サルーン国 24
目覚めると見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。部屋と言ってもどこか貴族のお屋敷らしく、調度品も整っている。
「キャシーさん!?」
「ここにおります。お目覚めになりましたか?どこか不調はありませんか?」
わたしを気遣う言葉はこんな時も崩さない。
「今は普通に話て下さい。わたしも貴方も同じ子爵位だし、何なら貴方の方が上だから。」
「笑 私の言葉遣いはもうクセの様なものなので慣れてくださいませ。それよりも・・私達を拘束するつもりは、無さそうですね。」
「取り敢えずこの部屋の中は自由に出来るみたいね。」
扉を開けようとしたが、外から鍵がかけられている。窓も同じようで開かなかった。
そしてテーブルの上にはティーセットや軽食まで用意さいていて、キャシーさんはお茶を淹れてくれた。
そして当然のように先に口を付け、
「大丈夫のようです。まっ、殺す気があればとっくに殺されておりますね。」
「サラッと怖い事言わないで・・」
淹れてくれたお茶を飲む。この部屋でなんの武器も持たない(か弱い)女性ではする事など何も無い。
諦めてお菓子を口にすると、扉をノックする音が聞こえた。
「はい。どうぞ。」
と返事をすればベンが入って来た。
わたしとキャシーさんを見ると安心した様に見える。
「手荒なマネをしてすみません。どこか不調はありませんか?」
「お陰様で、と言えば良いのかしら?それより私たちをどうするつもり?」
ベンは少し困った様な顔をし、何かを言いたそうに口を開く。と、同時に部屋に入ってくる気配がして三人同時にそちらへ顔を向ける。
「ベン、お嬢様方が目覚めたなら直ぐに知らせなさい。」
「もっ、申し訳ありません。公爵様・・」
「まぁ良いでしょう。」
ベンには口調は優しいが、何も言わせない雰囲気が
漏れ出ていた。
「初めましてシェリー・ハイル子爵。私はこの国でフォルスター公爵位を賜っております。ハイゼン・フォルスターです。そしてキャシー・ドードル嬢。いや、キャシー・サルーン様。」
フォルスター公爵はキャシーさんの前で[臣下の礼]をとる。キャシーさんは おやめ下さい と声を掛けるが不吉な笑みをそのままに姿勢を戻す。
そしてわたしを見ておやっ?とした顔をした。
「どうやらハイル子爵・・シェリー嬢も知っておられましたか?キャシー様が亡き王弟殿下の忘れ形見だと。」
わたしは無意識にキャシーさんを後ろへと庇う。
公爵から出る不気味な雰囲気に押されてしまうが、不思議とキャシーさんを守らないと!と体が感じてしまった。
「そんなに警戒なさらずとも今は何もしませんから、安心なさってください。ただ、キャシー様には私の手伝いをお願いしたいと思っておりますが?」
「お手伝いとは・・」
キャシーさんが声を振り絞って聞く。
(ここでは何ですから)
と、案内された部屋は公爵家の応接室だった。
どうやら本当にわたし達を拘束、監禁するつもりは無い様だ。ただ、逃げ出さないよう扉や窓の前には公爵家の騎士達が立っていた。
わたしとキャシーさんは言われるがままソファーへと腰掛ける。侍女がお茶を出すとそのまま下がって行った。
「何から話しましょう。」
そう言って話始めた公爵は、サルーン国が建国した時からの話だった。
その昔サルーン国は当時の王が国土を広げる事に執着し、戦争戦争だった。当然国からは男が減り続け残ったのは女性ばかり。
当時の王妃はそんな夫、国に危険視していたがその通りになってしまう。
王が戦死したのだ。
当然戦争を始めたこちらに多額の賠償が来た。それはもう国が潰れるほどの賠償金だ!
王妃は相手の王にこう告げた。
「我が国には王女しかおりません。どうか王子を一人王配として迎えたい。そして国の名を変えこれからは王女の血を持って治めていきたい。」と。
「ここまでの話で分からない事はありますか?」
シェリーは手を上げる。
「現王も前王も確か男性が継承されていますよね?」
公爵は頷き話続ける。
「前王妃もその前の王妃も男児しか産まなかった。
ただ、前王妃はまだ血筋で言えば隣国王の血を引いていた。だが現王妃は全くその血を持っていない!!」
バンッッッとテーブルを叩いた振動で、わたしとキャシーさんのカップからお茶が溢れた。




