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積雪
この日の雪が降り続くこと。それは昨夜の天気予報で知っていた。三月も末になってしまっているが、また寒さに耐えて帰宅することになった。少し吹雪いてきた。遠くで咲く桜の木から、花弁が吹雪で舞い散っていた。
ここに何かとくに想うことも無いが、つい見惚れてしまって、スマホで写真を撮っていた。
それでも、それはただ―、それだけのこと。その写真は誰にも知られることなく、スマホの中で、永遠に眠ることになった。
ソーシャルネットワークサービス。そんな大衆とも云える人々の趣味など、まったく気にも留めない。今どき―、と云いたい女性群がいることも知っていた。ここで知らない誰かとコミュニケーションを取り、その共有を培ったとしても、そこに何らかの意図を持つものでもない、人々の一人だ―、とも最初から解っていた。