サルーン国 6
次の日、遅めに目覚めたわたしは食後メグの手で整えられた。お迎えが昼過ぎに来ると伝えられたおかげで、少しゆっくり出来たと言ったのはメグだった。
なぜかカイとハリソンは元気に動き回っている。
「カイは準備しなくても良いの?わたしの夫として支度もあるでしょう?」
わたしの髪を弄っているメグに聞くと、今回の為に簡単に着れて且つそれなりに見栄えする衣装を用意したと言った。
「髪は後でわたしが整えるから心配しないで。」
やっぱり頼りになる姉である。
カイの準備が整って直に、侯爵家からの迎えの馬車がホテルに到着した。
わたしはカイにエスコートされ、侯爵家の家紋入りの馬車へと乗り込む。
メグとハリソンは次の馬車へ。
「そう言えばギルはいつこちらへ来るのかしら?」
カイに問いかけると、
「ギルは同じ船に乗っていたよ。ただ、顔を知られるのは困ると言って船員の格好してたから、シェリーは気付かなかったかもね。」
ホラッと指を指された方を見れば、馬に跨ったギルが馬車と並走していた。
「ギルは君を守る護衛だ。殿下の命令だからね、シェリーも部下としてギルを扱ってくれ。」
「わたしに護衛なんて・・なんか本物の貴族になった気分だわ!」
「本物の子爵でしょ?」
と、笑われてしまった。
ローリング侯爵家に到着すると、ローリング家の執事らしき人物と従僕、侍女長に侍女たちが出迎えてくれた。
「ハイル子爵、ご夫君。長旅お疲れ様でした御座いました。ようこそローリング侯爵家へ。わたくしは執事長のビクターと申します。こちらは侍女長のアカネ。わたくしの事はビクターとお呼びください。当主と当主夫人がお待ちで御座います。こちらへ」
「ありがとう。わたくしはシェリーと夫のカイディアン。侍女のメグと従僕のハリソン、護衛のギルよ。世話になります。」
わたしとカイはビクターの後を。
メグとハリソンはアカネの後について別れた。
侯爵家の応接室に通されたわたしとカイは、それぞれに挨拶をした。
「お疲れでしょう。お座りください。」
二人ソファーへ腰掛けると、タイミング良く侍女がお茶を運んでくる。
香りの良いお茶だった。
「エルディアナは元気ですか?」
侯爵夫人は優しそうな笑顔を浮かべている。
「あの子と最後に会ったのは、結婚式の時だったかしら?正直、前伯爵の噂は良くなかったから心配だったけれど、この間久しぶりに来た手紙には可愛い妹と、しっかり者の弟が二人も出来た!と書いてあって」
侯爵と夫人が微笑み合う。
「あの子からの頼み事も初めてだったから嬉しくなって。わたくし達の出来る事なら協力します。遠慮なく仰ってね。ねぇ、あなた。」
「ああ、城には息子二人がおります。一人は宰相補佐。もう一人は王太子殿下の護衛をしているので、近いうちに紹介できるでしょう。」
「「ありがとうございます。お世話になります。」」
その後はオブランス国の話をして、用意された部屋へと案内された。
案内された部屋は昨日メグに言われた通り、ホテルなんて目じゃない部屋だった。
荷解きも済んでいて、少し休んだらディナーのための準備に取りかかった。
「貴族ってめんどうね!」
と言えば、
「シェリーは忘れてるかもだけど、間違いなく子爵家当主だぞ!」
「これが普通の貴族の生活よ!普段のシェリーが間違いだからね!」
と、突っ込まれた。




