サルーン国 29
今夜は王太子殿下妃殿下の結婚一周年の祝賀パーティー&爵位授与式がある。
そのため朝から準備で侍女もメイドもバタバタと動き回っている。
特に侯爵夫人の準備には大半の侍女が準備に手を取られていて・・
「だからと言ってメグがこんな事しなくて良いのに・・。何かあったらどうするの?」
「私はシェリーの専属筆頭侍女なのよ!こんな大切な時に、おとなしく寝てる事なんて出来ないわよ!」
そう言いながら下着を用意している。
「コルセットとかメイクはフラン達に任せるけど、ヘアーだけは私にさせて欲しいの。小さな頃から私が纏めてたでしょ?」
母を亡くしてからはメグがわたしの髪を結んでくれていたのを思い出す。
メグが懐妊したと聞いた時は嬉しさと同時に血の気が引いた。あの時、目の前でメグが倒されたときに身体から倒れたからだ。
メグもハリソンも侍医からは大丈夫と言われてる!と言っていたが、やはり心配だ。船で体調を崩していたのも妊娠が原因だったんだなぁ。と納得出来た。
「はぁぁぁ、お綺麗ですぅぅ。ドレスも素敵ですが、こんなにもドレスに負けない髪を結えるのはメグさんだけです!その手腕を盗みたいです!」
「主人を綺麗に飾るのも侍女の努め!日々修練、努力。しっかり励みなさいフラン。」
「本当、メグのおかげでドレスに負けない容姿になれたわ。これならカイの隣に堂々と立てるわ!」
((・・・・))
メグとフランが何か言いたそうにしていたけど、わたしは自分の容姿に満足してながらも、カイが迎えに来てくれるのを待っていた。
「そう言えば・・カイとギルの準備は誰が付いているの?メグもわたしに付きっきりだし・・」
めぐは ああっ、と思い出したように言ったのは、
「アン様と私の母、それとハリソンがついているわ。だから大丈夫よ!」
「えっ!お義母さまとメイも来るの!しらなかった!!」
「商会長が一緒に連れて来てくださったそうよ。」
フランに指示をしながら話ている。
そうなのだ、目を覚ました時お父様がいて驚いた。通常でも船で来れば一ヶ月はかかる。わたし達がでて半月後にオブランス国を出た事になる。
コンコンッ!
フランが扉を開けると噂のお父様が入って来た。
お父様はわたしの姿を見て目に涙を浮かべる。
「シェリー綺麗だなぁ。普段は私似と言われるがこう着飾るとやっぱりカロリーヌにそっくりだ!」
(やっぱりカイには勿体なかったなぁ)
と言ったのは聞こえなかった事にしよう。
「シェリー様、カイディアン様をお通ししても宜しいでしょうか?」
ビクターが声を掛けてきた。
わたしは もちろん! と返事をすると二人の男性が部屋へと入って来た。
カイとギルだ。
カイがわたしの側へ来ようとしたら何故がお父様が遮った。何だかカイとギルの表情が硬いが、わたしからはお父様の表情が見えないので首を傾げる。
カイは静かに頭を下げると、カイの肩に手を置き静かに部屋を出て行った。
カイは頭を下げたままだ。わたしはギルを見る。
ギルは静かに微笑むと また後ほど と口だけを動かし、侍女達と一緒に部屋を出て行った。
「カイ?どうしたの?お父様に何か言われたの?」
カイは頭を下げたまま頭を横に振る。
どうしたのかしら?と立ち上がろうとした時、カイがわたしの元まで来て膝を付くと手を取る。
「あの、、カイ?」
「シェリー、俺は君に何があっても守ると言った。」
「フフッ、プロポーズしてくれた時ね?」
カイは黙る。
わたし何か変な事言ったかしら?と少しオロオロすると、両手をギュッと握られる。
「あの時、シェリーが倒されてる姿を見た時俺は、怒りで我を失った。あいつらに対してもだけどそれ以上に俺に腹が立ったんだ。もう少しで君を、シェリーを失っていたかもって・・」
カイはわたしの目を見続ける。
わたしもカイの目から離せない。
「改めて誓う。二度と君をあんな目に合わせないと・・。何があってもシェリーの側から離れないと。だからシェリー、俺から離れないで欲しい。」
今にも泣きそうな、懇願するような・・そんな目で見つめられるとわたしまで悲しくなる。
「あの時のわたしの言葉、忘れちゃったの?」
カイの頬を撫ぜるとその手をカイの手で包まれる。
「わたしは言ったわ。カイがわたしを守るなら、わたしはカイを守ると・・。守られるだけの女は嫌よ。貴方とカイと一緒に歩きたいの。」
カイは立ち上がるとわたしを抱きしめた。
「シェリー、愛してるよ。」
「フフッ、わたしもカイ!愛してるわ!」
残り二話ほどで完結します。
もう少しお付き合いください。




