サルーン国 3 カイ
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少し時間は遡り、王城へ着いた俺はウォルフを門番へ預け王太子の元へ案内された。
コンコン!とノックをすれば、中から護衛が顔を出す。弟のギルバイスだった。
「殿下、カイ兄上が到着されました。」
「ああ、通してくれ。」
ギルに中を通されると、先に連絡が入っていたからか兄はすでにソファーに座って待っていた。
「急に申し訳ありません。実はサルーン国へ嫁がれた妃殿下よりこのような手紙が届きまして・・」
妃殿下の手紙を兄である王太子殿下へ渡す。
殿下は無言で手紙を読むと深いため息を吐く。
「妹からはこの三ヶ月ほど前から連絡が途絶えてしまってね、父上も特に母上が心配で食事の量が減ってしまったんだよ。」
そう話しながらその手紙を兄に渡す。
兄も手紙を読み、妃殿下の字が緊急を要するものだと判断をした。
「マリエンヌからの手紙の事は陛下と王妃へと伝える。私は直ぐには動けないが、祝賀会には間に合うよう向かうつもりだ。」
殿下は少し悩んだように兄を見る。
兄は頷き俺を見た。
「私も殿下と遅れて行くが先にカイ、シェリーと共にサルーン国へ行ってくれないか?」
「実はお義父上にも打診されました。おそらく商人の勘!とでも言うのでしょうか?シェリーと共に遅かれ早かれ行く事になると思います。」
「そうか、ありがとう。」
殿下は後ろに控えて立っていたギルを呼ぶと、
「ギルバイスを護衛に付かせる。」
「必要ありませんよ?」
「カイにでは無い!奥方の護衛だ!もしかして、別々に行動する時があれば必要だろう?他国へ行くんだ。用心に越した事はなかろう。」
そうして、サルーン国へ行く事が決まった。
準備が整い次第向かう事になり、それに合わせてギルも俺たちに同行する事となった。
ウォルフを小屋に繋いでいると、
「おかえりカイ。お父様がカイが戻ったら執務室へ来て欲しいと言っているわ。行けそう?」
「ああ、義父上にも聞いてもらう事があるから、ちょうど良かった。」
俺たちは揃って執務室へと向かった。
ノックをすると(どうぞ。)と声が聞こえた。
ソファーにはすでにハリソンさんとメグが座っており、俺たちもソファーへと座ると事務長がお茶を出してくれ、部屋から出て行った。
俺は一口お茶を飲み、お城での殿下の言葉をそのままみんなへ伝えた。
シェリーとメグは王妃殿下とマリエンヌ妃殿下を心配し、義父上はそんな所にシェリーを向かわせる事に抵抗を感じている様だった。
だが、王太子殿下から直接頼まれたのであれば・・と、承諾してくれた。
「カイだけでは不安もあったが、ギルバイス様も同行されるのならまぁ良いか。ハリソンにも護衛を付ける。向こうの事はハリソンに任せるから、何かあればハリソンを頼りなさい。」
出発は10日後に決まり、その日まではそれぞれの準備に追われた。
出発の二日前、俺たちは兄に呼ばれクーカス伯爵邸へ向かった。
結婚後、初めての帰省だ!
馬車を降りると執事長のローランが立っていた。
「お久しぶりでこざいます、カイディアン様。応接室でお二人がお待ちです。」
「ああ。案内を頼む。」
そう答えると俺は、シェリーをエスコートしながらローランの後について行った。




