サルーン国 22
「ハイル子爵さま・・何を?」
「あなたのペンダントを見せてもらいたいの。もしかしてペンダントに彫られているのは剣と花。花はユリではなくて?そしてそれは、王弟殿下の形見の品。」
真相を突かれ固まるキャシー。
「ち、ちがいます。王弟殿下なんてそんな・・」
「ごめんなさい。あるお店で王弟殿下がある貴族女性に、お互いの家紋を入れたペンダントを作った。と聞いたの。それと、そこで出されたお茶。あなたが好んで出してくれたお茶と同じ物よ。」
「たまたまです。それにペンダントは亡き母からの形見であって、王弟殿下とは何の関係も・・」
「あなたは今、ドードル性を名乗っているけれどドードルの家紋は橋。そしてあなたのお母様の実家。バルー男爵の家紋は・・ユリの花。違って?」
キャシーは下を向いたまま震えている。
その姿はもう認めている様なものだ。
「いつ、気付かれたのですか?誰も気付いてない事なのに・・」
「・・庭園で襲われた時、あなたは妃殿下をお守りした。わたしはメグに・・その際あなたの首からペンダントがわたしの目の前に。」
「そう・・ですか。」
キャシーは諦めたように話始めた。
「母は王太子殿下付きの侍女でした。多忙を極める両陛下の代わりに王弟殿下が良く顔を出していたそうです。」
一緒に王太子殿下を見守っているうちに恋が芽生えたそうです。良くある話ですよね?
ですが母は男爵令嬢。どうしても身分の差がありすぎます。そして王弟殿下には婚約者が・・
当時、王弟殿下を狙う貴族が多かったそうです。婚約者がいるのに・・。
その日は王妃陛下の誕生祭で、身内である殿下も顔を出していたそうです。その際飲み物に媚薬を・・
母は媚薬を飲まされフラフラになっていた殿下に、自ら身体を差し出したと言います。思い出に実家に戻るつもりで。
しかし私を身籠りました。
殿下は婚約を解消し、戦争から戻ったら結婚しようと、約束の品としてこのペンダントを渡したそうです。責任を取るつもりだったのでしょう。
そう言って見せてくれたペンダントは、私が見た剣と(ユリの)花だった。
「お願いです、私は何も望んでいません。このままここで、妃殿下を支えたいのです。」
ボロボロと大粒の涙を流す。
わたしはメグと顔を合わせる。
「あなたを探している貴族がいるそうです。このまま何も無ければ王宮にいられますが、もしあなたの身に危険が及ぶ時はわたしの国へ連れて行きます。あなたの存在が妃殿下の命を危険に晒すからです。よろしいですか?」
キャシーさんは黙って頷いた。
あとはこの事をカイとギルに話すだけだわ。
そう思ってソファーから立ち上がろうとした時、
コンコンッと扉をノックする音がした。
メグが私たちを奥へと誘導し、扉へ近づく。
「どなたでしょうか?」
「ベンです。妃殿下の護衛の。」
メグはこちらを向き、更に下がるようジェスチャーをする。こんな時のメグは勘が働く。きっと何かが起こる!そう思った瞬間、突然ドアが弾かれるように開かれる。
メグは咄嗟に戦闘態勢になる。
「これはこれはお嬢様がた。ずいぶんと探しましたよ?まさかこんなに近くに王弟殿下の落し子がいたなんて、俺もまだまだだなぁ。」
クックックと笑いながら近づいてくる。
わたしとキャシーは出来るだけハジに寄り、身体を屈めている。
「あなたは妃殿下の護衛なのに、なぜ命を狙ったの?」
「そんなの簡単な答えだよ!我が国の血に余所者の血は要らない。王弟殿下が女の子を残したと知った時、我が一族がどれだけ喜んだか!女王は男しか産まないクズだ。知ってるか?この国で重要とされるのは、女性の血だ!」
言い終わる前にメグへと攻撃をする。メグはそれをかわしベンへ短剣を振り下ろす。が、それを素手で受け止められる。
メグは足を使ってベンから離れるも、
「メグ!うしろ!!!」
「くっ!もう一人!!!」
首の後ろを思いきり叩かれ、床へと倒れ込んだ。
今回はギルと二話投稿しました。
こちらからの方は一話戻ってお読み下さい。
読まなくても大丈夫ですが・・




