サルーン国 10
「ごめん、本当にごめん。彼の部屋で飲んでたんだけど酒のせいか暑くて。」
「だからって服脱ぐの?もしフランが入って来たらどうするのよ!」
「別に夫婦だからいいじゃん!」
そうだけど・・侯爵邸に入ってからは夫婦らしい事してないし・・って欲求不満かぁぁぁ。
一人で悶々としていたら部屋をノックする音が聞こえた。いつもはメグがいるが、そう言えば今朝はまだ見ていない。
代わりにフランが出る。
「シェリー様、カイ様。メグさんとハリソンさんがお見えですが。」
「えっ?入ってもらって。」
失礼します、と入って来たのはスーツ姿のハリソンと簡易ドレスを着たメグだった。
フランはお茶を出すとメグに言われ下がっていった。それと同時にカイがお風呂から出て来た。
「何かわかりましたか?」
「カイ様の思った通り反王太子派が動いている様ですね。まだどこの家門かは調査中ですが、どうやら王弟派が誰かを探していると聞きました。」
「誰か、ですか?」
ハリソンが頷く。
「わたしも王宮に勤めている侍女から話をきいたのだけど、どうも王弟殿下には子供がいると聞きました。
その話は絶対!では無い様だけど・・」
「でも、王弟殿下は結婚していなかったはず。どこからの情報なんだ?」
「わかりません。でも、二十年近くも前にお亡くなりになっている王弟殿下が、今になって出てくるのか。それにはきっと、確証があるからでは・・」
(妃殿下はベンは王弟派だから信頼出来ないって言っていた。妃殿下は何かに気付いている?)
「わたし、明日にでももう一度妃殿下に会ってくるわ!昨日は話しが聞けなかったけどきっと、妃殿下も何かをわたしたちに伝えたいと思うの。」
わたしはフランに手紙を書く準備を頼み、メグとハリソンはデートと言う名の情報収集に出掛けて行った。
昼前に出した手紙は夕方には返事が来て、昼食のお誘いが来た。昨日の東屋に用意をさせるからカイも一緒に。との内容だった。
晩餐の際、侯爵と夫人に明日の事を話たらケンウッドにも伝えておきます。と言ってくれた。
晩餐が済みそれぞれでお風呂に入ったあと、メグが帰って来た。どこに行っていたのか手にはお土産が。
「ハリソンの知り合いのお店で夕食を摂っていたら、貴族の子息たちが大きな声で話ておりました。その内容が、近いうちにクーデターが起こると。だが今は大義名分が見つからないから、見つかり次第王宮へ足を向けるだろう!と。ハリソンが後を付けて行ったので、その内どこの家門かはわかるでしょう。」
「子息たちが話してたって事は、大義名分が出来ればいつでも動けるって事よね?」
震える口で言うと、カイもそれに気付いたようで黙ってわたしを抱き寄せた。
「明日は王太子殿下にも話を伺う必要があるな。」
「えっ?明日は妃殿下にしか連絡を取っていないわよ?」
「さっき侯爵様が言ってただろ?ケンウッドにも伝えると。ケンウッドは王太子殿下の護衛騎士だから、伝えればきっと同席されるだろう。」
「それまでにはハリソンから連絡が来ると思うわ。わたしは明日の準備に備えて今日はもう下がらせてもらうわ。シェリーも早く横になるのよ?」
メグはそう言い残し下がった。フランにももうこちらには来なくても良い事を伝えてもらう。
ベッドに入ってもなかなか寝付けないわたしに、カイは黙って抱き寄せて背中をポンポンと軽く叩いてくれた。カイの体温に触れたら緊張が解けたのか?安心したのか?いつの間にか眠りについていた。




