サルーン国 4
執務室の前に着くとローランがノックする。中から侍女が現れて通してくれる。
「お久しぶりでございます。お義兄さま、お義姉さま。今日はお招き頂きありがとうございます。」
「ええ、いつぶりかしら?お元気でいらした?」
「おかげさまで、皆元気でおります。」
そう答えると義姉さまは嬉しそうに微笑んでくれた。
「お義姉さまと呼ばれるのも悪く無いけれど、いつになったらエル、と呼んでくれるのかしら?私の可愛い義妹は。」
「そんな事を言ったら僕もルーと呼んで貰いたい!」
「二人とも・・シェリーが困っています。」
そうなのだ、カイと結婚式を終えた後から自分たちの事を愛称で呼んで欲しいと言われ困惑しているのだ。家族となったとはいえ相手は上位貴族。馴れ馴れしくなんて言えないと、下を向いてしまったわたしを援護するようにカイが言ってくれた。
「では、ルーお義兄さま。エルお義姉さまと呼ばせていただきますね。」
二人は喜んで承諾してくれた。
「では僕のことも是非 ギル と呼んでください。」
振り返ると義弟であるギルバイスが立っていた。
「僕は弟になるので是非そのままギルと。僕は姉さん、と呼ばせていただきますね。」
「あら、私のことは姉様なのに?」
「そこは立場を汲み取っていただけたらと。」
皆んなが笑い出す。
執事のローランも微笑んでいる。薄っすらと目に涙を滲ませて。
(前伯爵の時はきっと、こんな穏やかな時間は無かったんだろうな。)
この瞬間はなんて素敵なことなんだろう!そう思ったわたしは、自然とカイの手を握っていた。
わたしを見たカイは、何かを察してくれたようで手を握り返してきた。
メイドがエル義姉さまに声を掛けてきた。そしてルー義兄に耳打ちをして、
「食事の準備が整ったそうだ。場所を移動して続きを話そう。」
席を立つと同時にエル義姉さまの手を取り、エスコートして行く。それに見習うようカイもわたしに手を差し出すと、
「兄に見習って、貴族紳士の行動を勉強しないとな!」
食堂へとエスコートしてくれた。
食事中は和やかに話しは進み、食後のお茶を飲み始めたころ、
「実は私の伯母がサルーン国の侯爵家に嫁いでいるの。先日その伯母から返事が来て、滞在中あなた達の身の回りの世話をお願いしました。ローリング侯爵家です。嫡男は今侯爵の元で宰相補佐をしています。次男はケンウッドと言いますが、アンソニー王太子の護衛騎士をしているので、何かしらの情報を得られると思います。」
「ローリング侯爵家の人たちは皆気さくな人ばかりだから心配はいらない。シェリーは侍女を連れて行くのかな?必要ならローリング家で用意してもらう事も出来るが・・」
「そこまで甘えても良いのでしょうか?」
「ローリング家には娘がいないからシェリーが行けば大喜びで歓迎されるわ。」
父も宿を用意すると言っていたが、貴族としての準備も必要になると思い、エル義姉さまに甘える事にした。
荷物も船に詰め込み終わり、いよいよ明日出発する事になった。
少し長くなりそうな予感。
頑張って更新していきたいと思います!




