サルーン国 15
昼間、刺客に狙われた妃殿下は未だ目を覚さない。
わたしたちは王宮に部屋を与えられ、今はカイとメグとギルの四人で妃殿下の報告を待っている。
コンコンッとノックする音が聞こえギルが出る。そこにはケンウッド卿が立っていた。
「この度はこちらの騎士が持ち場を離れたため、シェリー様に危害が及び誠に申し訳ありませんでした。妃殿下付きの騎士がなぜ持ち場を離れたのかは、今調査をしております。そしてギル、お前が捕まえた刺客は尋問する前に奥歯に仕込んであった毒で自害した。」
「「なっ!」」
カイとギルの声が重なる。
それはそうだ、王宮騎士の落ち度でしかない事ばかりなのだから。
「王太子殿下は?」
「・・妃殿下のそばで目を覚されるのを見守っております。」
「そう、ですか・・」
メグが温かいお茶を淹れてくれた。食事も運ばれて来たがとても喉に通らなくてカイとギルに食べてもらった。メグが淹れてくれたお茶にはミルクと砂糖が少し入っており、
「メグ、美味しいわ。それから、本当にありがとう。メグが庇ってくれて無かったら、じゃなかったらきっと・・」
涙が出てくる。
今になって恐怖で身体が震えてくる。
「ギルもありがとう。わたしとメグを守ってくれて」
カイは黙ってわたしを抱き寄せると、カイの胸にそっと頭を押し付けた。
抱きしめられて自分が泣いていることに気付いた。
わたしの涙も落ち着いた頃、キャシーさんがわたしたちの部屋へ来た。
「妃殿下が目を覚されました。お会いになられますか?」
[今日はもう遅いので明日改めてお伺いします。]と返事をして、それぞれに与えられた部屋へと解散した。
ベッドの中でカイはわたしを抱きしめたまま、ずっと謝っていた。その場に居なかった自分を責めて。
カイのせいでは無いし、警備がしっかりしている筈の奥に刺客はどうやって入って来れたのか?
そして妃殿下が外に居るのを知っていたのはなぜ?
護衛騎士が席を外しているタイミングで起きたのはなぜ?
王太子殿下では無く、妃殿下を襲った訳は・・
「ねぇカイ?考えなきゃいけない事が多いけど、今はとても眠たいの。」
「・・今日はいろいろあって疲れてるんだ。明日みんなと一緒に考えよう。おやすみ。」
おでこにキスされた感触が気持ちよく、そのまま眠りについた。
翌日の昼前、わたしとカイはキャシーさんの案内で王太子殿下の私室へと案内された。
本来ならまだベッドの上なのだが、カイを寝室へ通す訳にもいかずでも直接話たい事もあるからと言われ、王太子殿下の私室になったとキャシーさんから伝えられた。
部屋へ通されるとまだ少し顔色が悪いものの、背筋を伸ばして座る妃殿下がいた。隣には王太子殿下が座っている。
「シェリーさん、カイ、本当にごめんなさい。こんな事に巻き込んでしまって・・昨夜は眠れましたか?」
「わたしの事は気になさらないでください。妃殿下こそ大丈夫ですか?昨日あんな事があって。」
妃殿下は薄っすらと微笑む。
「ギルバイス卿とキャシーのおかげで大丈夫ですわ。それで、お願いがあって二人に来てもらったの。」
お願い?わたしとカイは顔を合わせる。王太子殿下も聞いてなかったのか、妃殿下とキャシーを見る。
妃殿下は更に姿勢を正すとわたしに、
「カイをわたくしの専属護衛騎士にして頂きたいの」
と、ハッキリと言い切った。




