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私たち婚約してたんですか?勘違い後に本当の恋が待っていました。  作者: おつかれナス


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十年後 変わらない気持ち 商会編

「デビット様、無事救出!!」


 デル商会の影から報告があり胸を撫で下ろした。

 今直ぐにでも駆け付けて抱き上げて、ケガが無いかを確かめたいがその役目はシェリーに任せようと思う。

 ルッツ伯爵家も兄のクーカス伯爵夫妻が片付けたと連絡があり、持つべき者は兄!!と感謝した。


「孤児院は会長が。ルッツ伯爵は兄が片付けてくれた。次は俺たちですね」


 そう言ってハリソンさんを見れば、ハリソンさんもメグから手紙がきたのだろう。

 嬉しそうに頷いた。


「今夜あたりウォーエン商会の船が出航します。おそらくその時に子供たちを移送するかと思います」

「子供たちの居場所は?」

「ウォーエン商会の倉庫は突き止めましたが・・どこを探っても見つけられず・・」


 すみませんと頭を下げる彼らに労いの言葉をかけた。


「貴方がたの働きでここまで調べられたんです!ありがとうございます。この調子で子供たちを救い出しましょう」


 そう、デビットのように。

 そんな時、


「カイさん、子供たちの居場所がわかりました」

「どこに?!」


 あれほど探っても見つけられなかっ子供たちの居場所が分かったと連絡が来たのは、日が暮れるほんの少し前だった。

 すでにウォーエン商会の荷物の搬入が終わり、いつ出航してもおかしく無い頃だった。


「一体どこに?」

「すでに船の中に運ばれている様です」


 そんなはずは・・荷物が運ばれている間こちらはずっと監視していた。

 子供たちが運ばれて行けば直ぐに分かるはず・・

 ハリソンさんも同じ顔をしながら報告を聞いていた。


「搬入箱の中だと・・」

「「!!!?!」」

「監視の一人がその・・箱の中から・・子供の様な声と、叩いている様な音を聞いたと・・」

「もし・・それが本当なら早く助けないと・・」

「箱の中には何人くらいいるんだ?」

「すみません!そこまでは確認出来ておらず・・」

「・・・」


 箱は木で作られてはいるから全く酸素が無い訳ではない・・が、そこに子供が何人入っているかで酸素の量も変わってくる。

 もともと人を運ぶ物として作られていないんだ!


「いえ、あれだけ探しても見つけられなかったのを、見つけただけすごいです!終わったらその者に褒美を渡してください」

「承知しました。それでは」

「乗り込みます!君たちは相手に気付かれないよう追って来てください」

「準備は出来ております。それからすでに二十名程、船員として忍び込ませております」


 そう言いながらスカーフを二枚渡して来た。おそらく仲間は同じスカーフを巻いているのだろう。


 さすがお義父さんが育てただけある。


 そう思いながらスカーフをハリソンさんから受け取ると


「では俺たちも行きますか、子供たちを救いに」

「そしてこの機にウォーエン商会を潰しましょう」


 ハリソンさんの言葉に頷くと、俺たちは部屋から飛び出した。



 船長が乗り込むのを確認した後、俺たちも船に乗り込んだ。船が出航してからでないと動かない理由・・それは


「アイツらは簡単に船を捨てますからね」


 だった。

 以前、こちらの商品を盗み他国へ運ぶ直前に抑えると、簡単に逃げて行ったと。


「でも船がウォーエン商会のものなら・・」

「全く違う船だったんです。足が付かないようにでしょう。実際、後日会長が乗り込んだ際そう言って来たそうです。 我が商会の船だという証拠はあるのか?と・・」


 だから今まで捕らえられなかったのか・・

 出航前だとウォーエン商会の息がかかって無い者を捕らえても、証言が取れない。


「今回は物では無く人、ですからね。しかも子供・・。アイツらは絶対に手を出してはいけない商品に手を出したのです。これは、見逃せません」


 いつになく力が入っている部下に何があったのか聞いてみたら


 前回は大人だけだった。そして、その時は船底に部屋が作られていて男女別に押し込まれていたと。


「ただ女性は・・船員たちの相手をさせられていたのか、正気を失っている者が殆どで・・」


 船から救出する直前に船長始め、上層部には逃げられてしまった。その為今回は海上での捕縛となった。


 海上部隊には連絡済みだ。


「さて、そろそろ行きますか!俺たちを敵に回したらどうなるか、教えてあげましょう!」


 皆が頷く。


「知った時には、居場所は無くなってるけどな!」




 港に到着すると見張り役の影から説明を受ける。

 子供たちが入っているだろう箱は、昼前には船内に運ばれたらしくこれ以上時間が過ぎれば命に関わってしまう。


「副会長、船が出航するようです」

「では私たちは上へ行くので、貴方たちは下をお願いします。では行きましょう」


 失敗は許されない!

 皆にアイコンタクトを取るとそれぞれに動き出す。

 俺もハリソンさんと一緒に船へと走り出した。



「カイさん、下へ向かった者から子供たちの無事を確認出来たと報告がありました。多少の脱水は見られたものの皆意識はあるそうです」

「良かった・・」

「はい、下に配置されていた者たちもウォーエン商会とは関係のない者ばかりだったようです。案外あっさりと箱を開けてくれたそうです」


 ハリソンさんがたまらなく楽しそうに話してきた。そんな時の彼は絶対に何か言っていると思う・・

 あの会長に育てられた人だ。


「ではカイさん、遠慮なく行きますか!」

「ハリソンさん、殺してはダメですよ。生け捕りじゃないと潰せないから・・」


 そうでしたね!と笑いながら答えたハリソンさん。この人だけは敵に回したらダメだ・・


 俺とハリソンさんは途中全員を優しく(?)眠らせながら上へと上がる。

 予め場所を把握しておいた船長室へ向かうと、今回も良い買い物が出来たと大声で話している声が聞こえた。

 俺たちは静かに扉の前へと進む。

 隙間から中を覗けば、四、五人の男たちが酒を片手に大笑いをしていた。


「上玉は伯爵に取られたが、それでも向こうで高く売れそうな子供がいたなぁ」

「ああ、少し痩せたガキだろ?あれは磨けば貴族の夫人に気に入られそうだよな?」

「女の子もいたよなぁ?可哀想に・・」


 何が可哀想なのか・・扉に耳を当て聞くと


「アレはすでに買い手が決まってる。幼児趣味の変態お貴族様!大人の女じゃダメなんだってよー」


 その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かがキレた。


「カイさん!!」

「副会長!!」と、同時に声が聞こえた時には・・俺の拳は船長の左頬にめり込んでいた。


「おっ、お前はデル商会の!」

「クズ船長に知られてても嬉しく無いですねー。あっ、もう船長じゃないか!」


 俺はあえて耳元まで近づき


「アンタの行く場所は海上部隊の牢獄だよ」


 と囁いた。

 男たちは後ろ手に縛られたままもがいていたが、ハリソンさんの一喝で小さくなった。


「ルッツはもう貴族では無い!昨日、王より爵位を剥奪された!そしてウォーエン商会も明日には解体する事が決まっている」

「お、俺たちはウォーエン商会長に騙されてやったんだ。本当だ・・この船だって頼まれて「もう言い訳は結構です。調べはついていますし、何ならすでに王太子殿下の元へ話は上がっている」


 捕らえた男たちは そんな・・と顔を青くする者、泣き出す者と色々だ。

 だか、そんなのは関係ない!


「海上部隊の人たちが上がって来たようだ。しっかり反省しろ!お前たちがやった事はこの国で王に対し裏切り行為とみなされる!」


 俺たちは残る者へ後の事を頼み、小さな船で港へと戻った。

 もう少しで日が昇る。


「カイさん急ぎましょう!」


 今度はウォーエン会長の元へと馬を走らせた。



「と言うわけで、貴方と商会を潰しに来ました」

「なっ!何が潰しにだ!俺は知らん!あいつらが勝手に荷物の中に紛れさせたんだ!」

「そんな筈ないでしょう。荷箱にはウォーエン商会の焼印が押されていましたよ」


 あくまでも優しく話しかける。

 本当なら、さっさと気を失わせ騎士隊へ引き渡したいのだけど・・


「貴方はまったくの無関係だと?」


 会長は頷く。

 自分も伯爵に騙されたんだと・・

 勝手に運び込まれたのだと・・


 そんな事はどうでもいい。結果、子供たちがいた。荷箱に入れられて。


「あんたの言い訳なんて、どうでもいいんだ。ここに、あんたと船長が結んだ契約者がある」


 会長の目の前に一枚の紙を出す。そこに書かれていた事は


① 決して荷物の中の事を第三者に話さない。

② 荷物は商品。大切に扱う。

③商品に傷を付けた場合、一つに対し一万ベリを支払う。

④ただしメスに関しては高額商品もある為注意を払う事。それ以外のメスは種付け目的なら可

⑤もし捕まった場合において、お互いのつながりを一切言わない。もし話した場合は一族の血をもって償う事とする。


 会長は なぜこれを! と叫んでいたが、デル商会を甘くみた結果だ。

 

「我が会長の事を本当に知らないんだな。あの方はこの国だけでなく、世界を牛耳っているんだ。あの方に知らない事なんて一つもない。今までは見て見ぬ振りをしていただけだ」


 ガクガクと身体を震わせながら 助けてください と懇願してくる。そんな会長を下に見ながら言葉を続ける


「さぁ選ぶんだ。今ここで処罰されるか、捕縛され罪を償うか」





「カイさんは優しいですね。会長でしたらその場で殺していたでしょう。彼はそれだけの事をしたのですから」


 馬に跨りながらハリソンさんが言ってくる。

 確かにその節はあると、自覚している。でも・・


「あの場で殺す事は簡単ですが・・奴がやった事はそれで終わらせて良い事では無いと思ったので」


 本当に優しいのは会長の方だ。

 あの場で命を絶ったほうが奴らには幸せな事だった。


「明日からの奴らは、死んだ方がマシだと思える程の拷問が始まります。その前に口を割れば良いですけどね」


 ハリソンさんは そうですか。とだけ言って黙った。俺は会長とは違うやり方で家族を、商会を守っていくと決めた。

 たとえそれで地獄に堕ちようとも曲げるつもりはない。

 あの日会長に助けられた恩を、シェリーに救われた心を、命を懸けて返していく。


「私の心はメグと子供たちですが、身体はカイさんと共に・・最後まで付き合いますよ」

「!ありがとうございます!心強いです!」


 会長のように全てを掌握する事は出来なくても、俺には信頼できる家族がいる。


「帰りましょう、家族のいる屋敷へ」



 ギル、そちらの国のことは任せたぞ!


 そう心の中で呟きながら愛馬と共に屋敷へと走った。

 

 


商会編終わりです。


明日は最後の章 サルーン国です。

間に合うように書きますが、遅れてしまったらすみません!

頑張って書きます!

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