表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット空間の現状について  作者: 塚田譲二
1/2

 殺伐としていて、いつも喧嘩腰で、両極端な思想をもつ奴らが町中で殺し合いをする代わりにネット上で言葉の殺し合いをしている、それが現代のネット空間、もといSNS空間である。言い過ぎだと思うならSNSを見てみるがよい。X(旧twitter)では極端なイデオロギーばかりが氾濫し、良識は失われ、相互理解が不可能なことを前提に罵倒を重ね合っており、他方では、インフルエンサーなる自己承認欲求を無限に求めるヤクザじみたナルシストが己を自己顕示し、一部では狂気じみた崇拝者を作り、一部では劣情にまみれた嫉妬階級を作り、相互の階級闘争を高いところで眺めながら、己はちゃっかり利益を独占している。Youtubeはどうか?素人が作った感情に訴えかけるだけの三流コンテンツで溢れ、利益を生み出すからという大義名分のもとに、同じ人間とは思いたくないような愚劣な人間の馬鹿騒ぎをコンテンツにして、それを見る人の脳を汚染している。一事が万事、この調子なのだ。他のSNSについてはもうこれ以上語る必要はないだろう。

 明らかにSNSは退廃したテクノロジーである。なるほど、それは一時の快楽をもたらす上ではそれなりに有能かもしれない。だが、その快楽ですらも人の人間性を貶めるというのだから救いようがない。道行く人のSNSを眺めている時の表情を見よ。一見無表情に見えるが、人の失敗や、炎上記事や、煽情的なニュース記事や、その他もろもろの劣情を掻き立てるような情報を見て、泥をむ時の豚のような薄気味悪い笑顔を浮かべているではないか。人をこんな状態に陥れる技術を、退廃していると言わずしてなんと言えばいいだろう?口が裂けても、SNSを進歩的な技術などとは言えないだろう。SNSが人を害していることは明晰な事実である。

 さて、SNS空間内における現代人とは何か?常に脳を害する情報を与えられ続け、心の休まる時はなく、憤怒と動揺によって支配され、まるで狂った犬のように同じところを駆け回されている、哀れな動物である。それでも彼らは重たい目を擦りながらSNSに接続し、狂乱じみたアルゴリズムから刺激に満ちた、胸をかき乱すような情報を押し付けられるとしても、それを甘受しつつ、興奮と刺激の濁流に飲み込まれていく。だが、それでも人はSNSをやめられない。もうすでに現代人は頭で考えることをやめ、目で考えるようになっており、目から得られる情報を欲求して行動するようになった。昼も夜もせわしなく目をきょろきょろさせ、情報端末の画面を食い入るように見て、少しでも養分になりそうな情報がないかと探しているのだ。まるで野生動物のようである。否、野生動物そのものだ。人はSNSというテクノロジーによって動物に成り下がったのだ。動物に余暇が無いように、現代人にも余暇は存在しない。すでに余暇は全て奪い取られており、動物が自らの縄張りをパトロールするように、現代人は貴重な余暇の時間を使ってSNSの更新をチェックしている。息つく暇のない日常が今日も明日も続く。誰がこんな毎日にしたのだ?そうだ、SNSだ――。

 だがしかし、今のネット空間にあり方に口を挟む人間がいたらどうなるだろうか?現実を見ろと叱責され、前近代的だと罵られ、炎上ののちにその人間の尊厳は灰となって消えるだろう。現代人にはSNSを差し控えるという発想すらなく、いかにして付き合うか程度の妥協的な論点で立ち止まっている。彼らにとってはSNSは必須のツール、あるいは生活必需品と言ってもいいものであり、それに対する批判というのは己の生活基盤そのものへの批判となるのである。それに、今更SNSのことに関して声を荒げても手遅れかもしれない。既にしてSNSの絶対的覇権は確立したのであり、それに抗うことは滑稽でさえあるかもしれない。だが、それでもSNSにある程度の診断を下すことは全く無意味であるわけではないだろう。いくら不治の病だとしても、その病の実態を知ることができたなら、幾分は慰めになるはずである。人は知らぬ者に滅ぼされるよりも、知っている者に滅ぼされることを選ぶものなのだ。ならば、私が筆を止める理由はないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ