15
側近の案内で向かったのは王宮の奥。王族の私室がある宮の一角、王太子宮の応接室だった。
部屋に入ると殿下、お義兄さま、カイ、義弟がソファーに座っていた。
お義姉さまはお義兄さまの隣り。
わたしはカイ、では無くお父様と二人掛けのソファーに座った。何となくカイが恨めしそうにこちらを見ているような・・
「今日はベルージャもカイもギルもご苦労だったね。三人にはとても嫌な事を頼んでしまったと思っている。すまなかった・・」
殿下が三人に頭を下げている。そもそも殿下が謝る事は何も無かったように思うけど・・
「実は第二王女殿下の輿入れに反対している勢力があって、危うく婚約解消される所だったんだ」
「それに気づいたのがカイで、ベルージャに相談した事で発覚したんだ。お手柄だったね!」
「いえ、王女殿下の手紙が隣国どころか父上の机から出てきた時は驚きました。そして、書いても無い内容の手紙が相手に届き、王女殿下はパニックを起こされておいででした」
内容はこうだ!
クーカス元伯爵は王女殿下と隣国の王太子殿下を仲違いさせ、それに便乗して戦争を起こし第二王子を王太子に据える段取りまで出来ており、第二王子派の貴族へ武器を送っていたらしい。
武器を送った見返りに、隣国では侯爵位を用意されていたと、隣国へ偵察の命を受けた騎士より報告があった。
「本来なら爵位剥奪となるが、未然に防ぎなおかつ妹と王太子との仲を元通りにした事への礼で、クーカス伯爵位はベルージャ。騎士隊長の任はギルバイス。
そしてカイディアンは・・・」
「ねえカイ?あなた本当に褒美は、家への婿入りだけで良かったの?領地もくださると殿下は仰っていたのに・・」
カイはわたしの手を握り、
「俺はもともとこの手を掴むために大会に出たんだ。他は要らない」
「えっ!あの!そんな事言われたら・・」
もう顔を上げられない・・
向かいに座る父は呆れて何も言わない。聞いてもいない。寝たフリ(多分)をしている。
カイは父が見てないのを良い事に、わたしの手の甲や額にキスをしてくる。
わたしも自分の気持ちをカイに伝えたい!そう思いカイの耳元に口を近づけたとき、
ガタン!
と馬車は大きく揺れ、弾みでカイの頬にキスしてしまっていた。
カイは驚いたが直ぐに満面な笑顔になり、わたしへと手を伸ば・・
「それ以上の触れ合いは許さんぞ!」
ドスの効いた声に・・
「義父上様、起きておいででしたか・・」
「お父様、いつから起きていらしたの!?」
二人の言葉が馬車の中で重なった。
半年後にハリソンさんとメグが結婚。
その半年後にわたしとカイは結婚し、カイは入婿となりわたしを支えてくれた。
子爵位はわたしが継いだが、領地も無いため商会の仕事に勤しんでいる。
時々、お義兄さま夫婦より夜会に誘われるがメグが気合いを入れて支度をするので、直ぐに帰宅する羽目になる。
ある時、隣国へ嫁いだ王女殿下に呼び出され二人で向かった際
「こちらの国でも商売が出来るように、カイへ伯爵の位を授けます」
と、爵位をプレゼントされた。
義弟ギルバイスは第一騎士隊の副隊長となり、今は王太子殿下の護衛を務めているとカイから聞いた。
兄弟で王太子殿下の補佐をしているなんてすごい!と喜ぶと
「俺も王宮に勤めていた方が良かったのか?」
拗ねたように聞いてきた。
わたしはカイの顔に手を伸ばし、拗ねて膨らんだ頬に口付けを落とす。
「カイは誰にも渡さないわよ!」
機嫌を直したカイも
「俺のお姫様はシェリーだけだよ」
わたしの腰に手を伸ばし引き寄せると、温かい唇がわたしの口を塞いだ。
「シェリー、どう?」
「うん、やっと寝てくれたわ」
今わたしの腕の中にはカイとの子である娘が寝ている。
(父にとっても、カイのお母さんにとっても初孫だ。
父は異国のオモチャを。義母さんは子育ての手伝いを理由に孫娘の顔を見に来る。)
カイはわたしから娘を受け取ると、そっとわたしにキスをする。
「お疲れさま、俺が見てるからシェリーは少し休んでおいで。」
子育ては二人でしよう!と決め、乳母は頼まなかった。時々メグや義姉が手伝ってくれてはいるが、出来るだけ二人で頑張るつもりだ。
そんな頑張るカイに毎日告げる。
「カイ、今日も愛してるわ」と・・・
これにて完結です。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございます。




