第53話 Sランク冒険者
+・+・+・+・+・+
第53話 Sランク冒険者
+・+・+・+・+・+
飛んで王都に向かった。文字通り飛んだよ。自動車で3日かかるのが、1時間くらいで帰ってこられた。まあ、自動車でも丸3日走行しているわけじゃないけど、それでも飛ぶのはあり得ない速度だ。
このまま王都に入ると時間的に問題になりそうなので、ちょっと離れたところで野営をする。
露天風呂に入りながら酒を飲み、風呂から上がったら読書をする。いい時間が流れる。
もちろん、魔力訓練は欠かさない。どんな時でも訓練だ。それが俺をさらに上に連れていってくれることだろう。
3日後、王都に入った。
キースさんは【雷鳴】と共に帰っており、俺の昇格が決まったのだが……。
「5日後に宰相閣下との謁見がある。そのつもりでな」
「え?」
「貴族待遇になるんだ。国からのお墨付きをもらうために、謁見があるんだよ。まあ、国王じゃないし、今の宰相は冒険者のことを分かっているから、極端に失礼なことをしなければ、なんの問題もないさ」
エルさんは気軽に言ってくれるよ。
「店を紹介するから、服くらいはいいものを用意しておけよ」
「服……この服では?」
「駄目に決まっているだろ。城にいくんだぞ」
「はぁ……分かりました」
「あと、お前の家名だがな、通常はお前が決めるんだが、もう決まっているんだ」
「はい? どういうことですか?」
まさかとは思うが、クライド君の実家が何か言ってきたのか?
「お前の家名はアアメンターだ。もう理解したと思うが、あの年増と同じ家名だな」
「なんでそうなるんですか?」
「お前が年増の養子になるのが決まっているからだ」
「へー、初耳ですよー」
おい、どういうことだよ!?
なんで俺が知らないところで養子の話がまとまっているんでしょうかね?
「年増が本部長にねじ込んだようだな。本部長は年増にノーとは言えないから、すでにお前はアアメンターとして登録されているぞ」
「なんてこったー!」
あの本部長、さっさと引退しろよな! 老害は要りません!
「これは年増からの伝言だ」
一枚の紙を渡された。
-・-・-・-・-
我が子クライドへ
Sランクに昇格したら、すぐにホルトンに戻ってくるんだぞ。待っているからな。
-・-・-・-・-
「……ホルトンにいかないといけませんかね」
「あいつのことだ、地の果てまで追いかけてくると思うぞ」
「わーお。素敵なママですねー」
「ガハハハ。ママかー! いいなそれ! ママって呼んでやれ! ガハハハ!」
「俺で遊んでないですか、エルさん?」
「そんなことないぞ。ほれ、さっさと服を作ってこい。4日後に簡単な打ち合わせをするから、昼過ぎにここにきてくれ。じゃあな」
エルさんに会議室から追い出され、俺はトボトボと店に向かった。
そのテーラーで貴族用の服を1着を1,000,000Gで頼み、ついでだから市場で普段着の夏物の服5着を70,000Gで購入した。
しかし、貴族服は高いな。こんな服購入しても1回しか着ないので、無駄になると思う。
その後いつもの宿にチェックインし、4泊頼んだ。
3日後に服を受け取るまで、宿から出ずに読書と魔力訓練にふけった。
この前王都の書店で20冊購入した中の1冊、薬草辞典を最近は愛読している。
貴族服は体にぴったりと合った。
俺はまだ15歳なので、まだ成長するだろう。その際はこの店に持ってくれば、直してくれるそうだ。
打ち合わせを経て、宰相と謁見する日になった。
俺は貴族用の服を着て本部長と共に城の宰相府へ赴いた。簡単な礼法は打ち合わせの時に聞いた。
城門を通っても、いくつかの門で止められつつやっと宰相府のエリアに到着。2時間ほど待たされ、宰相に謁見だ。
本部長と共に礼をする。
宰相は50歳くらいで、派手さはないがやり手といった風貌のオジサンだった。
「この者が新たにSランクに昇格したクライド・アアメンターにございます」
宰相が「アアメンター……」と呟き、頬がピクッピクッとした。
宰相ならあのギルマスがやった昔話(暴虐ぶり)を聞いているだろうから、アアメンターは禁句じゃないのかな?
俺、宰相に目をつけられてませんか? まったり冒険者する予定なんですけど?
「……クライド・アアメンターです。以後、よろしくお願いします」
宰相はホゴンッと咳払いをし、気持ちを引き締めた。
「アシュドール王国宰相のアーレン・ゴルバーだ。クライド……アアメンターの今後の活躍に期待をする」
「ありがとうございます」
宰相府の役人からアシュドール王国がSランクを認めたという証書を受け取り、貴族の男爵位相当と国が認めた宰相府の金のメダルももらった。
討伐したランページバッファローはこれらのものをもらうための代金みたいなものだとエルさんが言っていた。
もっとも王国に差し出すのは1体なので、4体は冒険者ギルドが買い取ってくれたて6,400,000Gになった。ランページバッファローの肉は高級肉として有名らしい。
こうして俺はSランク冒険者になった。




