第13話 伯爵滅べ
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第13話 伯爵滅べ
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今日も海岸へ向かうが、今回も冒険者がいた。しかも昨日より人数が多い。
今まで俺が独占していた海岸が……。
もしかして魚の活動が活発になる釣りシーズンなのか? これから脂が乗って美味しい冬の魚がいるのかもしれないな。
仕方がない、もっと奥へいくか。
冒険者たちを避けて奥へと向かう。
「ここら辺でいいだろう」
岩場の陰になって、冒険者たちからは見えない場所に陣取った。
魔力フィールドで魚を探す。お、結構いるじゃないか。鯛とスズキ(トーリルーン)だけじゃなく、結構大きな魚が数種類いる。
他の魚は売れるか分からないので、いつものように鯛とスズキを狙う。今日はどっちがいいかなー。お、いい型のスズキがいたぞ! 魔力結界! スズキさん確保!
目立たないように海中で引き寄せ、岸の直前で持ち上げる。陸の上で魔力結界を解除したらピチピチ。ハハハ。楽ちんだ。
せっせと血抜きと内臓を処理し、麻袋からの背負い袋いき。
魔力触手のおかげで、軽いもんだよ。
冒険者ギルドの解体場には、2組の冒険者が並んでいた。その後ろに並んで魔力フィールドと魔力触手の併用訓練。
俺の番になりさっきまでいなかったバドランドさんが出てきた。
「おう、今日もデケーな」
「引き上げるのが大変でした」
皆さーん、オオカミ少年がここにいますよー。
「トーリルーンが31,000gだから282,100Gだ」
「はい。ありがとうございます」
受付オッサンの窓口で、査定表と冒険者証を出す。
「今日も稼いでいるな、お前」
「運がいいだけですよ」
「ふん。そういうことにしておくか」
そろそろ手持ちのお金が心もとない。
「10万Gを現金で、あとは預けます」
「おう」
処理を終えて、10万Gと残金票と冒険者証を受け取る。
宿にチェックインして今日も魔力の訓練。魔法も使いたいが、その前に魔力触手と魔力フィールドと魔力結界を使いこなすぜ。
翌日も海岸では冒険者が……増えてる!?
ここは観光地か!? と思うような混雑だ。なんで?
昨日と同じように奥へ向かい、そこで人知れず鯛を捕獲する。
サクッと血抜きと内臓処理して冒険者ギルドに向かう。
冒険者に絡まれないように遠巻きにしたルートを歩くので、移動の時間がかかって仕方がない。といっても、往復1時間半くらいだけど。
冒険者ギルドの解体場でも冒険者が並んでいた。最近、待ち時間が多くなっているな。
待ち時間は魔力の訓練。俺はストイックに自分を鍛えるのだ。
俺の番になり、リフィナンテスを引き渡す。
26,500gで、査定は310,050Gだった。今日はバドランドさんは出てこなかった。
珍しく受付オッサンもおらず、俺は初めて女性が受付をしている窓口に並んだ。
ラブな展開があるわけもなく、処理はすぐに終わった。
主人公が美人受付嬢の前に並ぶと、イベントがあると聞いたことがあるのだが、そういったものはまったくなかった。
どうやら俺は主人公ではないようだ。
今日はアイテムボックスの受取日だ。革物店にいくと、ぶっきらぼうな店主と目が合った。
「できているぞ」
「支払いは冒険者証でお願いします」
残金の50万Gの支払いを済ませると、アイテムボックスを受け取る。
「使用者登録するから、血をマジックポーチのこの魔法陣に垂らせ」
アイテムボックスのウエストポーチ型だから、マジックポーチと言うらしい。
で、マジックポーチの蓋を開けると、魔法陣が描いてある。そこに俺の血を垂らすと使用者登録ができるのだ。これで俺しか使えなくなるわけだね。
短剣で指先をちょっとだけ……こわごわ切る。痛いよー。
「解除用の言葉を言え」
使用者登録を解除する時には、俺の血を魔法陣に垂らしてその言葉を言うらしい。それで使用者制限が解除できるのだとか。
「伯爵滅べ」
「………」
クライド君のことを思うと、色々思うところがあったからねー。ベルデナーグ伯爵家が滅べと呪詛を込めてみました。
「物騒なヤツだな」
「それほどでもないですよ」
解除の言葉の登録も完了し、これで完全に俺のアイテムボックスになった。
「あ、そうだ。どこか酒を売っている店を知りませんか?」
「店を出て左にいけ。4つめの角を右に曲がってすぐに酒店がある」
「その店は冒険者証で買い物ができますか?」
「冒険者証も使用できる」
「ありがとうございます」
革物店の店主に教えてもらった酒店に入る。色々な樽が並んでいる。樽売りなのかー。
「っらっしゃい」
「お薦めの美味しいお酒はありますか」
「お薦めならこれだな! こいつはリンゴから造ったヒーリスという酒だが、少し高いんだが美味い酒だぜ!」
いかにも酒が好きそうな店主は、18ℓの樽をポンポンと叩く。
リンゴから造ったなら、ワインかブランデーみたいな酒かな。
「それいくらですか?」
「15万Gだ」
結構なお値段だけど、ここまで働いて稼いだ自分へのご褒美に買います!
「いただきます。冒険者証で支払いを」
「毎度ありー」
樽をアイテムボックスに入れる。わーお、本当に重量を感じないよ。すごいなー、マジックポーチ!
それにマジックポーチに指先を入れると、中に何が入っているか分かるんだな。
ヒーリスが美味しかったらまた買いにきますねー。
次は市場を回ってお酒に合いそうなグラス(金属製)を3,000Gで購入する。ガラス製のグラスは今の俺では買えないくらい高いらしく、市場(露店)で売るようなものではないらしい。
さらにチーズやちょっとしたおつまみになるものを2,500Gで購入。
宿に帰ると、早速お酒を開けてタンブラーっぽいグラスに注ぐ。
琥珀色の液体からフルーティーな香りが立ち上る。
「美味そうじゃないですか」
贅沢な昼間から酒盛りだけど、今日はいいのです!




