第18話 新しい漁場
+・+・+・+・+・+
第18話 新しい漁場
+・+・+・+・+・+
今日はストーカーもおらず、いい天気だ。気分爽快、足取りが軽いぜ。
が、海岸はやっぱり冒険者たちで込み合っていた。
俺は奥へ奥へと向かい、なんとか人がいない場所を確保した。
魔力フィールドですでに補足している鯛に魔力触手を伸ばす。細くした魔力触手は感知されることなく、リフィナンテスに巻きついた。暴れるリフィナンテスに、今度は電撃を食らわせる。
「ショック」
感電したリフィナンテスは硬直して動かなくなった。そのままリフィナンテスを引き寄せ、陸揚げだ。
血抜きと内臓処理を行い、マジックポーチに放り込む。
その間も魔力フィールドで索敵、魔力触手で絡めとり、さらにショックで感電させて引き寄せている。
並行してできる俺ってスゲー。自画自賛しないと誰も褒めてくれないからなー。
このように10匹を確保した俺は、足取り軽く冒険者ギルドへ向かう。
今日も冒険者の列に並ぶが、すぐにバドランドさんが出てきた。
「おい、お前はこっちだ」
そういう特別扱いは要りませんよ。他の冒険者に悪いじゃないですか。
「おいおい、俺らは並んでいるのに、なんでそいつを先にするんだよ!?」
「雑魚は黙っていろ!」
「ヒィィィッ!?」
ドラ声の一喝で、冒険者は悲鳴を上げた直立不動になった。
「文句あるヤツはいるか!?」
「「「………」」」
誰も何も言わない。
いったいバドランドは何者なのだろうか? ただの解体所の主任というわけじゃないよな?
「おい、早くこい」
「はい」
作業場に連れていかれる。
「今日は何匹だ」
「10匹ですね」
「全部出せ」
「了解です」
10匹を作業台の上に並べる。どれもちゃんと血抜きと内臓処理してますよ。
「1匹32,000gがいたが、あとは20,000g台だ。30㎏オーバーのほうは540,800G、他の9匹は合計で216,000gだったから3,088,800Gだ。合わせて3,629,600Gだな」
わーお! 360万オーバーですか! これで容量の大きなアイテムボックスが買えるぞ!
これだけの金額になると、俄然やる気になるというものだ。
「昨日はこなかったが、今日は30㎏オーバーがあるな。この調子で納品してくれ」
「運次第ですよ」
「分かっている」
全部ギルドに預けると、預け額が600万Gを超えていた。グフフフ、いいアイテムボックスが買えそうだ。
「こんにちはー」
「いらっしゃい」
今日もぶっきらぼうな店主エルフさんに、中古の在庫を聞いてみる。
「予算は600万Gで、出来るだけ容量が大きい中古のアイテムボックスをお願いします」
「600万Gか……予算は少し超えるが、9-5のマジックバッグならあるぞ」
9-5ということは、容量が9tで時間停止50日か。ほしい! ほしいがどの程度超えるのかで……。
「お、おいくら万円します?」
「まんえん?」
「あ、いくらですか?」
「658万Gだ」
「うぐっ……それは……取り置きは可能ですか?」
「可能だが、半金は置いていってもらうぞ。あと10日以内に残金が払えなければ、取り置きは解除されるし、前金も返さない」
今の俺ならあと60万Gを用意するのは、問題ないはず。だが、確実に60万Gを用意できるとは限らない……。どうする? どうしたらいい?
「お前のマジックポーチを、今なら60万Gで下取りしてやるぞ」
「え、マジっすか!?」
「通常は高くても5割だが、まだ新品だから特別だ」
「それなら下取りでお願いします!」
俺は598万Gを冒険者証で支払い、9-5のマジックバッグを受け取る。1-1のマジックポーチの中身を移し替え、これも差し出す。
「確かに。それじゃあ、血を魔法陣に垂らし、解除の言葉を」
蓋の裏にある魔法陣に血を垂らす。
「伯爵滅べ」
これで使用者登録完了だ。
「……お前は相変わらず物騒なヤツだな」
「そんなことないですよ」
この可愛い笑みを見てよ。
「どす黒いものが見えるようだ」
「失礼ですね」
「頼むからウチを巻き込むなよ」
「何に巻き込むって言うのですか?」
「知らん」
マジックポーチからマジックバッグにバージョンアップされた俺は革物店を出た。
今日も市場で酒の肴を物色し、4,000G分購入。
宿にチェックインしてシャワーを浴び、美味しい夕食を摂り、酒盛りをしつつ魔力併用訓練を行い、眠りにつく。
預金が一気に減ったので、今日も稼ぐぞー!
そこで考えたのだけど、いつもと違う場所にいったら釣れないのだろうか?
いつもは港を左にいくが、今日は右にいってみた。
切り立った崖に出た。この先はいけないが……そうだ、俺ならいけるじゃないか。
魔力触手を伸ばして崖の上の岩に巻きつける。後は魔力触手を短くしていけば、体を引き上げてくれるというすんぽうだ。
20mほどの崖の上に昇って海を見下ろす。東尋坊のような恐怖でブルリと震える。
だが、この海は魚が豊富だ。
大物がウジャウジャいるし、魚種も多い。ここから釣りをする人はいないから、魚にとっては天国なのだろう。
すまないが、今日から俺が漁場にさせてもらうよ。ここならさすがに誰もこないだろうしね。




