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「カイ!」
剣闘会当日。わたしは団長に付き添われカイの待合い場に案内してもらった。
カイはすでに準備が終わっており、最終確認のため剣を磨いている所だったのだが、シェリーの声に反応し振り返る。
「シェリー来たのか!普段はこんな恐ろしい場所なんて絶対来ないわ!なんて言ってるのに。」
「普段は来ないわよ!カイが出るって聞いたから、団長さんに頼んで連れて来てもらったの。」
「団長すみません。こいつの事頼みます。」
「ああ、商会長にも頼まれているよ。血を見ると倒れるからしっかり支えてやって欲しいとね!」
二人の会話を聞きながらプーと両頬を膨らませる。誰だってこんな血を見る所になんて来ないわ!とプリプリしながらもカイが心配で来てしまったが・・
「意外にも女性が多いのね。」
周りを見渡して女性が多い事に気付く。みんな血を見るのが好きなのかしら?
「そんな訳ないだろう!」
と笑い声が聞こえて来る。振り返るとカイが笑い、団長は笑いを堪えている。
どうやら心の声が口から出ていたようだ。
どうして言い切れるのよ!と言う顔をしていたのか?団長が笑いを堪えてその理由を教えてくれた。
「街の女性たちの憧れ、目当ての騎士が一同に集まるのがこの剣闘会なんだ。そこで少しでも近づく為にこうして集まって来るんだ。もしかしたら近付ける可能性もあるからね!」
「でも、近づくって言ってもここまでは来れないわよね?」
「出待ちと言って、戦いが終わった騎士を出口で待ち伏せるんだ。それはもう、騎士も勘違いしてしまう程の女性が集まってね〜。僕も妻とそこで出会ったんだよ。」
そう言って思い出しながら顔を赤らめる団長を、可愛いと思ってしまう。
ちなみに団長は去年結婚したばかりの新婚だ!奥さまとはもちろん顔見知りで、良く一緒に買い物やメグと一緒にランチをしている。
奥さまのアンリさんは、ずっとずっと一途に団長の追っかけをしていた。団長が団長になる前からずっと。
(彼は覚えて無いと思うけどね、マスターに頼まれて買い物に行った帰り四、五人の男に絡まれた事があったの。その時に助けてくれたのが彼なの。その時はまだ新人だったからボコボコにされちゃって。でも、一生懸命に守ってくれた彼を忘れられなくて。)
下を向きながら顔から耳まで真っ赤になったアンリさんを、今でも思い出す。
そして思いが通じた!と聞かされたとき、わたしもメグも一緒になって泣いて喜んだ。
「団長とアンリさんが仲良くて安心した。」
「ホントね。」
カイと二人微笑み合う。
「そろそろ開会式が始まります!参加される騎士は会場へ移動して下さい!」
案内係が叫ぶと参加する騎士たちはゾロゾロと動き出す。カイも出していた剣を仕舞い団長とわたしに頭を下げた。足の向きを変え行こうとした瞬間
「カイ!待って!」
急いでポケットからハンカチを出し、カイの腕に結ぶ。無事を祈る図柄を刺したお守りだ。
「急いで刺したからちょっとアレだけど・・効き目はあるはずよ!」
結び終えカイの顔を見ると・・
「あっ、ありがとう。しっかり応援してくれよ!」
足早に部屋から出て行った。
「あれっ、シェリーちゃん何かあったの?顔が真っ赤だよ。」
「・・・・・・」
他の騎士団長と話しを終えて戻って来た、我が騎士団長。
シェリーの顔が真っ赤になっている意味がわからず、一人うろたえていた。
カイはとてもシャイなのです。




