第48話 王都本部
+・+・+・+・+・+
第48話 王都本部
+・+・+・+・+・+
久しぶりに王都の宿に泊まり、ゆっくりな朝を迎えた。朝食は時間ギリギリで摂り、宿を出た。
「そろそろ春夏用の服を買うかな」
ホルトンの町に比べると、王都は寒い。それだけホルトンの町が南のほうにあるということだな。しらんけど。
予定より少し早く冒険者ギルドに到着した。
王都には3つの冒険者ギルドがあるけど、エルさんが受付をしているのは、王都第三ギルドだ。
王都第一ギルドが通称・王都本部と言われているもので、もちろん王都第二ギルドもある。
王都第三ギルドは3つの中で一番小さいとはいえ、地方のギルド支部に比べると大きい。俺が知っている中で地方の支部で一番大きかったのは、ホルトンの町のものだね。あそこは解体所がかなり大きかったし、人員も多かった。
それはともかく、冒険者ギルドに入ると依頼を確認する。さすがに魚祭りは終わっていて、常時の依頼に戻っている。
そろそろ10時かなと思い、受付にいこうとしたらエルさんがこっちにやってくるところだった。
「おはようございます」
「おう。こっちだ、ついてこい」
裏口から出ると自動車が用意されていた。
自動車に乗り込むエルさんに続き、俺も乗り込む。なかなかクッションのよい座席だ。
「こんないい自動車で、運転手までついているなんて、エルさんはお偉いさんなんですか?」
「お前は本当に何も知らないんだな」
「自慢じゃないですが、世間知らずです」
ドヤ!
エルさんが大きなため息を吐いた。失礼しちゃうよねー。
「俺は第三ギルドのギルマスだ」
「えええ!? でも、いつも暇そうに受付に座っているじゃないですか。仕事しましょうよ!」
「仕事しているわ! お前は俺を暇人だと思っていたのか!?」
「はい! 思いっ切り窓際に飛ばされた人だと思ってました」
「まったく……まあいい。俺があそこに座っているのは、冒険者のことがよく見えるからだ。ちゃんと書類仕事もしているぞ」
「おー、ギルマスっぽいことしてますねー」
「当たり前だ!」
そんなことを話していたら、運転手さんの肩が揺れていた。安全運転でお願いしますね。
王都本部に到着した。第三ギルドの数倍はあるだろう巨大な建物で、地上4階まである。魔力フィールドでは、地下も2階まであるのが確認できましたよ。
ギルマスだというエルさんについていくと、2階の会議室に通された。
そこでエルさんと待っていると、えらい別嬪さんの女性職員がお茶を出してくれた。
「どうもありがとございます」
ニッコリほほ笑んだ別嬪さんに、惚れてまうやろー!
「美味しいお茶ですね」
「本部だからな」
「第三でも出しましょうよ」
「来賓には出しているぞ」
「え? 俺は飲んでませんけど?」
「お前は来賓か?」
「今、来賓待遇ですよね?」
「……どうかな」
「酷いですー」
そこでノック音がし、エルさんが返事をする。入ってきたのは、つるっぱげのお爺さんと、マダムの2人だ。
「ホホホ。待たせたの」
エルさんが立って迎えたので、俺も立つ。
「儂が本部長のケルビン・オットーじゃ」
つるっぱげのお爺さんが本部長か。
「外商部長のイルミダ・シャンバーよ」
マダムが外商部長ね。
てか、外商ってデパートかよ!?
「こいつがクライドです」
こいつ、ってさー。まあいいけど、エルさん口悪いよ。
「ご紹介にあずかりました、Aランク冒険者のクライドです」
「ホホホ。その若さでAランクか。将来が楽しみじゃのー」
「ありがとうございます。あ、これ、ホルトンのギルマスからの紹介状です」
俺はリストと紹介状を差し出した。
受け取った紹介状を本部長が封を確認してから、開けて読んでいく。
読んだらマダムに渡し、リストに目を通す。
それをサッと見て、俺に顔を向ける。
「あの遺跡を1人で探索とは、剛毅じゃのう」
外商マダムが紹介状を読み終わると、リストに目を通す。紹介状はサラッと読んだだけなのに、リストは目を皿のようにしている。
「ホホホ。それじゃあ、そのお宝というものを見せてもらおうかの」
「分かりました」
この会議室に通されたのは、お宝を出せるだけのスペースがあるからだろう。
そこにお宝を出していくと、マダムの目がキラキラだ。
「ええ、ええ、これは大変なお宝ですわ!」
金塊には目もくれず、ティアラや宝石などを手にとって見る。
「オホホホ! いいわ! わたくしの腕が鳴りますわ!」
マダムが水を得た魚のように活き活きしている。
「これはまた……リストを見ただけでは分からん煌びやかさだな」
エルさんがお宝の豪華さに目を奪われていると、マダムは「オホホホ」と何度も笑い声をあげている。
「財宝のことはシャンバー君に任せておけばよかろう。こちらはこちらで話をするかの」
ん? まだ話があるのか?




