第11話 魔力触手の可能性
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第11話 魔力触手の可能性
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「いててて……」
ボコボコにされました。
手加減はしているんだと思うけど、どうせなら寸止めにしてほしい。
「筋はいい。毎日鍛錬を怠らないようにしろ」
「は、はい」
魔力循環で痛む場所を集中的に回復力を上昇させながら、グランベルさんについていく。
飲食スペースでは他の【雷神の鉄槌】の4人がすでに飲んでいた。
「おう、訓練所にクライドがいたから連れてきたぞ」
「皆さん、こんにちは」
「その顔はグランベルにやられたな?」
「はい。ボコボコにされましたよ、ミリアさん」
「災難でしたね、クライド君。回復してあげるから、こちらへ」
「すみません、ミルキーさん」
回復魔法をかけてもらうとスッと痛みが引いていく。俺の魔力循環には、ここまでの回復力はないから助かるよ。
怪我をした時のためにも、回復魔法を覚えておきたいな。だからといって、自分を傷つけるのはしたくない……。
そうか! モンスターを捕縛して殺さないように傷つけて回復魔法をかければいいんだ!
うん、我ながらクズな考えだ。いくら相手がモンスターでもそんな酷いことはでき……るな。俺の安全を確保するために、モンスターには実験につきあってもらおうじゃないか。
「どうかしたの、クライド君」
「え、あ、なんでもないです」
ミルキーさんの顔が目の前にあって、オジサン、ドギマギしたよ。ハハハ。
「おい、クライド。奢ってやるから飲んでいけ」
グランベルさんが太い腕を回してきた。オヤジ臭いですよ、グランベルさん。
「ありがとうございます。ご相伴に預かります」
「お前、難しい言葉を知っているんだな」
「そうですか?」
「まあいい。飲め!」
エールを飲んでいると、またオークのステーキが出てきた。
「さあ、食え!」
食べますけど、今回も特大なんですね……。
よし、今日もがんばって釣りましょうかね!
魔力フィールドを展開し、魚を探す。リフィナンテスの姿はあったが、小さい。
トーリルーンのいい大きさがいたので、こいつにしようと思って魔力触手で肉を送る。
ん、ちょっと待てよ……。
この魔力触手でトーリルーンを直接捕縛できないだろうか?
やってみて駄目なら、釣ればいいんだ。今はなんにでもチャレンジする時だ。
魔力触手よ、いけ!
海中を泳ぐトーリルーンに接近する魔力触手。もう少しで届くというところで、トーリルーンは急に方向転換してサーッと逃げていく。
魔力触手が気づかれた? 見えない魔力の触手が気づかれたというのか?
ああ、そうか。海の中だから水を伝って動きを悟られたのだな。どうする、どうすればいい? そうか、糸だ! 糸くらい細くすれば、魔力触手に気づかれることはないはずだ。
1㎝を5㎜、3㎜と細くしていく。だが、そこからがなかなか難しい。仮に0.1㎜にできたとしても強度が問題だ。それだけの細さと強度を維持するのは難題だな。
「だけど、こういう課題があったほうが燃えるぜ」
こういうのは嫌いじゃない。集中しろ、俺。
細く、細く、もっと細く。強く、強く、もっと強く。
よし、これだ! 細い糸のような魔力触手をトーリルーンに絡みつかせる。トーリルーンは暴れるが、強さに拘って伸ばした魔力触手を切ることはできなかった。でもいつ切られるか分からないので、太さを出して強度を上げる。
トーリルーンの暴れようはすさまじい。海の中では、さすがのパワーだ。
このままだと、太くした魔力触手でも切られるかもしれない。
どうするか……そうだ、鰓だ!
魔力触手を鰓を動かせないようにグルグル巻いていく。鰓が動かせないのだから、酸欠になってくれるかもしれない。
トーリルーンはなおも暴れるが、次第に動きにキレや力がなくなってきた。
どうやら鰓塞ぎは正解だったようだ。
その後1分もすると、トーリルーンはぐったりして抵抗しなくなったので、引き上げることに成功した。
「ふー、どうなるかと思ったけど、終わってみたらナイスチャレンジだな」
いつものように血抜きと内臓処理をして、麻袋に入れる。
冒険者ギルドまでは相変わらずの苦行だ。今日は何㎏あるんだろうか? 30㎏はないと思うけど、結構重い。
「おう、今日はトーリルーンか。処理は……問題ないな。28,000gだから254,800Gだ」
「ありがとうございます」
28㎏か、重いはずだ。
しかし昨日今日と多くの収穫があったなー。魔力触手の可能性が広がった2日だった。
もしかしたら魔力触手は武器になるかもしれないな。魔法使いには魔法の発動をキャンセルさせることができるし、遠距離でも対象を拘束可能だし、人間なら首を絞めたら殺せそうだし……意外と戦えるな、俺。
クライド君。君は可能性の塊だったよ。もしかしたら明日はまた新しい力に目覚めるかもしれないよ。
254,800Gは全部ギルドに預け、意気揚々と宿へと向かった。
もちろん、併用訓練は怠らない。魔力フィールドのおかげで全方位の索敵ができるんだ。魔力触手を使っていたとしても、魔力フィールドは俺の安全を担保してくれるものだ。




