10
「ある貴族の方に話しを聞いたんだけどね、どうやら第二王女殿下の婚約が整いそうで王宮はバタバタしているらしい。」
「まぁ、第二王女様と言ったらこの間カイが護衛してた方だわ!」
父はニコッと微笑む。
「その王女殿下が輿入れする際、カイも護衛として連れて行きたい!と言い出しているそうなんだ。」
「カイを?」
二人で笑いながら微笑む姿が思い出される。
多分あの時から王女様はカイをずっと側に置くつもりだったんだ。
でも、いくら王女様が望んでもカイ本人の気持ちは?カイもついて行くつもりなのかしら・・
「そこでシェリー、君は子爵令嬢として夜会に出席するんだ。」
「・・・・・・・」
父が何を言ったのか聞き取れず、無言になってしまった。
誰が子爵令嬢だって?
「君だよ!シェリー」
「・・・えええっっっー!」
「それにしても、シェリーが子爵令嬢だったなんて・・驚き過ぎて声が出なかったわ!」
「わたしも同じよ!声は出たけどね!」
今は夜会に来て行くドレスを作るために、メグに採寸してもらっている所だ。
結局父と夜会へ行く事となり急いでドレスを作る事になっている。
と言っても、もともと大きな商会でもあるから職人さんは揃っている。夜会までには出来上がるだろう。
それよりも・・・
「シェリーのお母様が子爵令嬢だったとはね・・」
「うん、わたしも知らされて無かったわ・・」
元々爵位は母が持っており、父が引き継ぎ、わたしが成人したら譲るつもりでいたと言った。
わたしは知らず知らずのうちに、子爵令嬢としてのマナーも子供の頃から叩き込まれていたようで、
「所作はキレイだったわね!」
とメグに褒められた。
カイは当日、騎士では無く伯爵子息として夜会に出席するらしい。カイの父親であるクーカス伯爵は、嫡男では無くカイを後継にするつもりでいたらしいが、殿下に見初められた為に考えを変えているらしい・・
(どちらにしても、わたしとカイでは身分に差があると思うけど、父様は何考えているのかしら・・)
それでも、もしかしたらカイと会えるかも知れない!
会って話す事が出来るかも知れない!
そう思うと知らずに心が弾んでいる事に気付いた。
そしてその意味する事に気付いたシェリーは、夜会当日は必ずカイを捕まえる!と意気込んだ。
夜会に出る事なんて考えてもいなかったシェリーは、その日からダンスのレッスンも追加された。
どちらかと言うと運動に問題のあるシェリー。
何とか形になったのはまさに夜会前日であった事は、ここだけの話である。
夜会当日は朝早くから叩き起こされた。半分寝てる状態で浴室へ連れ込まれたシェリーは、されるがままの状態で半日以上掛けて完璧に仕上げられた。
カイの伯爵家は古くからあり、皇族からも目を掛けられる程の名家。
一方シェリーの母の子爵家は没落しており、父との結婚も爵位を預かって貰う為の政略でした。
なので同じ貴族であっても、身分に差があるとシェリーは表現しました。




