとなんだか嬉しい。


「解読なんてしたことないから、手探りでやるしかないんだよなー」


 1つ、また1つと文字を解読していくと、あっという間に夏が過ぎてしまった。まあ、お金には余裕があるので、しばらく働く必要はない。

 それよりも今は古代文字の解読が楽しい。楽しいからといって、解読が進むとは限らないけどね。ハハハ。


「ふわー、さすがに疲れたな。ちょっと休むか」


 俺はソファーに横になり、うとうとしてしまい、そのまま寝入ってしまった。


 起きると部屋の中は真っ暗だった。


「はっ!? しまった!」


 プリママが帰ってくる前に本をしま……あ、ヤベー……。


「フフフ。おはよう、クライドちゃん」

「お、おはよう。ママ」

「フフフ。これは何かしら?」

「そ、それは……本?」

「そうね、本ね。フフフフフフフフフフフ」


 しゅ、修羅が見える。プリママの顔が修羅だ。


「クーラーイィィィィィッドォォォォォォォォォォォォ」

「ぎゃーっ」




 俺は今、遺跡にやってきている。


「へー、こんなところに縦穴があったんだー」

「……はい」


 あの後、修羅による鉄拳制裁を受けた俺は、遺跡にプリママを連れてくる羽目になった。

 あの人、マジ怖いわ。


「で、ここに本があったの?」

「……はい」

「財宝はあの奥?」

「……はい」

「他には?」

「……何もないです」

「せっかく遺跡にきたんだから、周辺をしっかり探索してみましょうか」

「……はい」


 プリママに連れまわされるが、現れたモンスターは全部彼女が倒していく。

 さすがは一国を相手に喧嘩をした人だ、SSランクモンスターも瞬殺だよ。


 3日ほど探索してホルトンの町に戻ることにした。

 まだ発見できてないものがあるかもしれないが、3日も探して見つからなかったので、この周辺にはもうめぼしい遺跡はないのだろう。


「駄目! あたしも遺跡を発見して探索するんだ!」


 マジで子供かよ。


「駄々をこねないでください。ギルマスの仕事もありますよね」

「ギルマスは辞める!」

「我が儘言わないでください」

「やだやだやだやだやだやだ」


 ウザ。

 年を考えろよな。


「うぎゃっ」

「なんか文句ある?」

「な、ないです……」


 何も殴ることないのに……。

 てか、この人のパンチは速くて見えないんだよ。魔法使いなのに、拳闘士も真っ青なパンチだ。

 あんた、拳で世界を取れるよ。


 そんなわけで、ホルトンの町には戻りません。はぁー。

 探索範囲を広げることになったんだ。



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― 新着の感想 ―
いつ飛んでくるかわからない我が儘ババア鉄拳は、常に魔力結界を張って防御する訓練だと思ってないと、辛いね……(涙) あと、お風呂とトイレを汚したままのクソカスは、食事の質を2段階下げてイイよ。  (↑…
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