サルーン国 16 カイ
「そんなバカな事あるか!!兄さん、ちゃんと断ったんだろうな!!」
俺に与えられた執務室には今、俺とギル。メグとハリソンさんがいる。一人掛けのソファーに俺とギル。二人掛けにはメグとハリソンさんが座っていて、ギルがテーブルを叩きながら叫んでいた。
「何と答えられたのか、私も聞きたい。返事によっては会長に・・」
「まって!まって!断った!断ったから!!」
会長の耳に入ったら、それこそ俺の命の保証が無いし、メグも睨みながら俺を見てくる。
みんなシェリーを心の底から心配しているのが伝わってきて嬉しく思う。
「これには王太子殿下もストップをかけたから安心してくれ。ただあの日、妃殿下の護衛の飲み物に下剤が混入していてトイレから出られなかったと言っている。王宮医師に診てもらったから間違いはない。」
ギルはドスンッと腰を落とす。
「もともと妃殿下は護衛騎士のことを信用していないらしく、それで今回の事も重なって言ってしまったんだと思う。実際に直接狙われたのは今回が始めてらしい。」
「それで、もと専属護衛騎士だった兄さんにまた頼みたいって?それこそ国家問題が起きるのでは?」
ギルはまだ(なぜか)俺を睨んでいる。
「そうですね。妻が側にいるのに他人の妻の護衛なんて、しかも他所の国の人妻に!」
なんか棘が刺さってませんか?ハリソンさん
「まぁカイに限って情に絆されるって事は無いと思うけど、もし首を縦に振ったら・・」
この夫婦が刺客なんじゃ無いの?って思うくらいの殺気がすごいんですけど!
「とにかく俺はシェリーの生涯の護衛騎士だから!逆にそこは譲れない!今回はジェネヴェクト殿下の命でギルに頼んだけど・・」
「兄さん?」
そうだ、何で気づかなかったんだ!
俺の視線に何かを悟ったギルは、後ろに下がって行く。メグもハリソンさんも閃いた!と言わんばかりに手を叩く。
「一件落着ね!カイ!」
「何が一件落着なんだよ!」
「ああギル、お前が妃殿下の護衛をしてくれ!」
「だから何で俺が!」
「妃殿下はオブランスの騎士を希望している。騎士はお前しかいない!お前はジェネヴェクト殿下の護衛もしているから(俺には勝てんが)腕もある。完璧だ!」
「・・。」←ワナワナ震えるギル
「お待たせしました。って何?どうかしたの?」
シェリーが街へ遊びに行くための準備が終わり、俺の部屋へと来る。
機嫌の良い俺たちの中で一人肩を落とすギルに不信感を抱く。
「カイ?ギルに何かしたの?」
「いや、みんなが納得出来る答えが出て喜んでるんだ。なぁ、ギル?」
「・・」
ギルが泣きそうな目でシェリーを見ているが、俺はそれを遮ってシェリーの姿を褒める。
「街に遊びに行くと言ったらフランが準備してくれたのよ。可愛いでしょう?」
上機嫌でクルクル回るシェリーを、ギル以外の人が褒める。いや、ギルも褒めている。
顔が怖いが・・
ギルは妃殿下の護衛より、シェリーの護衛かしたい。
でも、カイがシェリーより妃殿下を優先して妃殿下の護衛するのも嫌。
で、結局妃殿下の護衛をする事になります。
優しいんです、ギルは 笑




