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魔力使いのまったり冒険者クライド  作者: 大野半兵衛


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第4話 ちょっと意趣返し

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 第4話 ちょっと意趣返し

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「誰のおかげでここまで育ったのか、恩を仇で返しおって!」


 え、誰が育ててくれたの? 何が恩なの? 俺にはベルデナーグ伯爵の言葉の意味が分からないよ。あんた、言葉の意味を考えて発言したほうがいいよ? バカがバレちゃうから。

 罵詈雑言を背に受けながら、俺は廊下を歩いていく。

 少し歩いたら、今度はゴッガイルが前から歩いてくるのが見えた。なんというタイミングか……。


「おい、役立たず! 魔法の訓練をするから的になれ!」


 相変わらずのゴッガイルに、俺は笑みを浮かべた。

 こいつにはクライド君が殺された恨みがある。


「何を笑っているんだ!? そうか、恐怖で気が狂ったか! アハハハ!」


 自分は優秀で、俺は無能、そう思い込んでいるゴッガイルに近づいていく。

 この歪な笑みを浮かべた、名ばかりの家族にはお礼をしないとな。

 笑っているその顔面を殴りつける。殺さない程度に手加減しつつ身体能力を上げて手加減はした。殺してしまうと、クライド君が悲しむからな。

 それでもゴッガイルは5mほど吹っ飛んで床を転がった。

 多少は意趣返ししたって罰はあらたないだろうし、これくらいで済ませてやるんだからありがたく思ってほしい。


 俺は反撃に備えたが、ゴッガイルは起き上がらない。もしかして殺してしまったか? そんなことを思いつつ近づいていくと、ゴッガイルは白目を剥いて気絶していた。

 鼻は陥没しているが、口で息をしているので生きている。よし、問題なし。

 クライド君が受けた痛みや悲しみに比べれば、このくらいで済んだことを感謝してほしいものだ。そして反省しろ。無理だと思うけど。


 ゴッガイルは放置しても大丈夫だろう。そのうち誰かが見つけてくれる。

 俺は裏の使用人通用門から外に出た。


「ふー、これでムカつくヤツらとは、おさらばだ」


 俺はその足で冒険者ギルドに向かった。

 お金も何も持たずに家を出たから無一文なのだ。すぐにお金を稼がないと、今日の食事も宿もとれない。


 冒険者ギルドは大通りに面した場所にある大きな建物だった。

 この国の王都であるこの町には、3カ所に冒険者ギルドがあると聞いており、その中で規模が一番小さいのがここだ。


「他の2カ所はどれほど大きいのか……?」


 そんなことより今は登録だ。

 冒険者ギルドの中を例えると、役所だな。受付カウンターが正面にあって、窓口が10カ所もある。

 冒険者が依頼を受けたり、報酬をもらう受付は7カ所で、他は依頼をする側用の受付が3カ所だ。

 今は受付がいくつか空いているので、若くて綺麗な受付嬢がいる窓口へと向かったのだが、その受付嬢の顔を見た瞬間、頭の中で警鐘が鳴った。こいつは性格が悪いと。

 仕方なく優男風のオッサン(茶髪ロン毛・茶目・45歳くらい)の受付に変更。他の女性窓口は塞がっているのだ……。


「登録してほしいのですが」


 オッサンは俺の顔をジッと見て、紙を差し出した。俺にはその気はないからな。


「知っていると思うが、冒険者は全て自己責任だ。お前が怪我をしようと、死のうが、ギルドは関知しない。その上で登録するというなら、必要事項を記入しろ」


 まったく知らなかったが、全て自己責任ってことだな。なんの問題もない。

 俺は記入用紙をさっと見た。名前か、クライドフェールンじゃなく、クライドでいいか。

 魔法は使えないと……得意武器はなし……登録試験を希望するか? なんだこれは?


「登録試験ってなんですか?」

「冒険者は上からSSS(トリプルエス)SS(ダブルエス)、S、A、B、C、D、E、F、Gの10ランクがある。試験を受けた場合、上手くいけばDランクから開始できるが、そうでなければGランクから始まる」

「なるほど……」


 いますぐお金がほしいところだから、できるだけ上のランクから始めたいとことだな。


「受ける、っと。書きました」


 オッサンはその用紙を機械に入れた。ファンタジーな世界なのに、機械があるんだな。まあ、大通りでは自動車も走っていたけどさ。


「このプレートに手を置け」


 今度はタブレットのようなプレートが出てきた。言う通りに手を置くと、3秒ほどでオッサンが"もういい"と言うので手を離した。


「今から試験をするから、奥にある訓練場にいけ」

「了解です」


 オッサンが指差した通路に向かい歩いていく。その奥へいくと、訓練場があった。

 なかなか立派な訓練場で、闘技場みたいだ。


「お前が登録試験希望者か」


 少しだけ待ったところで、2mくらいの大男で、頬に傷があるヤクザ風強面から声をかけられた。

 ヤベー、ちょっとビビった。

 ボサボサ赤茶毛と鋭い濃紺瞳の大男の後ろには、さきほどの受付オッサンもいる。


「クライドです。よろしくお願いします」

「パーティー【雷神の鉄槌】のリーダーをしているグランベルだ。今回、俺がお前の試験官をすることになった」

「はい」

「魔法は使えないんだってな。好きな武器を手に取れ」


 訓練場だけあって、色んな刃が潰された剣や槍などが置いてあった。

 俺は扱い易そうな短めの剣を手に取った。クライド君は剣なんて触ったことないし、これでいいだろう。


「それでは、これより登録試験を始める。用意はいいか?」


 受付オッサンが審判をする。

 試験官の大男は、重そうなハルバードのような槍斧を片手で軽々と持っている。それ、刃を潰してない自前の武器じゃねーの? それでいいのかよ?



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