12
「そのドレスの色は・・何か意図があって?」
わたしをエスコートしながらカイが聞いてきた。
そう思われても仕方ない、着ているドレスの色はカイの瞳の色だから。アイスブルー色のドレスは裾に行くにつれ濃くなっており、一見冷たい色に見えるがレースに暖かみのあるイエローがレースで使われている。ちなみにイエローはわたしの瞳の色だ。
「もしそうだとしたら?」
意味ありげに答える。
カイは少し頬を赤らめて、
「シェリーにとても似合ってる!と、思う」
「フフッ、ありがとう。お父様もメグもそう言ってくれたわ。あっ!でもお父様は少し複雑そうな顔してたけど」
「!」
カイは少し驚いた様子だったけど、嬉しそうに微笑んでくれた。
ああ、わたしの知ってるカイだ。
容姿は立派過ぎるけど(わたしもかな?)、笑った顔は見慣れてるカイだ。
そう思えたら自然と涙が出てしまう。
カイはそっとハンカチを渡してくれて、そのままバルコニーへと誘導された。
バルコニーにはベンチもあり、わたしをそこに座らせたカイは座らずにわたしを見下ろしている。
「カイは座らないの?」
そう聞くと
「シェリーのお父さんに見られたらその場で殺されかねない。」
と、本気なのか冗談なのか分からない言葉を言った。
わたしがクスクス笑うとカイも同じように笑う、心地良い時間だ。
「カイは、わたしが子爵令嬢だと知っていたの?」
「・・・」
「メグのお母さんは、わたしのお母様の侍女だったんだって。だからメグは今わたしの侍女って事になってるの。控えの間にいるわ。後で会いに行きましょ」
カイが無言なので無理に話しを振る。
無言が怖い。
何か話してないと、疑問が口から出てしまいそうで・・そんなわたしをカイは見ている。
何か言って欲しい。でも、聞きたく無い。
「シェリー」
目の前にカイの顔があった。
わたしの目線と合うように、膝を付いている。
「泣くな。俺がシェリーの涙に弱い事を忘れたのか?」
指でそっと涙を拭かれ、気付くとカイの胸に顔を埋めていた。背中を優しく撫ぜられると涙はどんどん溢れて来る。
「カイ・・」
「うん」
「わたし、寂しかった・・。カイが大会に出てから急に会えなくなって、すごく寂しかったの・・」
「うん、ごめん」
カイはずっと背中をさすっている。
「どうして大会なんかに出たの?出なかったらこんな・・」
「・・・俺、自信が無かったんだ。何となくだけど、父親は貴族なんじゃ無いかな?とは思ったけど、それでもその時の俺は雇われの平民だ」
肩を押され顔が近づく。
「シェリーとハリソンさんの婚約の話しを聞いた時、焦ったんだ。今のままでは、シェリーとは一緒になれないって。大会に優勝すれば、一代限りでも騎士爵が貰えると言われ・・」
「カイは・・・わたしの為に?」
黙って頷くカイに胸が熱くなる。
父がハリソンさんとは本気では無かったと言った時、本当はカイを試したのかも知れないと思った。
父はカイのわたしへの気持ちに気付いていて、どう動くか見定めていたとしたら・・・
わたしの頬に手が触れる気配を感じ、目線を上げるとそこにカイの顔がある。
近い!思わず顔が赤くなるのがわかったが、何故だか目線を外す事ができずしばらく見つめ合う。
そして・・
「シェリー、俺はずっとお前の事が好きだったんだよ」
「・・・わたしもよ・・」
二人の影が重なり合う・・
やっと想いが通じ合いました!




