第52話 試験終了
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第52話 試験終了
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予定の時間の少し前にゾークの町の南門の前に到着。空が飛べると、本当に便利だよねー。
10分ほど待ったか、【雷鳴】の4人と王都本部職員のキースさんがやってきた。
「おはようございます」
「クライドさん、早いですね」
「俺も今きたところです」
こういうのは社交辞令として言っておかないとね。
「おい、さっさといくぞ」
「あ、はい。では、Aランク冒険者クライドさん、これより監視業務を開始します」
「承知しました。よろしくお願いします」
【雷鳴】の4人は挨拶もなく、マジックバッグから出した自動車に乗り込んだ。
「クライドさんはどのように移動しますか?」
「俺は歩きです」
「自動車に乗せてもらえるように頼みましょうか」
「いえ、大丈夫です。すぐそこですから」
「そうですか……では私も歩きで」
「俺に構わず自動車に乗ってください」
キースさんを自動車に押し込み、俺は街道を歩き出す。
そもそもすぐに自動車なんて使えない場所を移動することになる。【雷鳴】とキースさんはそのことを知らないのだろう。
俺の後ろを【雷鳴】の自動車がついてくる。歩きの速度なので、ノロノロもいいところだ。
そして5分、俺は街道から林へと入っていく。この先がフラー山地だ。
さすがに【雷鳴】とキースさんは自動車を降り、俺の後を歩いてついてくる。
基本的に俺の行動にどうこう言わないのが、この試験のようだ。まあ、彼らが指示したら、意味のない試験なのだろう。
1時間ほど歩くと、魔力フィールドにランページバッファローを捉えた。俺はそっちへ向かい進む。
ランページバッファローを視認できるところで、一度止まって振り返る。
キースさんと【雷鳴】にそこで待つように手で合図する。これくらい分かるだろう。
キースさんが頷いたのを見た俺は、ランページバッファローのほうに歩いていく。
数は5体おり、どれも立派なランページバッファローだ。
ランページバッファローは俺に気づくと、5体とも前足をかいてやる気満々だ。
魔力結界展開。
ランページバッファローたちが猛突進してくる。1体1体が自動車より大きな体をしているので、その迫力は半端ない。
俺の最後はトラックに轢かれてのものだ。恐ろしくないと言えば、嘘になる。が、今の俺には魔力結界がある。俺自身を信じずして何を信じるのか。
魔力結界を信じ、魔力触手圏内に入ってくるのを待つ。
「今だ」
わずか3m。そこはすでに俺の支配下だ。
5本の指から出した魔力触手で5体の足を絡め取ると、ランページバッファローはつんのめって転倒してそのまま魔力結界にぶつかった。
そして魔力触手の先を細く鋭くして突き刺す。注射針よりもはるかに細い0.1㎜にも満たない魔力触手だ。
魔力のある場所は、すでに分かっている。そこへ最短の場所を突き進んで、魔力をチューチューする。
魔力が空になると、5体のランページバッファローは動かなくなった。
振り返ってキースさんと【雷鳴】を手招きする。
彼らはポカーンと口を開けていた。そんなに大きな口を開けていると、虫が入るぞ?
2分ほどそのままだったかな、5人はやっと俺のところまでやってきた。
「ランページバッファローです。間違いないですよね?」
「は、はい。ランページバッファローです……あの、今はどうやって倒したのでしょうか」
「倒し方は不問ではなかったでしたか」
首を傾け、キースさんに問う。
「あ、そうなんですが、私の興味本位で聞いたまでです。今の質問は忘れてください」
「分かりました」
「ちょっと待てよ! いくらなんでも非常識すぎるだろ! 俺たちだってランページバッファローを1体倒すのに命がけで、それなりの時間がかかるんだぞ! 5体同時に倒せるわけないだろ!」
おっと監視役のキースさんの護衛である【雷鳴】から横槍が入ったよ。
「失礼ながら、監視者はキースさんであって、【雷鳴】ではないですよね? なんの権限があって俺の戦果を否定するのですか?」
「クライドさんの仰る通りですよ、ゴロトフさん。【雷鳴】は私の護衛ですから、試験内容や結果に口を出す権限はありません」
「分かってる! だが、あんなの認められっかよ!」
「レイドー……」
リザードマンのドドナイム・タバスが、レイドー・ボロトフの肩に手を置く。
「彼は儂らの常識では計り知れぬ存在なのだ」
「何を言ってるんだ、ドドナイム!?」
「初めて彼を見た時に、神に愛された者だというのが分かった」
「はぁ?」
「彼は、クライド君は眩しいのだ。あれが神に愛された者の眩しさなのだと、儂は思った」
「………」
「儂らの常識では計れない。それが、彼なのだ」
たしかドドナイム・タバスは、自然神官だったな。自然神官の彼には、俺はどう見えているのだろうか? 転生者特有の特徴かがあるのだろうか? それとも他の何かが?
「ちっ」
レイドー・ボロトフは不貞腐れた顔で、引き下がった。
どうやら【雷鳴】のキーマンはドドナイム・タバスのようだ。自然神官という不思議な職のなせる説得力があるのだろう。




