船の中での出来事 後編
昨日今日の二話です。
「伝令が来た。どうやら君たちの兄であるクーカス伯爵からだ。先に読むかい?」
そう言って一枚の紙を俺たちの前に差し出す。
俺はギルと顔を合わせ
「いえ、この船に届いたのでお義父さんから先に読んでください。」
「ギルくんも良いかい?」
「ええ、もちろんです。」
ギルが返事をするとお義父さんは伝令を読み始めた。
そして眉間にシワを寄せた。
俺たちは少し不安になりながらも、お義父さんの言葉を待った。
「どうやら・・君たちの実家に問題が起きたようだよ?」
「「えっ?」」
兄であるペルージャ・クーカスは実家を継いでいる。
子供の頃は身体が弱く、長くは生きられないだろう。と言われていたが当時婚約者だった義姉さんの進言で主治医を変えると激変した。
俺とギル程では無いが剣を振るえるまでに筋肉も付き、そのおかげか体力もついている。
頭脳は俺たちが太刀打ち出来ないほど良く、今は王太子殿下の相談役になっている。
もちろん領地経営もこなし、父の時に衰退してしまった産業もお義父さんの力を借りながらも復活させた。
活気ついた領地に一人また一人と領民も戻り、今では以前より人口も増え新しい街が一つ増えたと言っていた。
そんなクーカス領に問題が?
「いや、領地に問題はない。問題なのは君たちの義姉さんらしい・・」
そう言って紙を差し出して来た。
俺はその紙を受け取り、ギルと目を通した。
[到着次第急ぎこちらへ来て欲しい。俺一人では解決出来ない。]
俺はギルを見る。
ギルも俺を見る。
「兄が解決出来ない問題とは・・?」
「領地は・・」
「問題ないはずだよ。報告は受けているからね!」
お義父さんは領地に優秀な経営者を派遣してくれている。
その人のおかげで領地は栄えている。
「では、王都の屋敷?」
「しか無いだろうな・・」
「取り敢えずは国に到着次第、疲れているとは思うが君たちは実家へ行くと良い。馬を用意する様に伝令をだすから。」
「あっ、お義父さん。馬車をお願いします。」
お義父さんは何で?と言う顔をした。
つられて俺も何で?で返した。
「君たちだけなら馬のが良いだろう?」
「確かに俺たちだけなら馬のが良いですが、シェリーも連れて行くので。」
「・・連れて行くのかい?」
「? もちろんです。逆に置いて行くと暴れますよ?ウォルフがいれば二人乗り出来ますが・・」
ウォルフは俺の愛馬で、元軍馬だ。
シェリーとも良く二人で乗って遠出をしているから問題はない。
お義父さんは少し考えると、
「分かった、馬車も用意させよう。」
自室へ戻るとシェリーとメグが俺の帰りを待っていた。
何となく察したのかシェリーの顔が少し暗い。
「あの、カイ?お父様とのお話は大丈夫だったの?」
遠慮がちに聞いてきたシェリーを抱き寄せ、オデコに軽くキスを落とす。
「疲れているところ申し訳ないけど、国に到着したらその足で王都の兄の元へ行く。大丈夫か?」
船が着く場所から馬車で丸一日かかる。
途中宿で一泊出来るようお義父さんが手配してくれた。
ギルは単騎なのでそのまま兄の元へ駆けると言っていた。
ギルの愛馬も軍馬だから、途中休憩を挟めばそのまま行けるだろう。
「何かあったの?」
「詳しい事は書かれていなかったが、どうやら兄の手を持っても解決出来ない事が起きているみたいだ。」
「私が行っても良いのかしら・・」
「?むしろ来てもらわないと俺が困るけど?」
そう言って再度シェリーを抱きしめる。
「今回メグは連れて行けない。連れて行ったらハリソンさんに俺が殺される。」
メグにハッキリと伝える。
メグも分かってるわ。と、返事をした。
クーカス家で何が起きているのか・・
俺はベッドの中でシェリーを抱き寄せ、彼女の体温を感じながら眠りについた。
この話はこれで一旦完結です。
今、カイとギルの兄の話を書いています。
来週辺りから投稿しようと思っているので、気になる方はぜひお立ち寄りください♪




