父目線
父親の気持ちを書きたくなりました。
私には亡き妻との間の一人娘がいる。
親の目から見ても礼儀正しく、素直で明るい娘だ。
なのに、男っ気も無くただ私の後を継ぐべく秘書のハリソンと行動を共にしている。
娘のシェリーには幼馴染と呼べる二人の友がいて、一人は事務で働いているメグ。
彼女の母親は亡き妻が子爵令嬢だった時、専属の侍女だった女性。
妻の実家が没落した際に、我が家が爵位を預かると共に妻と一緒に着いてきた。
その後しばらくは妻の元に居たが、部下と結婚し娘と息子を産んだ。
もう一人の幼馴染は訳ありだった。
産院から帰宅した妻が身重の女性を連れて帰って来たのだ。聞くとお腹の子はある伯爵家当主の子で、正妻に頼まれて孕んだが逆に命を狙われる立場になったと。
「そんな人を身近に置いて、君は大丈夫かい?」
妻は驚いたように私を見る。
そして優しく自身のお腹に手を当てる。
「彼女にはいま、安心して子を産める環境が必要です。そして、不安を口に出来る人が側にいる事も・・わたくしにも、この子にも話しが出来る友が増えるのは頼もしいし、楽しみだわ!」
そして産まれたのが男の子のカイ(後のカイディアン)だった。
メグとカイとシェリーの関係は親の私たちが見ても良いものだった。
いすれ子爵位を受け継ぐシェリーの為に、密かに侍女教育をメグに施していると聞いた。
カイもいつかは伯爵家へ引き取られるだろう。
その前に・・
「あなた、カイは自身の出自は知らないので先走らないでね!あくまでも当人の気持ちを大切にしてあげてね。」
ベッドの中で最後まで子供たちの気持ちを優先していた妻カロリーヌは、シェリーが12歳の時に流行り病で亡くなった。
手を尽くしたが特効薬が手に入る前に力尽きてしまったのだ。
そんな時シェリーを支えたのもまた、二人の幼馴染だった。
「ハリソン、シェリーはどうだい?」
急に問われ一瞬戸惑ったが、
「お嬢さまはしっかり仕事内容を理解されておりますし、取引き先とも上手く交渉されていますよ。どうしても成立させたい気持ちが先走る時もありますが、それも回数こなせば大丈夫かと・・」
「うん、その報告も必要だけど私が聞きたいのは、シェリーと結婚してこの商会を引き継がないかい?」
「・・・ご冗談を・・」
ハリソンが密かにメグに惚れている事は知っている。いつ告白しようか、どんなシチュエーションが良いのかと仲間に相談している事も知っている。
「君にまだ決まった人が居ないのなら、シェリーと婚約して欲しい。これは命令では無く親としての願望だ!どうだろう、君が(メグへの気持ちが)本気なら真剣に口説き落として欲しい。」
「!!!」
ハリソンは賢い。私の右腕として動けるほどに。
「さて、もう一人の子はどう動くかな?」
さいは投げた。
男親としては複雑な気持ちだが、娘の幸せを一番に考えるのもまた男親だ。
「こんな時、君が居てくれたら良かったのになぁ。」
妻が大好きだった花。
向日葵の花を見つめながら囁いた言葉は、誰にも聞かれる事なく部屋に消えていった。
メグとカイはもちろん、ハリソンも幸せになって欲しい存在。
商会長は全員の父親的存在なのです。
他の人たちの話しも書きたいと思います。
時々覗いて頂けたら嬉しいです。




