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カイと二人で父の元へ行くと
「やっとくっ付いた!」
と笑顔で迎えてくれた。
でも問題がある。
カイはクーカス伯爵家の跡継ぎになるかも知れない事。
第二王女殿下に付いて隣国へ行く事になるかも知れない事・・
やっと想いが通じ合ったのに、ここでまた離れ離れになるのは嫌だ!
全てが顔に出ていたのか?口に出ていたのか?
「俺は跡継ぎにもならないし、隣国にも行かないよ」
「そうだなぁ、我が家としても娘と想いが通じ合った婿を取られるのは困るからね!」
「!!!」
筒抜けである。
「兄も噂ほど身体が弱い訳ではないんだ。父の騎士としての基準が高過ぎるだけで。騎士は無理でも爵位は継げるから心配しなくても大丈夫。ほらっ」
カイが指差す方を見れば、一人の若い男性が女性を伴ってこちらへと歩いて来る。
カイを見れば、
「俺の兄貴と義姉だよ」
と耳打ちしてくれた。
カイの紹介でお義兄さまとお義姉さまに挨拶をする。
父とは顔を合わせた事があるのか?互いに
「お久しぶりです」
と挨拶を交わしている。
そんな時だった。突然カイに声を掛けてきた男性が、男三人に挨拶をする。
義兄さまにカイに・・・雰囲気が似ている男性。
三人は何やら話し合った後、お義兄さまは胸元から懐中時計を取り出す。
「そろそろだな。」
「ああ、王太子殿下の元に来ているな!」
お義兄さまはお義姉さまに、カイはわたしに顔を向ける。
一歩下がって見ているわたしに、父とお義姉さまは
「少し離れていようか。」
「ここからはあの方達の仕事ですわね」
お義姉さまがわたしを見て
「王太子殿下も第二王女殿下も御存じだから安心して。これは、これからのクーカス伯爵家に関わる事だから。」
震える手でわたしの手を握ってきた。
お義姉さまもこれから起こることが、不安なのだろう。
三人の男性は父親であるクーカス伯爵の元へと向かって行った。
父であるクーカス伯爵は王太子殿下と話しをしていた。予め義兄から話しを通していたため、周りに人は少ない。
「父上」
義兄が声を掛けると振り返る。そして俺たちを見て、あからさまに不機嫌な顔になる。
「なんだお前たち。私は今殿下と話しをしている。用があるなら後にしてくれ」
「クーカス伯爵、私に気を使う事はない!ベルージャからも話しが通っているしね」
ベルージャは兄の名前だ。
「父上、今日今を持って家督を譲って頂きたい。この件は王太子殿下も御存じだから」
「なっ!何をバカな事を!お前は騎士になれない半人前では無いか!」
「ええ、確かに騎士にはなれません。ですが、当主にはなれます!そして騎士にはここにいる・・」
そう言って背中に手を当てられ前に出たのは
「三男のギルバイスがおります。」
名前を呼ばれた三男は、騎士の礼をとると、
「クーカス伯爵が三男。ギルバイス・クーカスと申します」
と名乗った。
まさかの三男登場です!




