サルーン国 20
翌日、昼食を食べた後わたし、カイ、ギル、メグの四人は街へと足を運んだ。
今回も前回同様に動きやすいドレスで出掛けた。メグも侍女の格好ではなく、わたしより更に動きを重視した格好だった。
店に着くと出て来たのは奥さんだろう。名を伝えると慌てて奥へと走って行った。
「お待たせしました。何かご用でしょうか?」
おそらく奥さんに尻を叩かれたのだろう店主は、えんぴつを持ったまま出て来た。もしかしてキャンセルされるのでは?そんな怯えも伺えた。
カイは店主の様子に気付いたらしく慌てて、
「忙しくさせてる中すまない。店主に聞きたい事があって来た。少し時間をもらえないか?」
あからさまにホッとした顔になりこの前の席に通された。奥さんにお茶を頼んだ店主は恐る恐る聞いてくる。
「実はあのペンダントの事で聞きたくて。」
「図案の変更でしょうか?今ならまだ可能ですよ。」「いや、図案はあのままで!実は王弟殿下の事なんだが、確か父親が作ったと言っていたが?」
「はい、親父が殿下から依頼されお作りしました。」
ギルはカイに首を縦に振った。
「どんなペンダントだったか覚えているか?出来たら家紋を覚えていたら教えて欲しい。」
前のめりに聞いてくるギルに思わず後ろに下がる店主。奥からお茶を運んできた奥さんに、何やってるの!と言わんばかりに前に押される。
目の前に良い香りのお茶が運ばれてくる。一口含むとその香りが鼻から抜ける。
「このお茶・・」
「お気に召しましたか?実は王弟殿下からのお礼の品で頂きまして、私どもが飲んでも美味しかったので購入しております。」
「ええ、とても美味しいわ。」
カイとギルは気にせず飲んでいる。メグも美味しい、何処に行けば買えますか?と聞いている。
(このお茶、わたし何処かで飲んだことある。何処だったかしら・・この国に来てからだから侯爵家?だったらカイ達も気付くはず。じゃあわたしだけ?いったい
どこで・・)
「お待たせしました。親父が書いた図案の中にありました!こちらが王弟殿下から依頼をされた図案です。」
持って来た図案に書かれていた家紋は・・
「少ししたらキャシーが来ますので、それまでこちらでお待ち下さい。」
そう言って扉の前に控えたのは、キャシーと同じ妃殿下付き侍女のシンディさん。彼女は侯爵家の息女で実はケンウッド卿の婚約者だと聞いた。
「私とケンウッド卿を合わせたのは殿下と妃殿下なんですよ。ちなみにもう一人の侍女のラーラは殿下の護衛騎士の一人、ロビンとお付き合いしております。」
ここだけの話ですよ。と、人差し指を立てて口元に当てる。その仕草が女のわたしでもドキッとする程可愛くて、今度わたしもカイにしてみようかしら?なんて思ってしまった。
今日は昨日の出来事を殿下と妃殿下へ報告する為に、王宮へと来ていた。
ギルはわたしに付くと言っていたが、大事な話だしギルにはカイと共に両殿下の元へ行くようお願いした。
(ギルの妃殿下付き護衛の話もあるし)
もちろん二人の不安もわかる為わたしにはメグが着いて貰っている。
わたしが通された部屋は妃殿下の私室。もし何かあっても、妃殿下の部屋なら安全との事で特別に使用許可が降りたと聞いた。
さすが妃殿下の私室、調度品が全て樹齢100年は越しているだろう材木で作られており、分かる者が見れば喉から手が出るほどの品だ!
床に敷かれている絨毯も異国でしか作られていない品で、こちらも注文してから出来上がるのに200日は掛かるだろう品だ。
商人魂に火がついてキョロキョロしていると、
「お待たせしてすみません。」
と、キャシーさんが現れた。
シンディさんはキャシーさんと交代して戻って行った。
さぁ、ここからが本番です!
「突然でごめんなさい。キャシーさん、身に付けているペンダントを見せて頂けますか?」
今日は住んでいる学区の中学の卒業式でした。
卒業生のみなさん、おめでとう御座います!
夢を追いかけて頑張ってくださいね!




