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「シェリーとても綺麗だよ!母様が生きていた頃にそっくりだ!」
今にも泣きそうな顔で父は褒めてくれた。
(わたしはどちらかと言えば父様に似てるんだけど)と思った事は内緒である。
政略結婚だったと聞いた事があるが、父と母はとても仲睦まじかった。どんな理由があったのかは時間のある時に父から聞き出そう!
子どもの私から見ても、二人はとても仲が良く、そして一人娘であるわたしをとても可愛がってくれた。
「そのドレスの色は・・ちょっと納得出来ないけど・・まぁ仕方ない。とてもシェリーに似合っているからね!」
「ありがとうございます。父様ならそう言って下さると思っておりました」
とカーテシーをすれば、立派な子爵令嬢だ!
父のエスコートで馬車に乗る。席に座りドレスを整えていると コンコン! と窓を叩く音が。
扉を開けるとメグが乗り込んで来た。
「本日はお嬢様の侍女として付き添わせて頂く事になりました」
と、わたしの席の隣に座る。
向かいの父を見れば、
「今日は正真正銘のお嬢様だからね!」
とウィンクしてきた。
「私、こんな扱い受けた事ないから失敗してしまうかも・・」
「そこは安心して欲しい。私もお母様のエスコートした事あるし、王宮に着いたら君のエスコートをある人にお願いしておいたから」
「えっ!お父様がずっと側にいて下さるのでは無いのですか?」
慌てて聞き返すも、
「こんな日を逃すつもりは無いよ!僕はあくまでも商人なんだからね!」
と言われてしまえば何も言い返せず、誰なんだろう?と頭を悩ませる。
メグはすでに侍女モードに入っているのか、わたし達の会話には口を挟まない。そう言えば今日の着付けにしても、ヘアメイクにしても完璧だ!
「メグはいつ着付けやヘアメイクの勉強をしたの?貴族の、しかも今回のような夜会は特別よね?」
と疑問をメグに聞くと、メグはチラッと父を見てからわたしの方を向き、
「わたしの母はお嬢様のお母様の侍女でした。その関係で、わたしも幼少の頃より侍女教育を受けておりました。いつか必要になる日が来るからと」
「えっ?そうだったの?」
どうやら母が子爵令嬢だった事を知らなかったのは、わたしだけだった様だ。
王宮には位の低い貴族から入る事になっており、わたし達は割と早く入場する事になった。
メグは控えの間が用意されているらしく、そちらへと移動した。高位貴族となれば個室を与えられるが、子爵男爵、新興貴族は与えられる事はなく広い部屋に間仕切りがされている感じだそう。
「お金を出せば個室を頂く事は可能です。が・・・」
メグは「一人ポツンと広い部屋にいるよりは、他の侍女の方と一緒のが楽しいです。広間には飲み物や軽い食事もありますから」と、嬉しそうに語ってくれた。
父と挨拶回りをしていると、
「ご無沙汰しております。ハイル子爵、子爵令嬢。」
と声を掛けられた。
振り向くとそこには着飾ったカイが立っている。
騎士服でも無い、そこには伯爵子息であると分かる装飾の、貴族子息に思わず挨拶も忘れ見惚れてしまっていた。
「これはクーカス伯爵子息カイディアン様。ご無沙汰しております。お元気そうで安心しました。皆、心配しておりましたよ?」
「申し訳ありませんでした。手紙くらいは出すつもりでいたのですが・・」
「第二騎士隊に入隊され、お忙しかったのでしょう。今日こうして直接お会いできて良かったです」
父はカイに対し高位貴族として挨拶をしている。
カイは目上の人として父に挨拶をし、わたしに目線を向ける。その瞬間驚きを隠せない表情を見せる。
「それでは娘を頼みますね」
「お任せ下さい」
どうやらエスコートはカイに頼んだようだ。
何と声を掛けて良いか悩んでいると、
「少し話せるか?」
「ええ、大丈夫よ」
答えると同時に歩き出した。
メグも母から侍女としての教育を受けてはいましたが、シェリーの母が子爵位の貴族とは知らされていませんでした。今回の事で母から話しを聞き「シェリーの侍女なら喜んで!」と、自分から申し出たのでした。




