サルーン国 19
数日後、さっそく図案が完成したと店の店主が届けに来てくれた。その際にペンダントとチェーン。ペンダントに飾る宝石等も一緒に持ってきた。
「素敵な図案だわ!文句無しよ!」
「創造以上だ。こちらの兜と姉の家紋は・・」
「エルディアナの家紋はこれよ。」
ハンカチーフに刺繍された物がテーブルの上に置かれた。侯爵夫人の物だ。見ると・・
「魚?」
「笑 そう魚。可愛いでしょ?実家は海の近くの領地でね、それはそれは沢山の魚が取れたの。だから魚」
懐かしいわね〜これ、一時流行ったわよね?と言いながら見本を手に取り見ている。
わたしはハンカチーフを見ながら、(魚といっても顔の部分が人の形をしているから、どちらかと言えば人魚に近いわよね?)変わっている。
「では、兜と・・魚で。ハイル家は・・」
「湖と向日葵で。母がとても好きな花だったの。だからきっと、お父様は喜ばれるはずよ。」
そう提案するとカイも、絶対喜ぶよ。と同意してくれた。それを見ていた侯爵夫人が、
「では私も主人と同じ物をお願いするわ。我が家は弓と魚ね!そこのタペストリーに付いている物が家紋よ。そうね、ペンダントとチェーンはこちらの物で。宝石はトパーズと翡翠で。誕生石なのよ。」
「奥様、図案の方は・・」
「これを見たら任せられるわ!期待しているわよ?旦那様の誕生日プレゼントで渡す予定でいるから。」
それだけ言うと部屋から出て行った。
すれ違うようにメグとハリソンが入って来る。
「ハリソンこれ素敵!私たちのも作りましょ!家紋無いからお互い好きな物で!お揃いの物を持つなんて素敵だわ!」
(あれっ?ちょっと待って!これ、もしかしたらすごい商売にならない?)
顔に出ていたのかカイから、後で話そう。と耳打ちされた。ペンダントとチェーン、宝石を選び店主は泣きながら(喜んで)帰って行った。出来上がりがとても楽しみである!
「兄さんここに居たの?て、みんな集まって何かあったのか?俺抜きで!」
どこかに出掛けていたギルが屋敷へと戻ってきた。
侍女から水を貰い一気に飲み干すとテーブルの上にあった、店主の忘れ物のペンダントを手に取る。
「手掛かり無しだ。宝飾店なんて何十軒もあるし手頃の物だからほとんどの女性が身に付けている。」
もう一杯の水も飲み干す。
わたしは聞いたらいけない会話の気がして、そのまま部屋から出ようとしたら、
「あっ!悪い!シェリーとお揃いの物が持てると浮かれてて忘れてた!今までいた宝飾屋が王弟殿下のペンダントを作ったと言っていた!!」
確かに言っていた。王弟殿下がさるお嬢様にプレゼントしたと・・
カイとギルの話を聞き、王弟殿下が作ったと言うペンダントを探していたと。
ただ、どんな形のペンダントかまでは誰も知らなかった為、闇雲に宝飾店や装飾店、雑貨屋やドレス屋と歩き回ったらしい。
「明日また店に行こう。どんな家紋かさえ分かればすぐに見つかるさ!」
「ええ、そうね。」
何とも言えない不安な気持ちが自分の胸の中で渦巻き、その夜はなかなか寝付けなかった。
そしてその胸騒ぎが現実になったのは、その夜から数えて三日後だった。




